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【数土直志の「月刊アニメビジネス」】2024年10大ニュース「巨大化する業界、加速する企業拡張」

映画.com / 2024年12月31日 19時0分

 東宝は積極的なM&Aで急成長する。企業買収は国内だけでなく、海外にも広がる。東宝による米国のアニメーション映画配給会社GKIDSの完全買収は世界の映画業界を驚かせた。北米のアニメーション業界の中心のひとつであるGIKDSをステップに東宝は海外配給の基盤を手に入れる。

 そのGKIDSの貢献が大きかったのが、宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」のアカデミー賞長編アニメーション受賞だろう。日本作品としては、21年ぶり2度目。前回も宮崎監督の「千と千尋の神隠し」だ。スタジオジブリへの長年の高い評価に加えて、昨今の世界的な日本アニメムーブメントでさらに注目が高まったことも理由にありそうだ。

 成長するアニメ業界は国からも関心を持たれる。内閣府は6月に国の新たな成長戦略「新たなクールジャパン戦略」を発表、コンテンツ重視を打ち出す。アニメはそのひとつだ。これに合せてアニメ、特撮、ゲームのミュージアムであるメディア芸術ナショナルセンター構想が本格的に始動した。麻生政権の国立メディア芸術総合センターの挫折以来、15年ぶりにミュージアム構想が浮上した。

 そうした成長に対して引き続き懸念されるのが人材不足である。制作スタッフの就業環境は改善されつつあるが、技術のあるスタッフが不足した状態では将来にわったって制作することはおぼつかない。アニメスタジオなどでは新人育成への投資が活発化し、業界団体NAFCA(一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟)はアニメーターの技術力をはかる「アニメータースキル検定」をスタートした。しかしこれらの成果がでるまでには時間がかかる。こうした動きの継続が今後の鍵となる。

 アニメ作品でエポックメイキングだったのは、押山清高監督の「ルックバック」だ。何百人ものスタッフで作り上げる大作アニメが注目されがちななか、監督自身のスタジオで少数のスタッフで制作した。本編58分は映画興行には難しい長さだが、口コミで人気を広げて興行収入で20億円を超えるヒットとなった。1700円の一律料金の導入、アマゾンスタジオの製作出資参加などビジネス面でも注目された。

 「らんま1/2」や「魔法騎士レイアース」「キャッツ・アイ」など往年の傑作のリブートブームがさらに加速したのも24年の特徴だ。そうしたなか「エヴァンゲリオン」シリーズで知られるカラーが「宇宙戦艦ヤマト」と「ガンダム」という長年のビッグタイトルの新作制作を発表してファンを沸かせた。往年の名作を新たな時代に合せてリブートさせることを得意とする庵野秀明が率いるカラーだけに、25年以降に向けて期待が高まる。

映画.comが運営するアニメ情報サイト「アニメハック」(https://anime.eiga.com/)では、アニメに関するコラムを多数掲載しています。そのなかから、今年のアニメビジネスに関する10大ニュースをテーマにした、ジャーナリストの数土直志さんによるコラムをご紹介します。(アニメハック編集部)

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