最高を超える伝説の一夜へ、大阪☆春夏秋冬 大阪ワンマン「イチハチ」ライブレポ

エンタメNEXT / 2015年10月26日 7時0分

客入れを前にロビーにて。左下から舞奈、恵園、杏菜。左上から由奈、瑠奈、里奈、茉奈。このポーズは四季折々の花、すなわち春夏秋冬を表わしている。

 関西の音楽シーンで名高いライブハウスの「ESAKA MUSE」は、オールスタンディングでMAX400名を収容し、生半可な集客力では埋められないハコだ。そこを舞台に10月18日、東京ワンマンライブ「ハチハチ」の成功という勲章を引っ提げて、大阪凱旋を果たす彼女たち。今やシーンの最前線に浮上しつつある「大阪☆春夏秋冬」(略称:しゅかしゅん)である。

 その人気は本物なのか、ハチハチの成功は夏の一夜の夢ではなかったのか。残念ながら前売り券の売れ行きは決して芳しくなく、メンバーのツイッターには連日、「チケット買ってね!」というお願いが連ねられていた。少女たち7人の肩には、あまりにも大きなプレッシャーがのしかかっていたのである。
  地元・大阪では、4月28日のライブで170人を集めたのが最高記録。当時は涙が出るほど嬉しかったものの、ここではキャパの半分にも満たない。せめて半分は埋まっていてほしい。そんな悲痛な願いを抱きながら、7人はステージの裏側でスタンバイした。緊張が少女たちの心臓を掴み、鼓動が速すぎるビートを刻む。お互いに背中をはたき、円陣を組んで気合いを入れる。

 意を決してステージに飛び出した彼女たちの目に映ったのは……あのハチハチの時と同じ、フロアを埋め尽くす人、人、人だった。その数、350人。後方の関係者ゾーンを考慮すれば、事実上の満員札止めである。
 
終演後の記念撮影を見れば、イチハチが満員の観客に祝福されたことは一目瞭然である。ESAKA MUSEを埋められるアーティストはなかなかいないはずだ。
 驚きと喜び、そして戸惑いを感じながら、彼女たちはガムシャラに踊った。幸いだったのは、オープニングがダンスパフォーマンスだったこと。ひたすらに肉体を躍動させ、ほとばしる汗が、目から流れ出ようとする余計な水分を吹き飛ばす。
 
グッと腰を下ろしての華麗なムーブは、ダンススクールを母体としたグループという出自を感じさせてくれる。

目もくらむような速さのスピン! こんな高難易度のコンビネーションもさらりとこなすのがしゅかしゅんの基礎体力なのだ。
 やがてステージは暗転し、ボコーダーを通した特徴的なコーラスとともに「イチハチ」は幕を開けた。

♪ Oh I can hide, you can hide, like chamaeleon.

 そう、彼女たちは自由自在に姿を変えてみせる『カメレオン少女』。この日初めてしゅかしゅんを体験した観客は、そのダンスと歌声を目の当たりにして、「これが噂の大阪☆春夏秋冬なのか!」と、度肝を抜かれたことだろう。すでにしゅかしゅんの魅力にはまったオーディエンスは、早くも拳を突き上げる。ここに充満する熱気には、汗臭いロックのテイストがかなりの濃度で含まれているのだ。
 
メインボーカルの舞奈が高らかに歌うなか、他のメンバーたちは縦横無尽に予想のつかないフォーメーションを繰り出す。まさに変幻自在なカメレオン少女たちだ。

野郎ども(と女性たち)が、何かを求めるかの如く、ステージに向かって腕を突きだす。
 続く『戸惑い』はハチハチで初披露されたばかりの曲。小気味よいギターに昭和テイストのメロディアスな歌声が乗り、まるで夜の御堂筋のような喧騒をイメージさせる。メインボーカルの舞奈が他のメンバーを誘惑するような仕草は、初見の客に戸惑いを与える。初っ端からいろんな引き出しを見せるしゅかしゅんは、すでに場を支配したかのようだ。
 
『戸惑い』で見せる脚上げのムーブは、バレエのアラベスクか、はたまた上段後ろ蹴りなのか。高いダンススキルがステージの熱さを裏付ける。

舞奈が茉奈に顎クイ! そんな男前な姿を見せつけられたオーディエスはまさに、クラクラするような戸惑いを感じざるを得ない。
 2曲を終えてここで最初のMC。彼女たちの自己紹介は上手から下手、そして上手と、左右交互でしゃべるのが特徴だ。加えて自分の年齢を言うのも習わしで、この日は16歳の由奈、15歳の瑠奈、17歳の杏菜、17歳の里奈、17歳の恵園、17歳の茉奈、そして17歳の舞奈の順番に自己紹介が進んでいった。

