米倉涼子主演の連ドラ映画化「劇場版ドクターX」は“失敗しない”のか?【コラム/細野真宏の試写室日記】
映画.com / 2024年12月8日 9時0分
次に、作品の完成度について。連ドラの映画化は多くの場合でテレビ局のディレクターが担当しています。
本作も同様でテレビ朝日の田村直己監督がメガホンをとっています。
田村直己監督は本作が映画監督2作目で、1作目は「七人の秘書 THE MOVIE」(2022年)となっています。
見た感じでは、この2作品のクオリティーは、とても近い印象でした。
ちなみに「七人の秘書」の興行収入は6.61億円と、失敗に属する結果となっています。
このように見ていくと、確かに不安要素も小さくない面が見えてきます。
では、「劇場版ドクターX」は失敗するのでしょうか?
そこで「プラス要素」を考えてみます。
まず本作は西田敏行さんの遺作となった作品で、西田敏行さんの撮影は2024年3月末まで行われていました。
本編から西田敏行さんはかなり元気だったことが分かるはず。急過ぎる別れであったことが窺えます。
西田敏行さんの功績は多大なので偲ぶ動きは少なからず出ると思われます。
また、テレビ朝日の連ドラの視聴者層が、いくら高齢世帯の割合が高くても、本シリーズは2012年から2021年の10年にわたり、シーズン7まで平均視聴率が20%に近いような高視聴率を叩き出しています。
このデータには、「相棒」と同様に、高齢世帯以外のコア層も少なからず含まれています。
そして、定番化されたテーマ曲の存在も大きく、テーマ曲だけでも場が持つような力強さを感じます。
内容としても、本作は、これまで描かれてこなかった主人公・大門未知子の原点と言える過去“エピソード0”も描かれているのでドラマ視聴者の引きになっていると思います。
そのため、「交渉人 THE MOVIE タイムリミット高度10000mの頭脳戦」のように残念な結果にはならないのでは、と期待できます。
以上のようなプラス・マイナスの要素がある中で、本作が“失敗しない”ラインはどこになるのでしょうか?
本作で注目すべきは、主演の米倉涼子が「製作」の2番目にもクレジットされている点です。
製作委員会においても、米倉涼子の個人事務所が2番目にクレジットされています。
これが意味するのは、本作では米倉涼子の個人事務所が幹事のテレビ朝日についで(少なくとも)2番目に多く出資している、ということなのです。
つまり、本作の製作においても「私、失敗しないので」が貫かれた自信が垣間見れるのです。
本作の製作費は、制作費4億円、宣伝広告費のP&A費3億円と想定されます。
そ のため、本作が映画館の上映だけでリクープするためには興行収入17億円が必要になります。
つまり、本作が“失敗しない”ラインは興行収入17億円だと言えるでしょう。
おそらくこの辺りは失敗せずに突破できると思われるので、「ドクターX」は経済的な面でも最後まで「私、失敗しないので」のセリフ通りの作品になったと記録されそうです。
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「劇場版ドクターX」公開10日で観客動員100万人突破 “最後の舞台挨拶”の全国同時生中継が決定
映画.com / 2024年12月16日 17時30分
-
シリーズ完結『劇場版ドクターX』公開10日で観客動員100万人突破 興収13.8億円超に
ORICON NEWS / 2024年12月16日 17時30分
-
米倉涼子「ドクターX」興収30億円でも満島ひかりが阻む"興収女王"の座…期待値の高さから落胆の声も
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月15日 9時26分
-
西田敏行の“遺作”映画が「何度観ても泣けてしまう」ワケ。どんな悪役も「愛して演じる」ことの効果
女子SPA! / 2024年12月14日 15時45分
-
『モアナと伝説の海』続編、3日間で興収9億突破!2024年洋画No.1のオープニング【映画週末興行成績】
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月9日 17時23分
ランキング
-
1夫の育児放棄・借金・浮気で離婚、再婚相手はエリート官僚、武道館公演の最年少記録も…菊池桃子(56)の“1人総活躍”な人生
文春オンライン / 2024年12月20日 17時0分
-
2中山美穂さんファンクラブ 来年3月31日でサービス終了「皆さまとの温かな繋がりは大切な宝物」
スポニチアネックス / 2024年12月20日 18時7分
-
3元TBSアナ高野貴裕さん 来年1月末で退社発表 妻は星野真里、9月に娘の難病公表「身近な人を笑顔に」
スポニチアネックス / 2024年12月20日 17時11分
-
4大流行のインフルエンザ 芸能界にも影響 「ジャンフェス」出演声優キャンセル続々 ケミストリー堂珍も
スポニチアネックス / 2024年12月20日 18時45分
-
5「長男は毎晩ぬいぐるみを涙で濡らし…」急逝の中山美穂さん、辻仁成氏との離婚で“母子断絶10年” 残された遺産の行方
NEWSポストセブン / 2024年12月20日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください