バニラビーンズの熱いロック魂が炸裂した2年半ぶりのワンマン

エンタメNEXT / 2014年12月21日 7時0分

バニラビーンンズ(左=レナ、右=リサ)

 ほぼ定位置を動かずにマネキンのごとく美しいポージングを決めていく消費カロリーの少ないダンスで洗練されたポップソングを清らかなハーモニーで歌うバニラビーンズには“静”のイメージが強い。

 グループアイドルはもちろんソロアイドルでもアクロバティックにパフォーマンスするのが主流のアイドル界では一際異彩を放っている。また7年のキャリアで培った何事にも動じない堂々たる立ち居振る舞いと達者なトーク術は“頼れる姉御”といった趣で、実際に「バニビ姐さん」と慕うアイドルも多いが、きゃぴきゃぴしたアイドルのパブリックイメージとは余りにもかけ離れている。それゆえにアイドルイベントの中にいると地味な印象を受けるのも事実だ。

 しかし12月18日にLIQIDROOMで開催された2年半ぶりとなるワンマンライブは、バニビの“動”の部分が全開となり、真冬とは思えないほど熱いステージが繰り広げられた。 ライブの中盤から生バンドが登場したことでロック色が強くなったのもあるが、そもそもバニビは前回のワンマンライブから休んでいた訳ではない。

 2012年12月から自主企画で対バンライブ「風は吹くのか!?」を定期的に開催。バンドじゃないもん!、7!!、カジヒデキ、野宮真貴&BIBA、THE COLLECTORS、藤岡みなみ&ザ・モローンズ、SCOOBIE DO、THE BOHEMIANS、D.W.ニコルズとバラエティ豊かな面々を迎えて、着々とロックの血を輸血していたのだ。

 ウッドストックで「The Star Spangled Banner(アメリカ合衆国国家)」を演奏したジミヘンよろしく「アメイジング・グレイス」の歪んだギターソロで幕を開けると、白と黒を基調にしたエレガントな装いでバニビが登場。客席にハンドクラップを煽りながら「東京は夜の七時」でワンマンライブをスタートさせる。

 自己紹介後に満員の会場を見て「人しかいないね~」と驚くレナに、「そりゃそうだよね」と即座にツッコミを入れるリサ。さっそくチームワークの良さを見せ付け、入場の遅れで開始時間が押して「東京は夜の7時15分ぐらい」になったことを詫びた後、シンメトリーを活かしたダンスを随所に挟みながら「サカサカサーカス」、メドレー「U♡Me~恋のセオリー~ベイビィ・ポータブル・ロック」と初期の名曲を連打。スタンドマイクを出しての「エルスカディ」では哀切なストリングスをバックに情感豊かなユニゾンを響かせて北欧の風を吹かせる。


次は東京女子流が登場! 続いて「めちゃめちゃ可愛い天使5人です」とゲストの東京女子流を招いて、アルバム『バニラビーンズⅢ』収録のコラボ曲「もうすぐトライアングル」を披露。聖なるコーラスで彩りを添える5人をバックダンサーに従えて、まるで7姉妹のように振りを揃えながら透明感のあるヴォーカルを響かせる。センチメンタルなボッサナンバーの後は一転、ステージは赤い照明に照らし出され、東京女子流が前に出て「眩暈」に突入。東京女子流のセカンドアルバム『Limited addiction』収録のコラボ曲で、訴求力に満ちた5人の歌声とバニビの不穏なコーラスが溶け合い、ドラマティックな空間を作り上げる。

 東京女子流と入れ替わりで応援に駆け付けたのはSupbeans。今年の4月23日にリリースした「ワタシ…不幸グセ」のリリイベでゲスト参加した3人組の黒人コーラス隊で、久々に同曲をコラボ。バニビの新境地とも言えるモータウン調のアレンジが施された昭和歌謡路線で、軽快なトラックに乗せて笑顔でパフォーマンスする5人の動きに釣られて観客も踊り出す。

 会場が一体感に包まれたところで一旦バニビは舞台を去り、スクリーンに前述の「風は吹くのか!?」から特に二人が印象に残っていると言うカジヒデキ、THE COLLECTORSそれぞれとコラボしたライブ映像が映し出される。前半のオシャレ路線からロック路線に移行すると、満を持してバニバンドが登場。