 それぞれが抱負を口にするなか、恵園が「最高の日を更新して伝説の日にします!」と宣言。東京ワンマンの「ハチハチ」は確かに最高のライブだったが、それを超えていかないことにはしゅかしゅんの明日は来ない。自分たちで上げたハードルを絶対に超えてみせる。そんな決意をもって、彼女たちはこの日のライブに臨んでいるのである。
 
実にいい表情で満員の観客に応えるメンバーたち。杏菜と由奈のポーズは「イチハチ」だ。

ハチハチを超えると宣言した恵園はさっそく、感涙で顔をくしゃくしゃにする。他のメンバーから「早いよ!」と突っ込まれるものの、実際には全員が心のなかで落涙していたはずだ。
 MC後は、軽快なポップナンバーが2曲続く。まずはジャクソン5のカバー『I Want You Back』。洋楽テイストはしゅかしゅんを彩る大きな要素の一つだ。ダンスもポップさにあふれ、原曲はマイケル・ジャクソンが歌っているが、しゅかしゅん版には女子らしい可愛らしさが詰まっている。
 
『I Want You Back』でサブボーカルをとる杏菜。舞奈の歌唱力ばかりに注目が集まるが、3度や5度のハモりを自在に操るコーラスワークの巧みさも見逃せない魅力だ。
 続いては、シンセの奏でる重厚な和音にガムランのような効果音を乗せたブリッジが流れ出す。アジア風ダンスを思わせる優美な動きでゆっくりと腕を曲げ伸ばしし、それが30秒ほど続いた後、全員が「アチャーーッ!」と叫んでブレイク。舞奈が「ハッ!」とシャウトしたらそう、ゴダイゴのカバー『MONKEY MAGIC』だ。

 記者の私見だが、『MONKEY MAGIC』で見せる空気を切り裂くような鋭角的なダンスは、しゅかしゅんの数ある特徴的なムーブのなかでもひと際、オリジナリティにあふれた傑作だ。どのアイドルにも似ていないその動きが、彼女たちの個性と格好よさを際立たせる。未見の人はぜひ、YouTubeで公式PVをチェックしてほしい。
 
どこかバングルズの『Walk Like an Egyptian』を思わせるようなテイストの振り付けにも、しゅかしゅんらしい洋楽テイストが垣間見られる。

空間を切り裂き、引き寄せる。そんな攻撃的なムーブが観る者の目を惹きつける。日本ポップス史に燦然と輝く名曲『MONKEY MAGIC』に、新たな解釈を加えた必聴・必見の一曲だ。

英語の歌詞も流暢に歌いこなす舞奈。決して英語が堪能なわけではないが、その耳の良さでサウンドとしての英語を完璧に取り入れ、自分の解釈をもプラスして歌い上げるのだ。
 左右対称のフォーメーションで曲を終えると、ステージには5人が残り、「あいうえお作文」のコーナー。観客からお題を募り、イチハチをテーマに作文を作るというもの。ここで指名された観客から出されたお題は「さ」だ。

里奈 “さ”っさせっせと
茉奈 “し”あわせいっぱいの
恵園 “酢”まみれみたいな
瑠奈 “セ”ミみたいにみんなで叫んで
由奈 “そ”わそわともしながら頑張りましょう!

 客席からは「“す”がおかしいぞ!」とのツッコミが入る。というか、“し”以外は全部おかしい気もするのだが、メンバーが見せる明るい笑顔とハニカミが、幸せな空間を作り上げていた。曲中では激動のパフォーマンスを見せ、一転してMCではゆるく剽軽な姿を見せる。このギャップがまた、たまらないのだ。
里奈から順にあいうえお作文を披露。観客から募ったお題が最初、ア段ではない“し”だったのは秘密だ。おそらくは、しゅかしゅんの頭文字を意識したものと思われる。

次ページでは、イチハチの隠し玉企画「しゅかしゅん劇場」を大紹介! ここからはバラードを4曲連ねた「しゅかしゅん劇場」が始まる。メンバーが1人ずつ、自分で考えた一人芝居を見せるという、イチハチの隠し玉だ。ステージには純白の衣装に身を包んだ杏菜が登場。どうやら誰かと電話している様子である。

