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【何観る週末シネマ】インド版ザック・スナイダーが放つ圧倒的”画力”『サラール』

エンタメNEXT / 2024年7月5日 18時35分

【何観る週末シネマ】インド版ザック・スナイダーが放つ圧倒的”画力”『サラール』

『サラール』

この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『サラール』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】役者の眼力にも注目、映画『サラール』場面写真【3点】

〇ストーリー
1985 年、先祖代々盗賊を生業にする部族によって建てられた国カンサール。王ラージャ・マンナルの第二夫人の息子ヴァラダは、第一夫人の息子ルドラに名誉と権力の象徴である鼻輪を奪われてしまう。ヴァラダの親友デーヴァは、ヴァラダのために闘技場の試合に挑み、みごと鼻輪を取り戻す。しかし国内で部族間の争いが発生し、デーヴァの母親が窮地に陥る。駆けつけたヴァラダは自らに与えられた領地と引き換えにデーヴァの母親を救い、デーヴァは母親とカンサールを去って身を隠すことに。デーヴァは別れ際に、ヴァラダに「名前を呼べば、必ず駆けつける」と誓いを立てる。そして時が経ち、2017 年……。

〇おすすめポイント
「KGF」シリーズで知られるプラシャーント・ニールの最新作にして、「バーフバリ」2部作や現在アメリカでも公開中で見事にボックスオフィスのトップ10入りを果たした『Kalki 2898-AD』。そのプラバースとタッグを組んだ新シリーズ第1弾『サラール』がついに日本でも劇場公開!!

インド映画としては珍しく本国で公開される前から日本公開が決まっており、逆に去年公開された「KGF」は、『サラール』に繋げようと、急いで配給したことが感じられる。つまり、本作こそが大本命なのだ。すでに2作目『Salaar Part 2 - Shauryang Parvam』が制作中であり、本編を観ればわかるが、今作はプロローグ的な構成となっている。

プラバースは言うまでもないが、今作には眼力の強い俳優が集結している。もうひとりの主人公のヴァラダを演じるプリトヴィラージ・スクマーランもそうだ。プリトヴィラージは、もともとマラヤーラム語映画のスターであり、その頃から眼力の強い俳優として知られていた。南インドだけではなく、ラーニー・ムカルジー主演の『あなたを夢見て』(Netflixで配信中)など、北インド映画にも出演しており、今年公開された『The Goat Life』は、アメリカでも高い評価を受けた。

そして忘れてはならないのが、アディヤ役のシュルティ・ハーサンである。今作では子犬のような表情をしているが、実はアーティストとして有名であり、アメリカに留学して音楽を学んだ経験からも英語の発音はネイティブレベル。

2023年10月にリリースしたフルイングリッシュソング「Monster Machine」は、マリリン・マンソンやナイン・インチ・ネイルズから影響を受けたメタルであった。女性の強さを体現してきたシュルティが子犬のような表情というのは違和感があるため、次回では覚醒することを期待したい!!

『サラール』を観ると、ストーリーとしてはインド特有のものを感じるかもしれないが、ビジュアルはインド映画的ではないと感じるはずだ。それもそのはず。インドにはアメリカやヨーロッパ映画の遺伝子を受け継いだ監督というのも少なくない。

インドにおけるアメリカ映画の輸入量というのは、最近までそれほど高くはなかった。ケーブルテレビや一部の作品の劇場公開で入ってきていた作品もあるが、数えられる程度である。映画家系や一部の富裕層は観れる環境があったかもしれないが、一般的にはあまり伝わっていなかった。地方であれば余計に。

しかし2010年代後半になり、配信サービスが普及したことによって、それは崩壊することになる。ネットさえ繋がっていれば、誰もが世界中の作品にアクセスできるようになったからだ。

例えば『RRR』のS.S.ラージャマウリはメル・ギブソンの作品にかなり影響を受けているし、『スーリヤヴァンシー』のローヒト・シェッティはマイケル・ベイやジェリー・ブラッカイマーあたり。これからも世界中の映画遺伝子を引き継いだ映画人たちが続々と誕生していくだろう。

なぜこんなことを言うかというと、プラシャーントの場合は、「KGF」でわかる通りザック・スナイダーの影響が強いからである。というよりもグラフィックノベル的な画作りを求めるとそこに行き着くのかもしれない。

マーベルの場合は、どちらかというと”コミック”という印象が強いが、”グラフィックノベル”感が強いのは、圧倒的にDCであって、グラフィックノベル的な作品に仕上げようとすると、なんとなくザック・スナイダーっぽくなるのかもしれない。

そんなプラシャーント作品の特徴は、素早く切り替わる大量のカットと音楽によって演出された”全編予告編”的な観るのが忙しい構成である。それを良いと感じるか悪いと感じるのかは人それぞれであるが、ここまで貫いているのだから、もはや作家性として認めるしかない。

「KGF」の際にも、そういった構成自体には賛否が巻き起こった。それに少し反省したのか、ラヴィ・バスルールの音楽は効果的に機能しているかが、「KGF」がやり過ぎだったの対して、少し控えめとなっているが、その分セリフの重みとバイオレンス描写は増している。

しかし相変わらずの画作りであるし、全編にわたってキメショットが満載。そういった点も、まさにインド版ザック・スナイダーといえるだろう。

〇作品情報
監督・脚本:プラシャーント・ニール『K.G.F』シリーズ
出演:プラバース、プリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブほか
2023 年/インド/テルグ語/シネスコ/5.1ch/174 分
字幕翻訳:藤井美佳/字幕監修:山
田桂子/提供:ツイン、Hulu/配給:ツイン PG12
公式 HP:salaar-movie.com
7月5日(金)より全国ロードショー

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