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『マッドマックス』シリーズはなぜそこまで人気?有村昆が解説「新たなジャンルを作った革命」

エンタメNEXT / 2024年6月12日 11時30分

『マッドマックス』シリーズはなぜそこまで人気?有村昆が解説「新たなジャンルを作った革命」

『マッドマックス:フュリオサ』

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場した女戦士フュリオサの原点を描いた、『マッドマックス:フュリオサ』が5月31日(金)より公開され、映画界が湧いている。なぜ人は『マッドマックス』に惹かれるのか? その魅力と歴史について映画評論家の有村昆が解説する。

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世界中が待望していた『マッドマックス:フュリオサ』がついに劇場にやってきました! 僕はもうポスタービジュアルや予告編を観ただけで興奮と期待度がマックス状態なんですが、若い世代のなかには、そもそも『マッドマックス』とは何ぞや? という疑問があるかもしれません。なにせ45年も続くシリーズになりますから。

なので、今回は歴代の『マッドマックス』作品について簡単におさらいしつつ、どこがそんなにスゴいのかについて解説していこうと思います。

『マッドマックス』シリーズは、1979年~85年に製作された3部作、それから30年ぶりのリブート作『怒りのデス・ロード』が公開されており、そして、その前日譚となる今回の新作『フュリオサ』が5作品目ということになります。監督はスべてジョージ・ミラーが務めています。

1作目の『マッドマックス』は、バイオレンス・アクションムービーの傑作であり、まさに新たなジャンルを作ったともいえる革命的な作品でした。

それまでもカーアクション映画というのはあったとは思うんですけど、『マッドマックス』はレベルが違うというか、一線を画す作りになっていて、なんといっても世界観が独特でカッコいいんですよね。

物語としてはシンプルで、警官と凶暴なバイカーギャングの抗争を描いた復讐劇。主人公のマックスは暴走族専門の特殊警察の隊員で、日々ギャングたちを追いかけている。しかし、そのギャングからの報復でマックスの同僚が重体になったり、さらに奥さんと子供も襲われ、怒りに燃えるマックスの復讐がはじまる…というわけです。



マックスを演じたのはメル・ギブソン。公開当時はまったく無名の存在でした。そもそも最初は『マッドマックス』という映画自体が謎に包まれていて、キャストも監督も知らない人ばかり。その評判も「カーアクションが凄くて、どうやらスタントマンが死んでいるらしい」「その事故の瞬間が映画にそのまま入ってる」など、ショッキングな噂ばかりが広がって、なんかオーストラリアからヤバい映画が来たぞ、くらいの雰囲気でした。それでも公開されると作品の面白さが評価され、熱狂的なファンを生み出す伝説的な作品となっていきます。

ちなみに、この作品でギャングのボスを演じたヒュー・キース・バーンという役者が、36年後の『怒りのデス・ロード』でイモータン・ジョーを演じることになります。

世界中で話題を呼んだ「1」に続き、ほぼ同じスタッフで作り上げられたのが『マッドマックス2』です。

そのオリジナリティ溢れる世界観がさらに進化。前作の10倍に予算が増えたぶん、カーアクションだけでなく、セット、衣装、メイクがパワーアップしています。

核戦争後の世界で、モヒカン刈りの悪党たちが暴れまわるというイメージというのは、いまでは定番ですが、この『マッドマックス2』が元祖。世界中にフォロワーをたくさん生んでいて、代表的なのが『北斗の拳』ですね。

これだけでもジョージ・ミラー監督が映画を超えて、世紀末アクションというジャンルそのものを作り上げたという感じがします。

いま改めて『2』をみると、30年後に作られた『怒りのデス・ロード』や『フュリオサ』のビジュアルやスタイルが完成していたというのがわかる。

人質を車の先頭に縛りつけて爆走するとか、シルク・ド・ソレイユみたいな棒を使ってトレーラーに飛び移るとか、すでにここでやってるんですね。

『マッドマックス』シリーズが素晴らしいのは、どんどんスケールアップしていくというのがあると思います。

例えば、シルベスター・スタローンの『ランボー』シリーズも、最初は登場人物も少ないし、ベトナム戦争で心に傷を追った兵士の暗い話だったりするんですけど、続編の『怒りの脱出』では、めちゃくちゃスケールアップして火薬量の凄まじい戦争映画になった。

マッドマックスも『2』でレベルが上がるんですけど、3作目の『サンダードーム』では、カネがありすぎてちょっとヘンな方向へ行ってしまう。ランボーの三作目『怒りのアフガン』もそうですけど、迷走してしまうんですよね。

『サンダードーム』は、時代的なものもあるんですけど、ちょっとバブリーなんですよ。ティナ・ターナーが出演しているんですけど、なんかカネで連れてきたような感じがするんですよね。サンダードームという円形の檻の中でのバトルも派手に見えますけど、バラエティ番組っぽくて、マッドマックスの世界観からちょっと浮いてしまっている。

この頃にはメル・ギブソンもスターになってますから、その佇まいに余裕みたいなものも見えてる。最後に一応カーチェイスがあるんですけど、なんか自己模倣しているようでハジけないんですよね。

これはスタッフもおそらく納得いってないだろうし、観客もそこまで支持しなかったことでシリーズはストップするわけです。



そして30年の時が流れてリブートの企画が動き出し、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が作られました。ジョージ・ミラー監督は『ハッピーフィート』などのファミリー映画を多く手掛けて、アクション映画はしばらく撮ってなかったですし、年齢も70歳になろうとしてますから、ちょっと大丈夫かなという意見もありました。しかし、完成した作品は今まで以上にパワフルで、凄まじい大傑作となったんです。

世界観はさらに進化してるんですけど、説明はほとんどありません。イモータン・ジョーという男が取り仕切っている砦があって、そこで独自の文化が発展している。そこには白塗りのウォーボーイズという少年たちが仕えていて、銀のスプレーを口に吹きかけて特攻したりする。もう、意味わかんないけど熱量がすごいからOK。

ストーリーもシンプルというか、要約すると、A地点からB地点に行って、またA地点に戻ってくるだけ。それでも最初から最後まで興奮が続くんですよね。音楽も素晴らしいし、編集も凄い。全てにおいてこれぞ映画、という圧巻の作品です。

以前の作品と比べて『怒りのデス・ロード』が特徴的だったのは、女性たちが主役級の活躍をするようになったことですね。なかでもシャーリーズ・セロンが演じた女戦士のフュリオサという強烈なキャラクターは印象的でした。

その秘められた過去を描くというのが新作『マッドマックス:フュリオサ』です。新たなキャラクターも登場しますが、見る前に説明は不要でしょう。これはもう体感する映画、ただただ身を委ねるタイプの作品です。

没入感があるので、IMAXなど、なるべく大きくて音が良いスクリーンで観たほうがいいですね。たぶん僕も、何度も劇場に足を運ぶと思います。

【あわせて読む】『映画秘宝』が2010年代映画ベスト10を発表、ベスト1は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

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