杏菜 もしもし、うん、うん、んーん、怒ってないよ。でもさ、最近、あの子の話ばっかりするし、あの子のことばかり見てるから、杏菜のことなんてどうでもいいんかなって思って。うん、大丈夫。ありがとー。えっ? うん、杏菜も好き、好きだよ。会いたいな。じゃあね。
 
最も緊張を強いられるトップバッターを任された杏菜。その声と表情に、最初はざわついていた客席もいつしか引き込まれていた。
 ゆっくりと1分以上かけ、ありったけの気持ちを込めて、杏菜は演じきった。目が潤んでいたのは、気のせいではないだろう。その杏菜のモノローグを受けて、ステージには舞奈が登場。出会いと別れを歌う『Last Day』が流れ出す。

 ハチハチでも披露された『Last Day』は、傘を使った演出が見どころのナンバー。メンバーが1人ずつ、歌っている舞奈に傘を差しだしていく。なんでも彼女たちは妖精なのだという。ハチハチでは透明なビニール傘で風情がないとの声もあったが、この日は衣装に合わせた白い傘を用意。ライブの演出も日ごとに進化するのである。
妖精たちに次々と傘を差しだされ、最後の恵園からついに受け取る舞奈。全員が白い衣装をまとい、穢れなき乙女の心を描写していた。

物憂げな表情で、先ほど演じたモノローグでの気持ちを表現する杏菜。バラードの深みがより伝わってくる。
 続いてのしゅかしゅん劇場では4人がステージに並び、それぞれの“あんた”に向かって、思いのたけを告げる。その目にはキラリと光るものが。そんな迫真の表情と声に、客席からも鼻をすする音がいくつも聞こえてきた。

瑠奈 もしもし、電話かけてゴメン。わかってたよ、あの子のこと好きってこと、わかってた。でもな、こうやって最後に声聞けて良かった。瑠奈やっぱり、瑠奈やっぱり、あんたのこと……
 
中3の瑠奈が別れの辛さを口にする。「オレも中学生の時、失恋したっけ」と、多くの観客が自分の思いを重ねたはずだ。
由奈 大丈夫、平気やから。気にせんといて。だけどやっぱ、1人じゃ何にもできひん。だから、離れんといて、1人にせんといて。由奈やっぱ、あんたのこと……
 
「何にもできひん」 そんな素の関西弁が余計に、少女の気持ちをむき出しにさせる
里奈 わかった。今までありがとう。幸せやった。だから、最後に一言だけ言っていい? 里奈、あんたのこと……
 
「今までありがとう」 それは素直な気持ち、そして偽りの気持ち。里奈自身でさえ、それが本心なのかウソなのか分からないのだろう。
恵園 雨、降ってきた。んーん。でもなんか、でも一つだけ言っていいかな。生まれ変わってもな、生まれ変わっても恵園にはあんたしかおらんねん! やっぱり、やっぱりあんたが……
 
恵園が見せる激情、情念、そして悲哀。17歳とは思えない心の叫びに、観客はどこまでも引き込まれていた。
 物憂げなピアノのメロディに乗せて、舞奈が『もしも逢えたなら』を歌いだす。

♪雨に涙の邪魔をされて、最後の涙も見れずに

 その涙を、そして別れの辛さを全身で表現するメンバーたち。バラードにあまり興味がない観客さえも、ステージ上に描き出される情景に、いつしか自分の記憶を重ねていた。
 
まるで天に捧げる儀式のようなシーンが撮れた。少女たちの思いはどこに届くのだだろうか。

茉奈が見せる悲痛な憔悴。恋事はいつでも人を苦しませ、傷つけ、そして時に成長させていく。
 やがて曲が終わり、次の演技は誰かと思った刹那、いきなり鳴り響く雷鳴。真っ暗に暗転したステージに一人立ち尽くすのは舞奈だ。そう、先ほど4人が語った“別れ”のあと、ボクは一人ぼっちになってしまったのである。

舞奈 ずっとそばにいるって、約束したよね? (ひっく)ボクを、ボクを一人にしないでよ!

