パレスチナ人青年&イスラエル人青年の“命がけの友情”「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」特報公開
映画.com / 2024年11月25日 12時0分
第74回ベルリン国際映画祭(2024年)では最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞を受賞 (C)2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
第74回ベルリン国際映画祭(2024年)でプレミア上映され、最優秀ドキュメンタリー賞と観客賞を受賞した「NO OTHER LAND(原題)」の邦題が、「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」に決定。あわせて、日本版ビジュアル、日本版特報映像が披露された。
本作は、パレスチナ人とイスラエル人の若手監督によるドキュメンタリー映画。舞台となるのは、イスラエル軍による破壊行為と占領が今まさに進行している、ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区「マサーフェル・ヤッタ」。本作は、この現状をカメラに収め世界に発信することで占領を停止させ、故郷の村を守ろうとするパレスチナ人青年バゼル・エイドラと、彼に協力しようとその地にやってきたイスラエル人青年ユーバール・アブラハムの2人による決死の活動を、2023年10月までの4年間に渡り記録している。
「マサーフェル・ヤッタ」の住民たちが家や小学校、ライフラインを目の前で破壊され強制的に追放されていく、あまりに不条理な占領行為を、そこで暮らす当事者だからこそ捉えることのできた至近距離からの緊迫感みなぎる映像であぶりだしていく。同時に、バゼルとユーバールが、パレスチナ人とイスラエル人という立場を越えて対話を重ね理解し合うことで生まれる奇跡的な友情と、ただ故郷の自由を願い強大な力に立ち向かい続ける人々の姿も映し出していく。監督は、彼ら自身を含むパレスチナ人2人・イスラエル人2人による若き映像作家兼活動家たち4人が共同で務めている。
今年2月に開催されたベルリン国際映画祭では、数多ある部門のプレミア上映のうち最も大きな盛り上がりを見せた1作となり、上映後には観客たちによるパレスチナ解放スローガンの大合唱と、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。最優秀ドキュメンタリー賞&観客賞を受賞し、バゼルとユーバールが揃って登壇し連帯を呼びかけた受賞スピーチは、同映画祭のハイライトとして大きな話題を集めた。しかし一方で、イスラエル擁護の立場を取るベルリン市長やドイツ文化省がそれを強く非難。世界中で大きな論争が続くなか、今なお監督たちは精力的に活動を続け、熱い支持を集め、9つの観客賞をはじめ29もの賞を獲得している。(11月21日時点)。
特報は、バゼルの暮らす村をイスラエル軍の無数の軍用車両が急襲する緊迫の場面や、村にある家が理不尽に破壊される様子をとらえている。ここで生まれ育ったバゼルはこうした様子を撮影し続け、それをSNSに発信し、メディアに提供することで占領に抵抗していた。そして、イスラエル軍の不当な行いに心を痛め、この村を訪れたことがきっかけでバゼルに協力するようになったジャーナリストであるユーバール。彼らは、占領という現状への抵抗を通じて親密になり、次第にこの問題についての映画を作らなければならないという決意へと変わっていったという。事態が一向に好転しない中で、バゼルは「この現実を変えたいんだ」と胸の内をユーバールに告げる。
原題の「NO OTHER LAND」は、直訳すると「他にはない土地」の意味。イスラエル占領下にあるヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区にある故郷の村「マサーフェル・ヤッタ」を守ろうとするバゼルら住民たちの、故郷への想いや強い覚悟をストレートに表現した力強い邦題となった。
「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」は、2025年2月21日からTOHOシネマズ シャンテ、シネ・リーブル池袋ほか全国公開。
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