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女子プロレスの甲子園!? この夏、たしかに「青春」を見た…東京女子プロレス夏のトーナメントがエモい

エンタメNEXT / 2024年8月23日 11時30分

女子プロレスの甲子園!? この夏、たしかに「青春」を見た…東京女子プロレス夏のトーナメントがエモい

第11回東京プリンセスカップ

東京女子プロレスのシングル・トーナメント「東京プリンセスカップ」の決勝戦が、8月25日、後楽園ホールで開催される。元週刊プロレスの記者であり、東京女子プロレスの選手4人の人生を綴った『プロレスとアイドル』の著書である小島和宏が、大会前にその見どころ、注目ポイントを紹介する。

【写真】第11回東京プリンセスカップ抽選会

近々、話題の女子プロレスドラマが配信される関係で、今年の夏は毎週のように昭和と平成のレジェンド女子プロレスラーの取材をしてきた。同じ時代を生きてきた人間として、あの時代にタイムスリップできる取材は楽しいものではあったが、同時進行で令和の女子プロレスも取材しているので、もう頭がパンクしてしまいそうになった。

同じ女子プロレスでも昭和と平成ではガラッと様変わりするし、平成と令和でもまったく景色が違う。つまり昭和と令和を比べたら、そこにはとんでもないギャップが生じるわけで……金曜日に昭和のレジェンドの話を聞いて、土曜日に令和の女子プロレスを会場で取材する、なんて日々が続くと「えっ、えっ、どっちも同じ女子プロレスだよね?」と脳みそが混乱してしまうのである。

もちろん、ぼくは昭和の女子プロレスも平成の女子プロレスも大好きだったし、令和の女子プロレスだって面白いから毎週のように試合会場に足を運んでいる。どっちがいいとか比較するのはナンセンスの極みなのだが、昔の女子プロレスにあって、最近の女子プロレスではちょっと希薄になっているかも、と感じるものがある。

それは「青春」だ。

昔は25歳定年制という不文律があったから、トップをとっても王座から転落したら、もう引退せざるを得なかった。本当に短い青春時代をリングで完全燃焼するのが昭和の女子プロレスの美学だった。

そんな不文律はとっくに撤廃され、いまは自由に闘えるようになった。青春を燃やすものではなく、人生を賭けるものに女子プロレスラーの生きざまも変わっていった。このあたりを飲みこめるようになると、令和の女子プロレスをより楽しめる。

ただ、この夏、たしかに東京女子プロレスのリングで「青春」を目撃した。

7.20後楽園ホールで実現したプリンセスタッグ選手権試合。鈴芽&遠藤有栖に荒井優希&宮本もかが挑んだ一戦。試合を前にチャンピオンチームを取材したのだが、プロレスでありがちな「てめぇら、ぶっ潰してやる!」とか「ウチらが最強なんだよ!』といった煽りはゼロ。それどころか笑顔を浮かべながら「ずっと闘いたかったのでうれしい! いい試合にしたいです」。

なんという爽やかさ! これで試合が緩いものになってしまったら困りものだが、闘いは爽やかなのに激しい好勝負に。機動力で勝るチャンピオンチームが見事に防衛を果たしたが、試合後半、突如として覚醒した荒井優希が無双状態でリング上を制圧したシーンが印象深い。SKE48の選抜に復帰したことで、このところ試合数が減ってきている荒井優希。その影響なのか、序盤はなかなかエンジンがかからないように見えたが、とんでもない瞬発力でチャンピオンを薙ぎ払う姿はまさに圧巻だった。

試合後、健闘を称え合いながら両チームは抱き合った。

あぁ、これはまるで女子プロレス版の甲子園ではないか!