 一人ぼっちで舞奈が『ロミオ』を歌うなか、他のメンバーは地にひれ伏し、やがて立ち上がり、天に祈りを捧げる。そこにあるのは絶望か、それとも希望か。
 
雷鳴を不安げに見上げる舞奈。他のメンバーが座った姿勢で始まる『ロミオ』も、今日はその振り付けが特別な意味を感じさせる。

天に捧げる歌と祈り。だがその願いを叶え、その苦難を克服できるのは、おそらくは自分自身でしかないのだ。
 やがて雨はやみ、夜が明け、希望の光が差し込んできた。

茉奈 あかん、あかん! あきらめたらあかん。大切な夢なんやろ? 絶対に叶えるって決めたんやろ? だから負けたらあかん。ずっと応援してるから、茉奈がずっと隣におるから、な?

 そんな茉奈は、相手を励ます言葉で、自分たちも鼓舞しているのであろう。大きな注目を浴びる存在になりつつも、この先が見えない不安とも闘っている大阪☆春夏秋冬。しかし、明けない夜はない。なにより彼女たちの目の前には、何百人もの味方がいる。いまステージを照らす光は、ファンの応援という太陽なのだ。
 
意を決して強い決意を放つ少女の表情は、なによりも美しい。
 そんな太陽の陽光を歌にした『SHINE』は。しゅかしゅんの行き先を照らす光そのものだ。別れと孤独を克服し、出会いからの旅立ちを表現した“しゅかしゅん劇場”。その最後を締めくくるこの曲では、舞奈の信じられないほどに美しいファルセットが鳴り響いた。掛け値なしの生歌が会場中を自由に飛び回り、聴く者を祝福する。
 
夜は明け、希望が芽生えた。少女たちが四方八方に伸ばす腕は太陽の輝きそのものだ。

先ほどまでの情念は陽光で蒸発し、少女たちの表情に笑顔が戻ってきた。ボクらの大好きなしゅかしゅんが、帰ってきた。
 すっかりと魂が浄化された観客たちに、今度は大阪らしい笑いで幸せを注入する時間だ。ここからは「恵園ちゃんのトークコーナー」である。しゅかしゅんの狂言回し役である恵園が、メンバー1人ずつを呼び込んで、いろいろと聞きだすお楽しみの時間だ。

 ここではメンバーごとに設定されたテーマに沿ってトークを展開。できれば会話のすべてを掲載したいところだが、ここは要所だけで勘弁いただきたい。それでもかなり長かったりするのでご容赦を。

■舞奈のお題/天然

舞奈 みなさん、象さんって知ってますか? でもこの世の中には、知らない人もたくさんいるんです。私たちは恵まれているからこうやってステージに立ってパフォーマンスできて、もう何もかも知っている。いや、それはわからないんだけど、ある程度のことは知ってます! 象っていうものを知らない人が、たくさんいるんですよ、この世の中には! だから、象さんを知っていることに対して、感謝の気持ちを持ってください! これからも、象さんを大切に。キリンだってぴょんぴょん。

■茉奈のお題/天才とアホの違い

茉奈 天才とアホは一緒やと思う。変わりなしみたいな? そうそう紙一重! 天才の人ってさ、変わってるやん。だから一緒かなって。天才=変=アホやから、天才=アホみたいな。(自分は天才かアホかと聞かれて) 茉奈ちゃんは凡人~。でもいっこだけ聞いてほしいねん! 今日な、朝、1人で江坂駅でコケてな(ヒザのけがを見せる)。
 
江坂駅の階段で負傷したというヒザ。ちなみに絆創膏を貼ったのは終演後、後物販の直前だった。
■由奈のお題/芳森動物園について(※名字が芳森)

(車に乗っている時に突然叫ぶことを指摘され)
由奈 違う、恵園ちゃんのせいやで、多分。なんか出てくるから。じゃあやったろかー。(恵園に向かって)ヒャーッ!(※強烈な金切り声)

■杏菜のお題/ハチハチでメガネを投げなかったことについて

杏菜 投げたよ。(動きを再現してみせて) ちょっと言い訳さして! 当たってん、誰かに当たってん! (誰もおらんやん、と言われ) でも何かに当たってん! 今回はな、奥まで投げるで。今日はちゃんとポーンって投げます!

■里奈のお題/瑠奈ちゃんについて

恵園 正直に言おうや、この際やから。(ボソっと)うっとうしいよな?

里奈 謝る時、「ちょり~!」ってね。

恵園 瑠奈ちゃんは妹キャラで可愛いねん。だからなんでも許してもらうねんけど……(会場に)お母さんとか居るから言われへんけど……(口真似で「うっとうしい」)。恵園ちゃん、もう相手しきれへん。最近思うねん、もう限界。

里奈 でも恵園ちゃん、(瑠奈とのやり取りを)楽しんでるよ。

恵園 じゃあ、りなちに任せてもええ?

