アメリカン・コメディ界のトップがアニメ映画で共演『怪盗グルーのミニオン超変身』
エンタメNEXT / 2024年8月6日 18時51分
(C) Illumination Entertainment and Universal Studios. All Rights Reserved.
2010年の『怪盗グルーの月泥棒』からスタートした「怪盗グルー」シリーズ第4作となる最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』が現在公開中だ。
【写真】『怪盗グルーのミニオン超変身』場面写真
「ミニオン」シリーズ、さらには短編やテレビスペシャルなどもあるため、何が何のシリーズなのかが、わからなくなってしまう部分もあるだろう。映画版においては、グルーが大人のシリーズが「怪盗グルー」で、子ども時代のシリーズが「ミニオン」と区別すると、わかりやすい。
日本でもミニオンの存在は幅広い世代に認知されており、2010年代以降に登場したキャラクターとしてはかなりの功績を残した。
日本語吹替版ではグルーの声優に笑福亭鶴瓶を起用し、関西弁MAXなグルーとなっていることもあって、日本独自の、良い意味で”異質感”を加えることに成功している。
グルーが子ども時代の物語であっても、笑福亭鶴瓶は続投しており、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションでも関西弁。グルーは、すっかり関西弁のキャラクターというイメージだ。
しかし、「怪盗グルー」「ミニオンズ」シリーズを深く知るうえで、改めて注目してもらいたいのは、オリジナル版の声優はスティーヴ・カレルだということ。
カレルといえば、『俺たちニュースキャスター』(2004)や『40歳の童貞男』(2005)などで知られるコメディアンでありながら、『フォックスキャッチャー』(2014)では、アカデミー賞にノミネートされた。さらに「さらば冬のかもめ」の続編小説を映画化した『30年後の同窓会』(2017)では、戦争で息子を亡くした父親を演じるなど、コメディ映画とは真逆の繊細な演技も高く評価される俳優である。
そんなカレルのクセが強く反映されたグルーの人格は、コメディの部分と繊細な部分、つまりカレルの丁度、中間的な存在。そのため、日本語版とは違った楽しみ方を提示してくれるはずだ。
さらに言えば今作に登場するグルーのライバル、マキシムにはカレルと同じコメディ集団「フラト・パック」のウィル・フェレル、脚本に『スクール・オブ・ロック』(2003)の脚本家であり、ジャック・ブラックの親友でもあるマイク・ホワイトが参加していることから、アメリカン・コメディ色は今まで以上に強くなっているのだ。
ストーリー上の見所としては、やはりタイトルにもなっている超能力を得た”メガミニオン”が登場することことだ。
それもあって、随所にアメコミ映画のオマージュがある。例えば『スパイダーマン2』(2002)の暴走列車を停める名シーンもオマージュされているし、「X-MEN」シリーズのサイクロップスのようなミニオンも登場する。
あくまでグルーが主体となっていることもあり、メガミニオンたちが活躍不足な気がしないでもないが、シリーズを盛り上げる要因がまた増えたということで、今後にも期待したいところだ。
全体的なストーリーとしては、王道的ではあるし、想像を絶するほどの展開はないが、逆に言えば安心して観られる作品だといえる。あくまでターゲットは子どもとファミリー層なのだから、それで良い。
イルミネーションの作品は、もともと絵本作家のドクター・スースにリスベクトしたものが多く、実際に『ロラックスおじさんの秘密の種』(2012)や『グリンチ』(2018)といった作品も映画化している。以前はドクター・スースの自伝映画化企画もあったりしたほどで、子どもを楽しませるという精神は、やはりドクター・スースの精神が強く反映されている。
子ども向けの作品に対して、大人の視点から評価してしまうと、どうしても描き足りない部分というのは見えてきてしまうが、そういった作品を観る場合は、ある程度、自分の目線を子どもの目線まで落とすことが必要だ。
王道的でベタではあるかもしれない、テーマ性も繰り返されるが、子どもたちに大切なものを伝えるためのアニメ映画として今後も続いてほしい。
【ストーリー】
グルーJr.が誕生し、幸せに暮らすグルーファミリー。ある日、同窓会で再会したグルーの高校時代のライバルで因縁の宿敵マキシムが積もりに積もった恨みを爆発させ襲い掛かってきた!命を狙われることとなったグルーファミリーは、素性を偽り新しい街へ。ミニオンたちはAVL(反悪党同盟)へ集結し、ファミリーを守るために日々鍛錬を積み、選りすぐられた5名のミニオンがスーパーパワーを持った<メガミニオン>に超変身!そんな中、グルー家の隣人で、悪党を夢見る中学生・ポピーはグルーの身元を暴き、危険な企みに巻き込む。そしてグルー一家の居所を割り出したマキシムの魔の手もすぐそこまで迫っていた……。
【クレジット】
キャスト: スティーヴ・カレル、クリステン・ウィグ、ウィル・フェレル、ピエール・コフィン、ジョーイ・キング、ソフィア・ベルガラ、スティーヴン・コルベア、ミランダ・コスグローヴ、クロエ・ファインマン、スティーヴ・クーガン、クリス・ルノー、デイナ・ゲイアー、マディソン・ポランほか
日本語版吹替キャスト:笑福亭鶴瓶、片岡愛之助、中島美嘉、山田杏奈、児玉すみれ、須藤祐実、矢島晶子、岩崎ひろし、松本梨香、三木眞一郎、小林ゆう、ならはしみき、高乃麗、木村昴ほか
監督:クリス・ルノー/共同監督:パトリック・デラージ
脚本:マイク・ホワイト、ケン・ダウリオ
製作:クリス・メレダンドリ、ブレット・ホフマン
北米公開日:7月3日(水)
原題:DESPICABLE ME 4
配給:東宝東和
(C) Illumination Entertainment and Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:minions.jp
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