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全世界を虜にした「エマニエル夫人」現代版のテーマは? 新作「エマニュエル」監督が来日、湯山玲子と“女性の欲望”トーク

映画.com / 2024年11月2日 12時24分

 そして、主人公のエマニュエルが魅了される、謎めいた男ケイについての話題に。湯山氏は、現代社会の意識の変化から「男性が、男らしさを示すためのセックスができなくなった時代のリアルな姿」を持つキャラクターだと分析。劇中のエマニュエルの行動に触れ「今の時代の女性は待っているだけでは、いい男ともうセックスできないんじゃないか」とも語る。

 湯山氏の言葉に同調しながら、ディワン監督は「主人公は欲求が壊れた状態にあり、実はケイも同じ状況にあります。ですから、2人は似た者同士という風に言うこともできるんです」。そして、「私が描きたかったのは、自分の快感や、感覚的なもの、体を通じての旅路です。ですので、セックスだけではなく、自分の欲望やファンタジー、他人と向き合う、繋がるということが目的になります。人間は寂しさを感じたときに、色々妄想すると思います。その時は、やはり人と繋がりたい思うのではないでしょうか。今の時代は本当にそれが欠けていると思います。ただセックスをしたい、それだけだと体も心も空っぽになっていまいます。主人公が、ケイという男性をもっと知りたいと思う、その欲望と繋がることを描きました」と解説した。

 そのほか、今作で描かれるエロティシズムの表現が、日本の文化のようだと湯山氏が指摘したり、香港の高級ホテルを舞台とした理由、「燃ゆる女の肖像」で注目を集めた主演のノエミ・メルランについて、また、湯山氏が「全員いい男」と評する男性キャスト陣など、多岐にわたる話題で盛り上がった。

 最後に、印象的なこの物語のラストについて、ディワン監督は「どうすれば正しく、効果的に撮れるかをずっと考えていました。ノエミは撮影中みんなを鼓舞するようにしていましたし、夜通し、何時間もかけての撮影でした。そして最後にノエミが、疲れて小声で何か囁いて、ニコッと笑ったのです。結局、そのカットを採用しました。何時間もかけて小さな花を掴んだような瞬間でした」と撮影を振り返った。「エマニュエル」は、25年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開。

 第37回東京国際映画祭は、11月6日まで開催。

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