アヌシー最高賞受賞のクレイアニメが日本初公開 「こまねこ」合田経郎監督が魅力を語る【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年11月1日 13時0分
合田経郎監督(写真右)と藤津亮太氏
第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で10月31日、「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」がジャパンプレミア上映され、会場の東京・角川シネマ有楽町で合田経郎監督がプログラミング・アドバイザーの藤津亮太氏とトークを行った。
同作は、本年度のアヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞(最高賞)を受賞したオーストラリアのクレイアニメーション(監督:アダム・エリオット)。カタツムリが心の拠りどころの孤独な少女グレースが、自らの半生を回想しながら希望を見いだしていく。
NHKのキャラクター「どーもくん」や「こまねこ」「リラックマとカオルさん」などで知られるストップモーションのスタジオ・ドワーフの代表を務める合田監督は、「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」と同じストップモーション作品の監督という縁で登壇し、「ストップモーション作品にこんなにお客さんが入ってくれてうれしいです」と挨拶。今作の感想を藤津氏から訊ねられると、「よかったです。よかったですよね?」と観客に同意を求めながら、エリオット監督の過去作品と比べて「より映画的になっていると思った」と語る。
合田監督は、主人公グレースの可愛らしさにも触れながら、グレースが作中でストップモーションをつくりだしたところで、「『お、やりだした』と思った」とうれしそうに話す。藤津氏が、合田監督の「こまねこ はじめのいっぽ」でも、主人公がコマ撮り映画をつくるシーンがある共通点を指摘しながら、ストップモーション作品のなかでストップモーション作品をつくるシーンを制作するのは大変なのかと聞くと、合田監督は「ミニチュアの中にミニチュアをつくることになるから大変」「でも、やっていて面白いことではある」と答えながら、今作でも楽しみながらつくっていたのではないかと同業者ならではの視点で語った。
「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」と前作「メアリー&マックス」(2011)には共通するテーマがあり、合田監督は「監督には本当にやりたいことがある」とその作風を分析しながら、エリオット監督の作品の個性を、「リスペクトをこめて」と前置きしつつ、「子どもが描いた絵の無邪気さのようなアニメーション」が魅力だと語る。そうした個性が、作中で描かれる喜劇や悲劇をやわらげているのだという。
合田監督は、エリオット監督作品のアニメーションの特徴を「これもリスペクトをこめてです」と強調しながら、「実はあまり動かさない」ところにあるとも指摘する。第76回アカデミー賞で短編アニメ映画賞を受賞したエリオット監督の短編「ハービー・クランペット」(2003)を見て、当時ストップアニメーションをいかに動かすかを考えていた合田監督は、良い意味で衝撃をうけたのだそうだ。その後の初長編「メアリー&マックス」、今作と、作品を経るごとにより動くようになったのは、「監督のにやりたいことが増えている」あらわれで、合田監督自身が最初に「より映画的」だと感じた理由なのかもしれないと、藤津氏とのQ&Aを通して振り返っていた。
現在公開中の合田監督の最新作「こまねこのかいがいりょこう」は、5分の短編をきっかけに20年以上つくり続けた「こまねこ」の選りすぐり3作と11年ぶりの新作を集めた合計50分の作品。最後に藤津氏からうながされた合田監督は、自身の作品を「ぜひ見てください」とひかえめにPRしながら、「メモワール・オブ・ア・スネイル(原題)」を、「とても素晴らしい作品なので、日本公開を望んでいます。そのときは、ここにいるみんなで宣伝を頑張りましょう」と呼びかけた。
第37回東京国際映画祭は11月6日まで開催。
この記事に関連するニュース
-
コマ撮りアニメ×実写で新たな恐怖生み出す『ストップモーション』2025年1月公開決定
cinemacafe.net / 2024年10月31日 12時0分
-
久野遥子&山下敦弘両監督「化け猫あんずちゃん」実写をもとにしたアニメ制作は「面白かった」【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年10月30日 22時0分
-
「きみの色」山田尚子監督、ヤン・シュバンクマイエルからの影響を語る【第37回東京国際映画祭】
映画.com / 2024年10月29日 21時30分
-
トンコハウス・堤大介×西野亮廣のコマ撮り短編アニメ「ボトルジョージ」札幌国際短編映画祭で受賞&日本初上映
アニメ!アニメ! / 2024年10月8日 16時30分
-
「こまねこのかいがいりょこう」20年分の愛がつまったロングトレーラーお披露目!展覧会も開催決定
アニメ!アニメ! / 2024年10月3日 12時6分
ランキング
-
1《近況スクープ》大野智、「両肩にタトゥー」の衝撃姿 嵐再始動への気運高まるなか、示した“アーティストの魂”
NEWSポストセブン / 2024年11月1日 7時15分
-
2ぴいぷる 女優・黒木華 演技のこころも〝アイミタガイ〟何だか温かくなる不思議な空気、親の笑顔が原点 歌声披露も「次はもうやりませんよ(笑)」
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月1日 6時30分
-
3元「相棒」と明暗クッキリ…反町隆史「オクラ」の不発は“凸凹コンビではない”にあり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月1日 9時26分
-
4「すっげー美脚」「アイドル以上」フォロワー騒然 TBS人気女子アナの制服ショットが大反響
スポニチアネックス / 2024年10月31日 21時8分
-
5俳優・富田健太郎が事務所退所を発表 3月公開の映画で小泉今日子らと共演
スポニチアネックス / 2024年11月1日 10時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください