ミスター・クリーン 岡田克也衆議院議員に聞く「枝野総理大臣の実現可能性」【井上咲楽の政治家対談】

エンタメNEXT / 2019年5月25日 8時0分

「栃木県生まれの眉毛ガール」井上咲楽の政治家対談、今回のゲストは岡田克也衆議院議員。答えられる質問には丁寧に、答えられないことにはきっぱりとノーコメントを貫く姿に「ミスター・クリーン」という異名は伊達じゃないと思ったイノサクさん。ただ、プライベートの話を伺うと意外すぎる一面が露に。
井上 私は今、19歳で周りには大学へ行っている人がたくさんいます。岡田さんが19歳の頃は、下宿しながら東大の教養学部に通われていたそうですが、どんな学生生活だったんですか?

岡田 今は少なくなっていると思いますが、駒場時代の下宿は賄い(まかない)付きだったんですよ。「賄い」って分かりますか?

井上 ご飯が出てくるってことですよね。

岡田 そう。朝と夜に下宿の大家のおばさんが食事を出してくれるんですよ。大きな家の各部屋と庭に建てたバラックに東大生が4人下宿していて、賑やかで楽しかったですよ。よく覚えているのは、大家のおばさんが犬を飼っていてね。最初はダックスフンドだったんですが、途中で死んでしまってチワワになったんですよ。ところが、このチワワの行儀が少し悪くてね。

井上 いたずらするんですか?

岡田 ある日、僕がたまたま早く下宿に帰ってきたら、食卓の上にチワワが乗っていたんです。それで、僕らの食事を食べているところに出くわして。もしかしたら、それまでもチワワがちょっとつまんだのに気づかず、食事をしていたのかな、と。でもまあ、気にもせずおいしく食べていたわけですけど(笑)。

井上 確かにやんちゃなチワワですね(笑)。下宿のおばさんが作ってくれる料理で好きだったメニューは何ですか?

岡田 ハンバーグと、とんかつかな。

井上 いかにも大学生の男の子が好きそうなメニュー!

岡田 まあ、食べ盛りですからね。

井上 岡田さんは大学卒業後、通産省(現・経済産業省)に入省しました。公務員になることは大学時代に決めていたんですか?

岡田 もう少し前、高校時代から「公のために働きたい」という気持ちが強かったんですよ。だから、その延長線上で、公務員になりました。

井上 では、政治家を志したのはどのタイミングだったんですか?

岡田 それは通産省時代、30代でアメリカのハーバード大学に1年間留学したんですね。そのとき「ああ、政治もなかなかいいな」「政治家になる道もあるのかな」と思いました。

井上 どうしてそう思えたのでしょうか?

岡田 当時のアメリカはレーガン大統領の時代で、日本よりも政治家が尊敬されていて、国民の政治への参加意識も強いと感じました。それはハーバードのあるボストン(近郊)という地域独特の雰囲気だったかもしれないですけど。政治家が、あるいは政治が世の中を動かしているという実感。これは日本ではなかった新鮮な驚きでした。

井上 結果、公務員では物足りなくなったという感じですか?

岡田 そうですね。通産省での仕事はもちろん面白かったんですが、できないこともあります。例えば、社会保障に興味があったとしても厚生省に出向でもしなければ、できることは非常に限られます。だから、もう少し自分の関心のあることをいろいろやりたいな、と。

井上 なるほど。

岡田 あとは大臣や政務次官を見ていて、どうなのかな? という思いもありました。いろんな人が政治家を志し、なっていかなければ国の将来が危ういのかなという危機感もありました。

井上 私はできるだけ国会や各種委員会の傍聴に行くようにしています。この間の深夜国会(2019年度予算案の衆議院通過をめぐる与野党の攻防が激化し、3月1日から2日未明まで議論が続いた)も現場にいたんですが、本当に遅くまでお疲れさまでした。

岡田 あれは長かったね。

井上 結局、深夜2時くらいまでやっていましたよね。あのあとはどうされたんですか?