里奈 ……ほかの子に言お?

■瑠奈へのお題/里奈ちゃんについて

瑠奈 おし! マジで!? 正直、うるさい。前ね、3人でゴハン食べに行ったんですよ。バイキング行ったんですよ。でな、いっぱいあんねん、ラーメンとか、寿司とかな。でな、そこ行ったら「まず里奈これ取って~」って、めちゃいっぱい食べるんですよ!

■恵園へのお題/いつ何をしてても変な動きをする

恵園 そんなん、したことないけど……。え、その動き? これ、喜びやん! 喜びの象徴やん。(天才でもバカでもなく変、と言われて) 天才やと思っているから、自分で。
 
里奈が、瑠奈の「ちょり~!」を再現! 最近のJCはいかにもノリが軽いらしい。
 そんな抱腹絶倒でぐだぐだのトークコーナーが終わり、ライブは中盤へ。ここからは『We will Rock You』『C'mon!』『BABY』と、気持ちの上がるアッパーチューンの3連発だ。

次のページでは感動のラストMCからアンコールまでを完全詳報! ライブもいよいよ後半戦。まずは『We will Rock You』の前半でじっくりと会場を温め、後半は一転して激しいダンスで挑発するという強弱のコントラストで観客をあおる。クイーンのカバーゆえメロディは初見の人でも身に沁みついており、誰でも盛り上がりやすいのがポイントだ。

 赤いライトで会場を染め上げるこの曲のポイントは、恵園の呼び上げに応じてメンバーが1人ずつジャンプする速攻の自己紹介。ここで恵園がまさかの「芳森! 八木! 宮本!」と名字バージョンを披露し、不意を突かれた観客とメンバーは思わず爆笑。そんな変化球には唸らされる。
 
芳森由奈に続き、八木杏菜がハイジャンプ! 芳森さんは着地姿勢で破顔一笑だ。
 続いての『C'mon!』は、全身を駆使した振り付けが見どころのダンサブルなナンバー。いまや間奏のギターソロに合わせて「♪ダーララララ、ダーラララー」とファンが合唱するシーンもおなじみとなっており、今後しゅかしゅんのライブに参戦したい人はぜひ、ライブ映像で予習しておきたいものである。
 
右に左にステージを切り裂くダンスの激しさ。これがしゅかしゅんの真骨頂だ。

こんな髪型のメンバー(左)いたっけ? と思ったアナタ、恵園さんですよ。奇跡の一枚ですね。
 そして『BABY』は初恋にのめり込んで、失恋の痛手を負うストーリー。ご存知ジャスティン・ビーバーのカバーで、本家ビーバー版では観客の女子たちが黄色い声援を挙げるところだが、ここしゅかしゅん版では、お互いにハグしながら歌うメンバーを観て、野郎どもが唸り声を挙げるのである。
由奈の上半身をしっかりと抱きしめる舞奈。嗚呼、その手がなまめかしい。

今度は茉奈が舞奈をあすなろ抱き! 「お前~、やめろよ~」と言わんばかりの舞奈の表情がたまらない。
 そんな楽しい時間も過ぎ、いよいよライブは終盤へ。ここで本編最後のMCが入る。350人の観客が詰めかけ、声援の熱さもノリの良さも文句なしと、「イチハチ」はすでに成功したと言っていいだろう。そんな満員の客席に向かい、メンバーはひとりずつ感謝の気持ちと、今後に向けての抱負を口にした。

杏菜 今日は改めてなんですが、ここ江坂ミューズに遊びに来てくださってありがとうございます。ハチハチライブに引き続き、イチハチライブをさせて頂けるのは嬉しいし、こんな幸せな時間をたくさんの方と一緒に過ごせたことがすごく嬉しくて、なによりこのメンバーと一緒にこのステージに立ててやれてることがなにより幸せで、たくさんの人に支えられているからこそできてるんだなってことを実感して、いまこのステージに立たせていただいているんですけど、ライブがまだまだ続くので、笑顔を絶やさず、泣かずに。今日は本当に有難うございました!

