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「ありふれた教室」で起こる学校版「サウルの息子」 7歳の少女視点で、過酷な学校生活を描く「Playground 校庭」予告

映画.com / 2025年1月30日 15時0分

 「この作品の目的は、いじめの原因を追及することではない。誰かを非難することでもない」と語るワンデル監督は、社会の縮図でもある学校をあたかも戦場のように描き、そこでサバイブするためにはもう純真無垢ではいられない子どもたちの葛藤と恐怖、そして幾多の苦難の果てに変化、成長を遂げていく姿を映し出した。

 本編は、ドキュメンタリーと見まがうほどの迫真性に貫かれ、ビジュアルも音響も全てが緻密に構築されたフィクションだ。ワンデル監督はあらゆるショットを子どもの目の高さに設定し、被写界深度が極端に浅く、視野の狭い映像によって、観客にノラが見聞きすることを疑似体験させる。100%、ノラの視点で撮られているが、「親や先生といった大人が、子どもの目にどう映るか」という描写も盛り込まれ、多くの発見をもたらすサスペンスフルな1作に仕上がった。

 なお一切の無駄を削ぎ落としたシャープな作風が印象的なワンデル監督は、ベルギーの偉大なる先達であるダルデンヌ兄弟はもちろん、アッバス・キアロスタミ、ブリュノ・デュモン、ミヒャエル・ハネケ、シャンタル・アケルマンの作品にインスピレーションを得たという。ダルデンヌ兄弟が製作を務める次回作「In Adam’s Interest(原題)」にも注目が集まっている。

 ノラ役のマヤ・バンダービークは、キャスティングのセッションに参加した約100人の候補者から選ばれた。カリム・ルクルー(「またヴィンセントは襲われる」)がパパ役、ローラ・ファーリンデン(「ハッピーエンド」)が担任教師役を務めている。

 「Playground 校庭」は3月7日から、東京の新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほか全国で公開される。著名人のコメントは、以下の通り。

■小島秀夫(ゲームクリエイター)

 カメラは、いっときも少女から離れず、表情だけを追い続ける。観客は、彼女の内側に籠る孤立、孤独、苦しみ、哀しみを、最も近い距離で共有する。本作は「ありふれた教室」で起こる学校版「サウルの息子」だ。彼女の身の丈から覗く学校世界は、無垢でも平穏でもない。兄妹たちの“涙の抱擁”に始まり、最後は、また彼らの“涙の抱擁”で終わる。この涙の変遷。この痛みは、何なんだ。恐るべき映画だ。

■河瀨直美(映画作家)

 ハッとさせられる現実に胸が締め付けられる衝撃のラスト
 誰かをしっかり抱きしめて、そのぬくもりを感じていたくなる

■森達也(映画監督/作家)

 すごいものを観た。ただそれに尽きる。すごい映画じゃない。だって映画を逸脱している。震えた。一夜明けて余韻がまだ残っている。こんな体験は初めてかもしれない。

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