大会のスタートが午前中というシチュエーションも相まって、そう思ってしまった。これが令和の女子プロレスならではの「青春」である。 



そして、8月にスタートした夏のトーナメント『TOKYOプリンセスカップ』。これは今年で11回目を迎える夏の恒例行事で、優勝すると秋のビッグマッチでの主役の座が確約される。その秋のビッグマッチでも勝利することができれば、そのまま年末、さらには2025年もリングの主役になれるわけで、非常に重要なトーナメントとなっている。 

毎年開催される、というのがポイントで、特に若い選手はこのトーナメントを見ていると、前年からどれだけ成長したのかが、ものすごくよくわかる。たとえ1回戦で敗退したとしても、試合内容で1年間の伸びは見て取れる。プロレスとは見続ければ見続けるほど面白くなるジャンルと言われているが、まさにこのトーナメントの魅力はその言葉に凝縮されている。

今年の注目はやっぱり荒井優希になるだろう。毎年参加している彼女は、毎年、自己最高記録を更新。昨年はベスト4まで進み、最終的に覇者となった山下実優をあと一歩のところまで追いこむ熱戦の末、準決勝で敗退。今年は危なげなく準決勝まで進出。前年の成績を上回るには、ここで勝利して初の決勝進出を果たしたいところである。

かつてAKB48グループでは年に1回、選抜総選挙というビッグイベントを開催していた。地上波のゴールデンタイムで生中継されるほどの国民的行事となっていたが、多くのメンバーが語っていたのは「総選挙はこの1年、どれだけがんばってきたのかがわかる通信簿みたいなもの」。プロレスと違って明確な勝ち負けがないアイドルの世界では、たしかに成績が数値化しにくい。そういう意味でも票数や順位がハッキリと出てしまう総選挙は、いささか残酷な側面もあるが、1年間の通信簿としてメンバーの励みにもなっていた。いまでも開催されていたら、荒井優希はプロレスファンからの票も獲得して、かなり上位に食いこんでいたはず……そんなことを考えたら、やっぱり決勝進出、そして初優勝に期待してしまう。 

だが、現実はそんなに甘くな

今年に関してはフリーや外国人選手といった外敵が参戦したことで、甲子園というよりも、どこかオリンピック感が出てきている。しかも、その外敵2人が圧倒的な強さで準決勝まで勝ち進んできているのだ。 

荒井優希が準決勝で当たるのは“アニキ”こと水波綾。あらゆる団体で活躍する売れっ子のフリーレスラーで、とにかく強い。しかも強いだけでなく、入場時から客席を熱く盛りあげてくれるプロ中のプロ。まさにプロレスラーとして必要な資質をすべて兼ね備えた存在。もっといえば荒井優希に足りないものを全部、持っているザ・プロレスラーである。

このとてつもなく高い壁を攻略するのは、かなり困難な話。もし、勝ったとしても決勝戦で待ち受けるのは愛野ユキvsザラ・ザッカーの勝者。どちらもパワーファイターなのだが、それだけでなく多彩なテクニックを持っている難敵。高い壁に次ぐ、高い壁。まるでSASUKEのようなステージが今年のトーナメントのクライマックスに待ち受けていた。唯一の救いは準決勝が8.23新宿、決勝が8.25後楽園と中1日空いていること。1日でイッキに決勝まで開催されるとパワーファイターが圧倒的に有利だが、中1日でダメージの回復が見込めることで戦況はリセットされるからだ。もっとも勢いで勝った場合、その勢いにブレーキがかかってしまう可能性もあるのだが……。 

注目度では荒井優希だが、冷静に分析すると、やはり水波綾の安定感が勝るし、新鋭のザラ・ザッカーの勢いは無視できない。もしかしたら決勝戦が外敵同士による対決になる、という東京女子プロレスの選手たちにとって屈辱的な結末が8.25後楽園のメインイベントで待ち受けているかもしれない。すでに絶対王者の渡辺未詩も敗退し(撃破したザラ・ザッカーの勢いはハンパない!)、もはや予測不能のサバイバルウォーズ。この闘いを見ておけば、いまから来年の夏が待ち遠しくなるのは必至、である。

【あわせて読む】東京女子プロレス“真昼の決戦” 2冠女王を狙う荒井優希、鈴芽&遠藤有栖「絶対防衛します!」

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