岡田 2時過ぎに国会を出て家に帰って少し眠って、6時半発の新幹線に乗って地元に戻りました。

井上 6時半発! 睡眠時間3時間くらいじゃないですか。

岡田 ちょっときつかったですね。ただ、以前から告知していた街頭演説の予定がありましたから、休めません。午前中に3カ所、回りました。

井上 やっぱり地元での活動は大事にされているんですね。その一方で、東京での岡田さんと言えば、国民民主党と立憲民主党をつなげる立場にいる方だと思います。実際、両党が1つになることは可能ですか?

岡田 難しい質問ですね。簡単ではないな、と。これが1年間、無所属でやってきての率直な感想です。僕は民主党の代表を何回もやっていますし、維新の党との合併で民進党を作った人間の1人でもあります。それだけに1回ばらばらになってしまった党を元に戻したいという思いは強く持って動いてきました。ただ、選挙を経た今は簡単ではありません。

井上 前回の衆院選で民進党は希望の党に合流することになりましたけど、結局、うまくいかずに国民民主党、立憲民主党に分かれ、岡田さんや野田佳彦さんは無所属に。

岡田 特に希望の党から排除された側、立憲民主党を作った人たちからするといろいろな思いがあるわけです。単に元の形に戻しただけではうまくいかない。そこに新しい何かがないと、国民の支持は得られないと思うんですね。

井上 新しい何か、というと?

岡田 やはり、有権者に支持され野党第一党になった立憲民主党を軸に、野党を大きな塊にしていく必要があります。ただ、国民民主党にも優秀な人がたくさんいます。僕は民主党時代、最初に代表をやったのが2004〜5年頃ですが、当時初当選していた人たち、大事に育ててきた人たちとももう1回一緒にやりたい。政策的にも、もう少し幅が必要で、単純に立憲民主党を大きくするだけでは、という思いもあります。

井上 政権交代可能な野党を作るのに必要なものは何ですか?

岡田 今までの最大の問題は代表がいてもまとまりがよくなかったこと。意見が出るのはいいことだけれど、最終的にまとまらない。これが自民党との違いですよね。それが今回、枝野さんが立憲民主党を立ち上げ、強い求心力を持っています。これを大事にして、みんながリーダーを支えていく。そういう党にしないと、国民の信頼は得られない。

井上 枝野さんには最終的にどうなってもらいたいですか?

岡田 枝野さんは野党第一党の党首ですから、もちろん総理候補です。ポスト安倍は枝野だ、と。苦しい中で党を立ち上げて、どうなるか分からない中でも国民が支持をして野党第一党になったわけですから。十分に資格があると思っています。

井上 すごく基本的な質問になってしまうのですが、自民党の一強状態が続いているなかで、政権交代が可能な強い野党を作る意義はどこにあるんでしょうか?

岡田 僕は1990年、36歳のときに自民党から出馬し、初当選しているわけですが、3年後に離党しました。与党である自民党を出るのは人生最大の決断でしたが、根本にあったのは「一党独裁は良くない」という思いです。当時は社会党が野党第一党でしたが、およそ政権を担当しようという意欲はなく、野党第一党である現状に満足していた。それじゃダメだろうと我々が自民党から出て、野党と一緒になることで大きな塊を目指そう、と。それが当時の新生党であり、その後の新進党でした。

井上 その延長線上に民主党時代の政権交代があるんですね。

岡田 与党となった時代も基本的な考え方は変わっていませんでした。与野党が切磋琢磨して、政権交代が当然という状態にならないといろいろな問題が出てきます。例えば、政権がしょっちゅう変わるとなれば政府は隠し事ができません。野党が与党になったとき、前政権の残した文書をすべてチェックできますからね。また、官僚も与党と野党の入れ替わりが当たり前になれば、今みたいに一方的に自民党政権におもねることもなくなる。そういう意味でも政権交代が可能な状態が必要なんです。

井上 政治家として大事にしているのは、どんなことですか?

