横浜流星主演「正体」は本年度日本アカデミー賞最有力作 藤井道人監督作としての“確変”を起こせるか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
映画.com / 2024年11月30日 6時0分
(C)2024 映画「正体」製作委員会
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
今週末2024年11月29日(金)から「正体」が公開されました。
この作品は藤井道人監督がメガホンを取っているので作品のクオリティーについては心配していませんでした。
実際に見てみても主演の横浜流星の演技が光る力作だと思いました。
そして現在は、今年1年を振り返るような時期ですが、この1年を通しても本作が最も熱量を感じる力作のように思います。
そのため、本作が本年度の日本アカデミー賞の最有力候補作と言っても過言ではないでしょう。
では、本作の興行収入はどのくらい見込めるのでしょうか?
個人的に興味深いのが、藤井道人監督作品は、作品のクオリティーと興行収入が上手く連動していない、という面があります。
そもそも藤井道人監督が広く脚光を浴びるようになったのは、2019年の「新聞記者」からです。
当時の安倍政権を批判するような“企画もの”的な特殊な作品でしたが、日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞に輝き、その効果も相まって、興収6億円まで到達しました。
次にリリースされたのが「宇宙でいちばんあかるい屋根」(2020年)と「ヤクザと家族 The Family」(2021年)。特に後者の「ヤクザと家族 The Family」は良く出来ていましたが、興収4億9900万円となっています。
そんな中、文句なしの名作だった恋愛映画「余命10年」(2022年)が公開され、興収30億円の大ヒットを記録しました。
次に発表したのは、本作同様に横浜流星主演の「ヴィレッジ」(2023年)。個人的には内容に面白味が欠けていると感じていたので、厳しい結果になったのは頷けます。
そして注目すべきは「最後まで行く」(2023年)です。
それまでの藤井道人監督作品における配給会社は、「余命10年」はワーナー・ブラザースでしたが、それ以外では配給会社の規模は小さめなケースが多く、興行収入では不利に働く面がありました。
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