池松壮亮、9度目タッグの石井裕也監督と相思相愛「偉大な映画作家」「人生を並走していく」
映画.com / 2024年11月9日 21時41分
平野啓一郎(「マチネの終わりに」「ある男」)の小説を映画化した「本心」の公開記念舞台挨拶が11月9日、東京・TOHOシネマズ六本木で行われ、主演の池松壮亮、共演する三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子、石井裕也監督が登壇した。
自死を選んだ母の“本心”を知ろうと、母を生成AI技術で仮想空間に蘇らせた主人公の朔也(池松)を通して、デジタル化社会の功罪を鋭く描写し、愛と幸福の真実を問いかけるヒューマンミステリー。原作を読んだ池松が、「ぼくたちの家族」や「アジアの天使」など映画、ドラマを合わせ8作品に出演し、全幅の信頼を寄せる石井監督に「今やるべき作品」と企画を持ち込んだ渾身の企画だ。
池松は「いや、もう感無量です。なかなか言葉がありません」と溢れる感情を抑えきれない様子。「(原作に出合った)2020年当時は、もう少し先の未来の話かと思っていたが、映画と時代が追いかけ合って、どんどんAIが生活に寄ってきている特別なタイミングで、同世代の観客の皆さんと共有できることがうれしいし、誇りに思います」と作品の同時代性に触れながら、「なかなか味方が見つからず、監督がひとりで映画を実現すべく力を注いでくれました」と“盟友”に感謝を示した。
さらに、池松は「出会った頃から、自分にとっては偉大な映画作家。あくなき探求心と高いビジョン、深い洞察力をもって、常に時代とにらめっこしながら、類まれな映画を生み続けている」と石井監督に最敬礼。この言葉に、石井監督は「人前で言ってもしょうがないですが、僕にとっては特別な人たち。親せきというか、誰かひとり道を誤らなければ、人生を並走していくんだと思う」と池松、そして同じくタッグの多い妻夫木に思いを伝えた。
また、石井監督は「いまがベストタイミングだったかわかりませんが、個人的にはドンピシャだったと思う。これからもAIは発展していくが、一番の問題は人の心」と断言。「“本心”は必ず問われることになるので、それに先んじて映画で描けた意義を感じる。いま、表現者、映画製作者として立ち向かうべき最大のテーマに挑めたのは誇りですし、やって良かった」と胸を張っていた。
田中は朔也の母・秋子役で、現実世界の秋子本人と仮想空間のVF(ヴァーチャル・フィギュア)という“2役”に挑戦。妻夫木は、最新AIのVFの開発を行う技術者の野崎将人を演じる。劇中、主人公が、ヴァーチャル・フィギュアとして蘇った母と再会するシーンは、本作の見せ場となっており、「撮影したのは最終日。えらくシーンとしたシーンで、ろうそくに火がともって、暗闇から出たなって感じで登場したのが印象的です」(田中)、「楽しみであり、不安でもあったシーン。(ヴァーチャル・フィギュアに)命が吹き込まれる感じがして、説得力をまじまじと感じた」(妻夫木)。池松も「母を“作り上げてしまった”喜びと複雑さが入り交じり、心が震えた。強烈に残っているシーンでした」と話していた。
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