里奈 今日はみなさん、来てくださって本当にありがとうございます。8月8日は東京でワンマンライブで、今日10月18日はここ江坂ミューズさんで大阪でワンマンライブをさせて頂いたんですけど、こんなたくさんの方が来てくださるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。そして杏菜ちゃんも言ってたんですけど、この7人でこのステージに立って、みなさんとこんな幸せな空間にいれることが嬉しいです。そしてこれからは、もっともっとこのイチハチを超えて、もっともっと上に上がっていけるようにレッスンや毎回のライブを大切にして、頑張っていこうと思います。

瑠奈 今日は大阪☆春夏秋冬イチハチワンマンライブに遊びに来てくださり、ありがとうございます。始まるまでに、チケットが全然売れてなくて、ハチハチはいっぱいの人が来てくださって会場もいっぱいでライブしたのに、イチハチはどうなんやろうなって思ってて、でもステージ出てきたら、みんないっぱいいて、笑顔で迎えてくれて、このステージに立てて良かったなって思います。ハチハチのあとに全国流通のCDの発売が決まったりとか、しゅかしゅんが変化できたと思うライブだったので、イチハチが終わってからももっと進化できるように頑張りたいと思います。みなさん、この後ももっともっと楽しみましょう!

由奈 今日はイチハチライブに来てくださって、本当にありがとうございます。前のハチハチのときは一週間前にTIFがあったり、夏休みとかでみんなのそれぞれの時間の余裕も今よりもあって、今の少ない時間のなかで、ほかのライブにも出演させていただくなかでの練習だったり、全国流通のCDが決まったり、少しずつ上がらせていただくことはすごく嬉しいんですけど、そのぶん今日のワンマンでお客さんが少なかったらどうしようって不安が自分のなかですごくあって。どうしようってみんなで……みんなで切実になりながら、先生の言葉とかももらって。自分のなかで納得の行かんこともあったかと思うけど、そのぶんおうちとかで練習したり、こうやってみなさんがライブに遊びに来てくださっているからこそ、私たちの今があると思うので。これから私たちの目指すところは形ではわからへんけど、もっと上なので、高い位置を目指して頑張るので、これからみなさんもしゅかしゅんについてきてください!

茉奈 なんか考えてたこととかみんな言ってくれたから、何を言うか迷ってしまうんですが、ハチハチを成功したって言ってもらってすごく嬉しくて、そのあとにすぐこのイチハチが決まって、ハチハチが良かったって言ってもらえている分、プレッシャーっていうか、ハチハチを超える日にしたいという思いが自分のなかで強くて。でもハチハチと同じことをしてたらみんなも見てて「ああ一緒か」って思うかも知らへんし、もしかしたら飽きてくる人もいてはるかなって考えたりもして。正直なんか、ハチハチよりも不安やったというか、すごい頑張らなあかんなって思ってて。

 学校とかも始まって時間もないし、しゅかしゅんのことも学校のこともせなあかんし、すごく不安でいっぱいやったんですけど、今日みんながいっぱいいてくれて、話も聞いてくれて笑ってくれて、この場所に入れることが幸せやって思うし、この場所が好きやし、みなさんともっともっと広い会場でできるところをみなさんに観てほしいし、これからまた頑張ろうって思いました。今日は一日有難うございました。最後まで楽しんで帰ってください!

恵園 あのハチハチのときに、みなさんが見たこともない泣き声とか泣き顔、それを超えることを目標に来ました。抑えようとも思ってたんですけど、最初出てきたときにこんなにたくさんのみなさんがいてくれると思ってなくて、歌おうとしても口が上手く動かなかったりして。正直、チケットもハチハチ以上にヤバい状況やって、ホンマにこの半分も来るのかなってさっき(の開演)までは思ってました。遠いところから来てくださったりとか、みんな優しいとか、それはそれは……。今日は大阪っていうこともあって、ホームの大阪でみなさんと一緒に最高の時間を共有できることがすごく嬉しく思います。これからもたくさん……まだ未熟なしゅかしゅんですが、いつまでもついてきてくれるとすごく嬉しく思います。今日はありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
 
哭きの恵園はすっかり目を腫らせてしまい、いつしか新メイクにイメチェンしたかのような状態に。そんな彼女を含め、メンバーたちの言葉には純情かつ素直な思いがこもっていた。
舞奈 (恵園の号泣を受けて)話づらいわ!(笑) あらためまして、みなさん今日は来てくださってありがとうございます。ハチハチのときはですね 舞奈も恵園みたいに号泣しちゃって、感想を言ったんですけど、まいは小さいころから大阪城ホールでワンマンライブすることが夢だったので、それまでは泣かないって決めたので、泣きません! そこ(ハチハチ)がスタートで、ゴールは大阪城ホールじゃないけど。