岡田 一番大事なのは信用だと思っています。政治の世界で言えば、政治家同士の信頼関係です。幸い、自民党、公明党から共産党まで、「岡田は嘘をつかない」「岡田は裏切らない」とそう思ってもらえている有力政治家との関係が築かれています。これは大きな財産。もし、その場その場で取り繕うようなことをしてきたら、そういう信用は築けません。これは何も政治の世界に限らず、大切なことだと思います。

井上 今日お話をうかがっていても、本当に真面目な人柄が伝わってきました。ちなみに、息抜きの時間とかあるんですか?

岡田 テレビはそれなりに観ていますよ。録画してクルマでの移動中に。

井上 バラエティ番組とかもご覧になったりするんでしょうか?

岡田 ごめんなさい。バラエティはほとんど観ないんですよね。

井上 そうなんですね。やっぱり報道番組が多いですか?

岡田 そうですね。ただ、必ず観るのは『きょうのわんこ』(フジテレビ、『めざましテレビ』内コーナー)です。録画しておいて、楽しみにしています。

井上 録画までしているなんて意外です!

岡田 そうですか? うちにもワンちゃんがいるんですよ。ヨークシャーテリアの小さいのですけどね。試しに画面を観せるんですけど、興味を示しません。どうやらうちのは、自分を犬だとは思っていないみたいなんですよね。人間だと思っているのか、鏡を見せても絶対に横を向きますから。犬としての自分を否定しているのかもしれないです。

井上 じゃあ、ワンちゃんと遊ぶのがリフレッシュに?

岡田 餌やりが私の仕事なので、家族の中で最もリスペクトされていると思いますよ。散歩はあんまり行きません。家の中を走り回っていますし、リードを付けられるのを嫌がるんですよ。それも犬だと思っていないからかなと。

井上 名前は?

岡田 ハルです。我が家に来て4年くらい。ペットショップで売れ残りになりそうなところを娘が見て、買ってきたんですけど。今では世話を含めて、私の大事な話し相手になっています。

井上 私、実家で猫を飼っていますけど、なかなかなつかないんですよ。何かコツはありますか?

岡田 ハハハ、動物に好かれるコツか……。どうかな。たぶん、相手をリスペクトすることが大事だと思います。猫じゃなくて、お互い人間だと思って対話するといいんじゃないかな。それが信用を築くことにつながると思いますよ。

「取材を終えて」〜井上咲楽の感想〜
答えられる質問には丁寧に細かく答えてくださり、答えられないことはきっぱりと「ノーコメントで」と、すべての質問に誠実に向き合ってくださったので、岡田さんの真面目さがひしひしと伝わってきました。今の野党は内輪の戦いになっているように見えますが、岡田さんはそんな野党を、枝野さんを中心にまとめようと努力されている方。野党と自民党の奇妙な動きから、これからも目が離せません。

(『月刊エンタメ』2019年5月号掲載)
岡田議員が <新たに選挙権を得た若い世代> に読んでほしい1冊

『民主主義の死に方──二極化する政治が招く独裁への道』(スティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット 著/新潮社 刊)
学生時代に読んだ本で印象的なのは、ドストエフスキーの『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』です。ただ、10年ほど前に、久しぶりに読み返そうとしてみたのですが、もう読めなかったですね。当時と問題意識が変わってしまっているので。分厚いので時間がかかるし、学生時代だから読めたんだなと思いました。最近のオススメはアメリカでベストセラーとなった『民主主義の死に方』です。現在の民主主義と政治の問題点が鋭く指摘されています。
▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は、『サイエンスZERO』(NHK-Eテレ)をなどにレギュラー出演中!
Twitter: @bling2sakura

▽岡田克也(おかだ・かつや)
1953年7月14日生まれ、三重県出身。1990年に衆議院議員に初当選。1993年、政治改革の実現を訴えて自民党を離党。その直後の総選挙を経て、細川連立政権樹立に参画。以後、「政権交代可能な政治の実現」という信念を貫き通す。鳩山政権で外務大臣に就任し、日米外交密約の調査・解明などを実現。野田政権では、副総理として社会保障・税一体改革などに取り組んだ。

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