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『366日』『くるり』『9ボーダー』『アンメット』全く異なる記憶喪失ドラマの過去と現在…重要なのは

エンタメNEXT / 2024年6月28日 11時30分

『366日』『くるり』『9ボーダー』『アンメット』全く異なる記憶喪失ドラマの過去と現在…重要なのは

『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)公式サイトより

今年の春ドラマは、主人公あるいはその身近な人物が記憶喪失という設定のドラマが多かった。今回はその中で、記憶喪失と恋愛が絡んだ『366日』(フジテレビ系、月曜21時)、『くるり~誰が私と恋をした?~』(TBS系、火曜22時)、『9ボーダー』(TBS系、金曜22時)、『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジ系、月曜22時)の4作品における、過去と現在の比重を振り返りたい(以下、ネタバレを含む)。

【関連画像】2024年の春ドラマ、”記憶喪失がテーマ”それぞれのハッピーエンド

『366日』では、圧倒的に過去が重視されていた。広瀬アリス演じる主人公・雪平明日香は、水野遥斗(眞栄田郷敦)と高校時代から両想いで、彼が記憶喪失となる直前に交際がスタートしていた。事故で記憶を失った遥斗は、明日香を忘れてしまう。だが、明日香は遥斗が記憶を取り戻すように、同級生と共に懸命に過去の出来事を共有する。作中では繰り返し、高校時代の回想が描かれ、美しかった思い出の中の遥斗を取り戻そうとする。

遥斗は、以前のように生活が出来ず記憶が無い状態でも、献身的に支える明日香に、あらためて恋をする。最終話で、昔の自分に戻ることにこだわる遥斗が、主治医から「過去よりも…今じゃない?」と提示されるまで、『366日』では過去が重要視されてきた。結果的に、遥斗は記憶を取り戻し、明日香と結ばれ家族となる。明日香の強い想いが実った形だ。

『くるり』では対照的に、現在が尊重された。生見愛瑠演じる主人公・緒方まことも、遥斗同様、事故で記憶喪失となった。まことは職場などで聞かされる“過去の自分”に幻滅する。何事にも当たり障りなく、つまらない自分だったのだ。そこに自称・元カレ、自称・男友達、自称・運命の相手だという3人の男性が現われ、“過去の自分”が渡そうとしていた指輪は誰への贈り物だったかが、物語の最大の謎になる。

記憶を失ったけれど、新しい自分に生まれ変わろうとするまことは、3人と交流を重ねる中で、自称・元カレの西公太郎(瀬戸康史)と恋に落ちる。もし記憶を取り戻した時に、“過去の自分”が選んだ男性と、“現在の自分”が選ぶ男性が異なった場合、苦しむことになるのではないかと思い悩んだまことだが、結果的にそれは同じ公太郎だった。

何度か、公太郎が不穏な表情を見せるミスリードもあり、現在見えている景色が“くるり”と変わってしまったら、という不安も抱かせたこのラブコメミステリー。だが、現在に重きを置きつつも、“過去の自分”とも矛盾しない選択で、見事なハッピーエンドとなった。



『9ボーダー』ではより一層、過去よりも現在に比重が置かれた。川口春奈演じる主人公・大庭七苗の前に、身元不明で記憶喪失の通称・コウタロウ(松下洸平)が現れる。七苗の地元や家族とは、まったく馴染みのないコウタロウだったが、そこが温かいホームになっていく。また、記憶が無い中でも、コウタロウは七苗とどんどん恋に落ちていった。“過去の自分”と異なる選択をしたらどうなるのかという、まことのような不安は感じられなかった。

物語の終盤になって、コウタロウは本名が芝田悠斗という人物だと判明し、その婚約者だという女性が登場する。コウタロウは、神戸にある大企業の副社長だったらしく、婚約者と共に、一度は元の生活に戻ろうとする。しかし、コウタロウは記憶が取り戻せず、七苗への想いも断ち切れずにいた。婚約者は、何もかも変わってしまったコウタロウに別れを告げ、破談となる。コウタロウは七苗とその仲間達の元に戻り、こちらもハッピーエンドとなった。

ただ、七苗から見たコウタロウとの物語は幸せに満ちているが、“くるり”とひっくり返して、元婚約者の視点からみる芝田悠斗との物語は、あまりに切ない。悲恋を歌ったHYの名曲から着想を得たドラマ『366日』より、ずっと悲しい物語だ。それでも、元婚約者は、芝田悠斗に過去を押し付けず、身を引いた。『366日』で明日香が遥斗に対し抱いていた、“一生忘れられない恋”というほどの強い想いは感じられなかった。コウタロウが芝田悠斗の記憶を取り戻しても、同じ結末になったのだろう。

『アンメット』では、また別のベクトルで過去より現在に重きが置かれていた。杉咲花演じる主人公・川内ミヤビは、脳外科医でありながら、事故によって過去2年の記憶を失い、新しい記憶も1日でリセットされる記憶障害を患っていた。日々の出来事を綴ったノートを毎日確認し生きるミヤビには、過去に執着することが出来ない。同じ病院の同僚医師で、婚約者だという三瓶友治(若葉竜也)は、ミヤビの症状が改善されるように、どんな時も寄り添い尽力する。またミヤビが命の危機に瀕した際にも、不可能と言われた手術に決死の思いで立ち向かう。

ミヤビは三瓶と出会い、婚約するまでの過程も記憶に無いが、ミヤビの心が三瓶を信じていた。ミヤビのノートに「わたしの今日は明日に繋がる」と記されていた通り、『アンメット』では過去より現在、そして未来へと重心が置かれていたのだ。三瓶がミヤビにそうしたように、ミヤビもまた患者に対し、そう願って行動してきたからだろう。三瓶の手術が成功し、ミヤビの今日が明日に繋がった。記憶の有無に左右されない、2人の強い絆が結実した瞬間だった。

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