 でもね、あらためてこの7人に出会えて良かったなって思います。(6人だろとツッコまれ)7人目はみなさんということにしましょう。本当にこんなめちゃ天然やし、そんなリーダーやけど、それでもついてきてくれる6人がめちゃ楽しくて、これでもホンマにリーダーなんですよ。ホンマに何もできてなくて、でも、周りの6人がお互い支え合って、ビジネスメンバーみたいのじゃなくて(ビジネスメンバーという言葉に会場がざわつく)、ホンマに仲いいメンバーやんか。誰にでもなんでも話せるし、まい、この6人じゃなかったら絶対に、挫折した時とかどうしていいかわからへんし、絶対ひとりになって泣いて、落ちこぼれになってると思うし、でもたぶん、この6人やからこそ舞奈は、挫折とか後悔とか不安とかいっぱいあったけど、でもこうして一つ一つ目標を叶えていけてるって思うんですよ。

 皆さんもそうなんですけど、今日歌っている時に目つぶったんですよ。そしたらね、目つぶってても感じる何かがあったんですよね。この6人とみなさんの何か熱いものが。あと関係者とか親とかもいて、ホンマに熱いものを感じたので、絶対に7人の目標は叶えたいと思いました。なので、これからもみなさん、こんな私たちですけどどうか、一緒についてきてください!

*****

 なんら包み隠すことのないむき出しの言葉に、観客は全神経を傾け、メンバーたちの思いを真正面から受け止めたことであろう。いまここにいる全員が、大阪☆春夏秋冬を信じている。そんな一体感が場に充満していた。
 
エモーショナルなMCに我を忘れたのか、フォーメーション移動に戸惑う恵園を、最年少の瑠奈がすっとエスコート。お互いの信頼関係が本物である様子が伝わってきた。
 そして本編ラストの2曲。まずは最新シングルのカップリング曲である『妄想ラプソディ』。広瀬香美を思わせる品のいい大人のポップスは、心情を吐露したトークで重くなった空気を解きほぐすには、絶好のハッピーチューンだ。
 
彼女たちが指差す先には、どんな夢が見えているのか。会場のファンもその夢に、どこまでもついていきたいはずだ。
 続いて舞奈が「最後の曲をお届けします」と告げ、曲名を言わずにステージの切っ先に立ち、他のメンバーは後ろで逆V字を描く。このフォーメーションは見たことがない……といぶかるファン。そこに舞奈がアカペラで、あのフレーズを歌い始めた。

♪ I just keep on leading you sing now and this song.

♪「歌い続ける僕らの唄!!!」

 すかさずオーディエンスたちが反応してみせた。そう、これを聴かなきゃ、しゅかしゅんのライブは終われない。ここにいる350人を一人残らず跳ばせてみせると。『Let you fly』が場を沸騰させる。
 
いつもの半分にも満たないスローなテンポで、舞奈はコール&レスポンスを促すフレーズを客席の最後方にまで鮮やかに響かせた。

「fly!」 一体どこまで跳んでいけるのか。その高みに挑戦するかのように彼女たちは、熱く高く舞い上がる。
 7人の少女たちは客席に向かって拳を突きだす。ステージの先端で交わされるフィストパンプ。後方の観客もみな、拳を突き上げる。そしてステージ上と客席が一体になっての集団ヘドバン。この泥臭さが、そしてとてつもない熱量が、大阪☆春夏秋冬の大阪☆春夏秋冬たる所以なのだ。
 
拳と拳を交わすその光景は、アイドルやアーティストといった枠を超えた、表現者と信奉者による熱き想いの交流だ。

最早おなじみとなった、腰から打ち込む集団ヘドバン。客席でもその力強さに負けないヘドバンが繰り広げられる。
 ここまで全13曲を歌い終え、ステージを後にするしゅかしゅん。すかさず客席から「しゅかしゅん!」コールが沸き起こる。ハチハチでは野太い声での「アンコール!」が繰り広げられたが、ここ大阪では、自分たちが求める存在の名を叫び続けた。

 その熱い声に応え、再び現われた歌姫たち。今度は胸に「18」の文字が大書されたイチハチTシャツに身を包み、黒いしゅかしゅんの登場だ。舞奈が「拳を突き上げろ!」とオーディエンスを挑発する。ロック系の曲が多いしゅかしゅんのなかでもひと際ヘビーな『Kill the King』で、さらなる熱量が吹き上がる。

