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アルフォンソ・キュアロン、「これまでの自分の映画のやり方で」臨んだ初のドラマシリーズ「ディスクレーマー」語る

映画.com / 2024年11月16日 10時0分

 「この物語は、見る人や、その人の内部にあるものによって、非常に印象は変わると思います。それは、物語が複数の人物の視点から描かれており、一人称、二人称、三人称、それぞれの形式で語られるナレーションを挿入しました。ですから、自分のこと、あるいは他のことを話す時にその出来事が誰の口から語られるか……そこでどのように真実が変わってくるのか……そういったアプローチを採用しました」

 映像面においてもキュアロン監督は、ニ人の撮影監督を起用し、エマニュエル・ルベツキはキャサリン、ブリュノ・デルボネルは、小説を出版したスティーヴンの視点での物語を担当するという贅沢かつオリジナルな手法をとった。

 アカデミー賞最多10部門ノミネート 監督賞ほか主要3部門受賞した「ROMA ローマ」はNetflixオリジナル映画として製作。今回はAppleのストリーミングサービスApple TV+向けとして、Appleスタジオとの仕事となった。近年、映画界で大きな存在感を見せる新興スタジオは、クリエイティビティを最大限に発揮できる環境だったと振り返る。

 「Appleスタジオは、自由に、思い通りにやらせてくれ、本当に私は恵まれていました。必要なことは全部整えてくれて、コミュニケーションに関しても、懸念事項もすべて共有することができました。企画がスタートする前に、私は正直に『ドラマシリーズの撮り方はわからない』と伝えました。これまでの自分の映画のやり方でやることしかできない、と。ドラマは早く撮らなくてはいけないという制約がありますが、私にはそれはできません」

 「自分の通常の手法、細部やロケーションにこだわりますし、私の作品にとってとりわけ大事な要素が光です。光を捉えるためには、セッティングなどにとても時間がかかります。ですので、ドラマと映画の仕事の違いは比較できませんが――正直なところ、今回、映画を撮るより時間がかかりました。かなり疲弊もしたので、私の唯一の懸念点は、俳優たちに大変苦労をさせてしまったのではないか、ということです」

 著名なジャーナリストであり、同じく社会的に成功している夫を持つが、息子との関係に問題を抱えるキャサリン役は、ブランシェットを念頭に脚本を書き進めたと明かす。プロデューサーも務めるブランシェットと、今回初めて仕事をしての感想をこう語る。

 「ケイトは今の時代だけではなく、もしかしたらすでに映画史において非常に重要な役者と言っても過言ではないでしょう。彼女のその類を見ない知性が才能と釣り合っているのです。今回、製作にも加わってくれ、実際に活発に動いてくれました。それは、脚本やキャスティング、編集……とこの作品はある意味すべて彼女の息がかかっていると言えます。ドラマシリーズは、観客を引きつけて全話見続けてもらうこと、楽しませるだけではなくて、一度乗ったら降りられない船のようであり、中毒的な要素が必要です。それにおいて彼女の存在、意見は欠かせないものでした」

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