 ドラムに合わせて手拍子が湧き起こり「KIDS」のイントロが始まる。それに導かれて蛍光色が眩いキュートなワンピースに衣装替えしたバニビがクールなダンスを決める。二人の立ち姿はとにかく美しく、激しく踊らなくてもポーズを決めるだけで圧倒的な存在感を放つ。

 空を飛び交う鳥のように伸びやかな歌声が心地良い「Night on the Earth」、爽快なロックンロールナンバー「ノンセクション」、ヒリヒリした緊張感漲る「恋のスナイパー007」、愁いを帯びた「サブカルガールまどか」と緩急自在の選曲が冴え渡る5曲で一気に勝負をかける。生バンドをバックにすると、よりバニビのクリアーな歌声と多彩な表現力が際立つ。

 アイドルのライブとは思えないほど熱狂的な盛り上がりからMCに入ると、方々から「可愛い!」の声がかかる。アイドルなら当然とも言える称賛の言葉に慣れていないバニビは戸惑いながらも、すっかり気を良くしてトークを開始。とりとめのない会話をノンストップで交わすこと約25分! 思わず深夜ラジオの公開生放送に来たかのような錯覚に陥ってしまう。絶妙な客いじりを交えながら、これだけの時間をMCで持たせるアイドルは間違いなくバニビしかいないだろう。
バニラビーンンズ(左=レナ、右=リサ)


次は怒涛の後半戦! 後半戦は「キッスは目にして ぽお!」でセクシーにスタート。飛び跳ねるようなハイトーンボイスを駆使した「きっといい場所(フチ)」、ドライブ感のある演奏と愛らしいユニゾンがスリリングに絡み合う「D&D」、スウィンギンなビートで疾走する「チョコミントフレーバータイム」、スキップするようなスカサウンドでチャーミングな掛け合いを見せる「マスカット・スロープ・ラブ」と畳み掛け、ラストは最新シングル「有頂天ガール」。超絶ファンキーなワウギターが炸裂すると、バニビは観客と一緒に「ヘイヘイヘイ!」とシャウト。強靭なビートに負けじと勇壮に歌う二人の姿は、ロックスターのようにギラギラした輝きを放つ。

 怒号のようなアンコールに導かれてステージに戻ったバニビはダンサブルなポップナンバー「プリーズミー・ダーリン」を熱唱、間奏では客席とコール&レスポンスを繰り広げる。ここで約2年半ぶりとなるニューアルバム『バニラビーンズⅣ』のリリースが2015年2月3日に決定したこと、着替えたTシャツに描かれたイラストがジャケットになることを発表。会場内は祝福の歓声と拍手に包まれる。

 またもや15分近くMCを交えた後、ラストを飾るのは歴史的名曲「ニコラ」。当時のPVをバックに二人は一つ一つの言葉を噛み締めるように歌い、2時間半に及んだパーティーの終わりを告げる。もっともっと来年はバニビのワンマンライブを見たいと渇望させる、年末に相応しいゴージャスな一夜だった。なお『バニラビーンズⅣ』の初回限定版には、この日のライブ映像がDVDとして収録されるとのこと。ワンマンライブに行った人も行けなかった人も必見だ。



セットリスト
01 東京は夜の七時
02 サカサカサーカス
03 メドレー:U♡Me~恋のセオリー~ベイビィ・ポータブル・ロック
04 エルスカディ
05 もうすぐトライアングル feat. 東京女子流
06 眩暈
07 ワタシ…不幸グセ
08 KIDS
09 Night on the Earth
10 ノンセクション
11 恋のスナイパー007
12 サブカルガールまどか
13 キッスは目にして ぽお!
14 きっといい場所(フチ)
15 D&D
16 チョコミントフレーバータイム
17 マスカット・スロープ・ラブ
18 有頂天ガール
<アンコール>
19 プリーズミー・ダーリン
20 ニコラ
『バニラビーンズⅣ』限定版 2015年2月3日発売

『バニラビーンズⅣ』通常版 2015年2月3日発売


  猪口貴裕 実話誌から飲食系の業界誌まで節操なく執筆しているフリーライター。最初に好きになったアイドルは斉藤由貴、心の師と仰ぐアイドルはメロン記念日。

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