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ナンニ・モレッティ、監督の苦悩と映画愛、そして再生を温かくユーモラスに描く最新作「チネチッタで会いましょう」 自身が演じる主人公は「私の分身」

映画.com / 2024年11月21日 10時0分

 劇中でモレッティ監督が演じるジョヴァンニが撮る映画は、1950年代のイタリアを描いている。「何よりも興味深いのは、当時の政治運動家たちの在り方。そこには政治をまっとうしようとする生き方があった。それは政治活動に人生のすべてを捧げるというもので、今はもうなくなってしまった。そうした側面にはずっと興味があり、以前から描いてみたいと思っていた年代。今日のわれわれの世界とはかけ離れたこの世界を描きたかった」と明かす。

 イタリアでは“モレッティの20テイク”と言われるほど、テイクを重ねる監督として有名だが、それについては「今は少し減ったかな。監督としても、役者としても、最初のテイクが一番だというのには賛成できないからそうなってしまう。一つのシーン、ダイアログを最終的なかたちに到達するには一連のテイクを重ねる必要があるから」と答えた。Netflixとジョヴァンニが映画についてミーティングをするシーンに現代への皮肉は入っているのかと問われると「自分は大人向けの映画を撮っているが、Netflixは地下鉄の中でも気軽に見ることができる。二つは全く異なる世界と言える。もちろんNetflixに限ったことではないが、プラットフォームの映画の作り方は不思議に感じることがある」と持論を述べる。

 劇中には「LOLA」や「地獄の黙示録」「殺人に関する短いフィルム」など多くの映画が登場するが、監督にとって思い入れのある作品なのかという問いには「特にキェシロフスキは好きで、「殺人に関する短いフィルム」は中でも好きな作品。それらはダイアログでは引用していないけれど、劇中にはフェリーニのオマージュもあるなど、登場する映画はすべて自分にとって大事な作品」と映画への深い愛を語った。悲劇的な出来事が起こるも、思わず笑いが出てしまうユーモアあふれる語り口に、「自分としては、アイロニーは表現として他より優れているとも劣っているとも思わないが、物語がドラマチックで笑える形というのは自分の中にあるものを描くときに自然と出てくるもの」とした。

 最後に日本のファンに向けて「ずっと私の映画を見て下さって、ありがとうございます。今は新作の脚本を書いています。また、2作品のプロデューサーもしています。私は監督と俳優と映画館の支配人などを交互にやっていますが、それはとても精神的なヒーリングになっているんです」とコメントを寄せた。

 「チネチッタで会いましょう」は11月22日から、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。

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