 危険、危険! 女王が討たれ、国王が引きずりおろされる。反逆者がその首を落とす。そんな乱世の言葉に満ち溢れた歌詞は、まるでアイドル戦国時代にカタヤブリな殴り込みをかけたしゅかしゅんの決意を表わしているかのようだ。7人は頭を振り、これでもかとオーディエンスを挑発する。
 
まだまだ足りないと言わんばかりにオーディエンスを挑発するしゅかしゅん。黄色い風呂桶はもちろん、しゅかしゅんのセルフカバー曲『風呂・ザ・キング』へのオマージュだ。

舞奈が射るような視線でボクらを挑発する。その目を逸らしたらダメだ、真っ直ぐ見つめ返せ!

そのハイキックで蹴破れない壁はないとばかりに、彼女たちは鋭い蹴りを繰り出す。
 そして、ファンク色あふれる『BABY CRAZY』が続く。もはやしゅかしゅんにのめり込み過ぎたオーディエンスたちは、イントロのメロディから早くも「バラッパッパッパ バラッパラー!」の大合唱だ。今やおなじみとなったラインダンスでは、いつもの華麗さよりも、力強さが伝わってきた。最後の決めポーズで見せる笑顔には、いつにも増しての達成感すら感じさせるのだ。
 
これまたしゅかしゅんらしさの一つとして定着したラインダンス。グイグイと迫りくる7人の存在感に圧倒される。
 そして最後の最後に持ってきたのは、ハチハチのラスト曲と同じ、『DAWN OF MY LIFETIME』。ここまで成長を続けてきたしゅかしゅんではあるが、東京と大阪の二大ワンマンライブを成功させた今がやっと、未来に向かう長い道程の“夜明け”に過ぎない。舞奈が語ったように、大阪城ホールという夢はあっても、そこがゴールなわけでもない。彼女たちはこれから、さらに厳しく辛い道を切り拓いていかなくてはならないのだ。

♪ 君はもう 自ら選んでしまった宿命から逃げれない

 しゅかしゅんが見せた、そんな覚悟。その覚悟を受け止めた今日のオーディエンスたちは、これからも拳を突き上げ、声を枯らして、彼女たちを応援していくことであろう。
 
彼女たちを照らすライトはいつしか、今はまだ想像もつかないような大会場の眩しい照明へと変わっていくのだろう。
 そしてハチハチの記事でも同じことを書いたが、今からでも遅くはない。彼女たちがやっと170人を集めたのはわずか半年前のこと。まだ全国流通のCDすら持たないのが現状だ。11月と12月にリリースされるミニアルバムや、これから出演する数多のライブなど、入り口はたくさん用意されている。いま彼女たちを体験することで、大阪城ホールへ続く道程を一緒に歩んでいくことができるはずだ。

(撮影・文/カゲ)

【OSAKA ONEMAN LIVE イチハチ セットリスト】

M01 カメレオン少女
M02 戸惑い
<自己紹介>
M03 I Want You Back
M04 モンキーマジック
<MC 5人であいうえお作文>
M05 Last Day
M06 もしも逢えたなら
M07 ロミオ
M08 SHINE
<MC 恵園ちゃんのトークコーナー>
M09 We will Rock You
M10 C'mon!
M11 BABY
<MC>
M12 妄想ラプソディ
M13 Let you fly
<アンコール>
EN1 Kill The King
EN2 BABY CRAZY
EN3 Dawn of my Lifetime
 
終演後、身も心も疲れ果て、放心状態で涙ぐむメンバーたち。この姿もまた、成長の過程として忘れてはいけない。
【大阪☆春夏秋冬 ミニアルバム概要】

1stミニアルバム「ハチハチ」LIVE!!  
発売日 2015年11月24日
価格 初回限定盤CD+DVD 2500円(税込)/FPJ-50001
初回限定盤 CD盤 1500円(税込)/FPJ-50002

2ndミニアルバム Early Season
発売日 2015年12月22日
価格 1500円(税込)/FPJ-50003

いずれもフジヤマプロジェクトジャパンからのリリース
http://fpj.asobisystem.com/
 
すべてを出しつくした状態で精一杯の笑顔を作ってくれた恵園。一方で舞奈さんはウソ泣きです。なぜなら彼女は大阪城ホールまでは泣かないと誓ったからです。
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