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全候補取材25年、選挙ライターが見た「あのお騒がせ知事&市長陣営の、見過ごせない独特なノリ」

エンタメNEXT / 2024年9月5日 6時1分

全候補取材25年、選挙ライターが見た「あのお騒がせ知事&市長陣営の、見過ごせない独特なノリ」

映画『NO選挙, NO LIFE』(監督・前田亜紀)

格差・貧困問題に取り組み、メディアで積極的に発言をしている作家・雨宮処凛が、バンドやアイドルなどを愛でたり応援したりする“推し活”について深堀りするコラムシリーズ第8回。今回のテーマは、選挙と推し。選挙の面白さを伝えるフリーランスライター畠山理仁に話を聞いた。取材・文/雨宮処凛(前後編の後編)

【写真】畠山理仁私物のマイ投票箱、本人タスキ、自作の「選挙漫遊」ステッカー

さて、「選挙」を全力で推す畠山さんだが、彼が提唱するのは選挙戦を見に行く「選挙漫遊」。畠山さんが名付けの親だ。

「だって、こんな面白い”税金を使ったお祭り”は他にないですからね。それに選挙を見に行くことが民主主義を支えることになるんですよ。候補者も、お客さんが来ているとやる気が出て、ベーシックインカムの金額が上がったりするわけです(笑)」

また、実際に自分の目で候補者やその陣営を見ることで、「間違いが減る」という。

「自分が投票するかもしれない人は、生で見たほうがいいと思います。候補者を見るのも面白いんですが、どういう人たちに支えられているかもすごく参考になります。『自分がその輪の中に入りたいと思えるかどうか』というのも非常に重要なポイントです」

確かに。生理的になんか無理、とかこの人たち良さそう、というのは生じゃないとわからない。

「今、兵庫県知事の斎藤元彦さんがパワハラで問題になっていますが、斎藤さんの選挙戦はノリが体育会系でした」

そんな斎藤知事当選の瞬間を、畠山さんは目撃していたという。

「選挙事務所でにぎやかに声をあげていたのは維新の議員が中心なんですけど、当確が出た瞬間、『ウォーッ!』みたいな感じで盛り上がっていました。勝って嬉しい気持ちもわかりますが、事務所の前を迷惑そうに通り過ぎる地元の人たちはそっちのけ、という雰囲気。公職に就く人は『みんなのために政治をする人』です。『勝てば官軍』ではなく、他者への配慮や権力を持つことに対する自制心があってもいいんじゃないかな、と感じました。」

もう一人、「陣営」のノリが独特だったのが名古屋の河村たかし市長。



「投開票日の事務所には支援者たちが来るわけですが、類は友を呼ぶというか、テレビカメラに自分が映りたくて仕方ない、ミニ河村たかしさんみたいな支援者がいたんです。その人はそろそろ20時で生放送が始まりますって瞬間に、いきなり『でっかいキンタマー!』って叫んだんです(笑)。おそらく70歳は超えているおじさんが。周りの人はウケてたんですが、取材してる人たちは『危ねぇ……、生放送に入る直前でよかった』って」 

その陣営でどういう振る舞いが許容されているか。支援者の言動で候補者の人柄や品性、知性も見られていることは肝に命じておくべきだろう。

「本当に陣営によって違うので、いろんなところを見比べると、長年生きてきた勘でわかる。その勘って、生活者、有権者として非常に大事だと思います」

自分の上司とか同僚だったら…という目線で見るのもいいかもしれない。

「それが嫌だっていうのをちゃんと判断するためにも、本人を見た方がいい、ということなんです」

そんな畠山さんが「選挙なんか興味ない」という人にその面白さを伝えるとしたらなんと伝えるのだろう。

「ストリートライブを見に来て欲しい、ですね。選挙期間中に街中で行われる選挙運動はゲリラライブですよ。いつどこで何が起こるかわからない。それに、国政選挙は600億円、都知事選は59億円もの税金が経費として使われます。今、日本人は収入の約46%を税金と社会保障費として納めているのに選挙に行かないのはもったいないです。都知事選は、一票の価値が293万円あるんです。都の予算が8兆4530億円(一般会計)。都知事の任期が4年なのでそれに4をかけて、都民の有権者、1152万4583人で割るとその数字になるんです」

棄権するということは、その293万円の価値がある一票をみすみす捨ててしまうということなのだ。

「選挙は立候補した人しか当選できません。来年には必ず参議院議員選挙が行われますが、参議院議員選挙で被選挙権を持つ『30歳以上で日本国籍を有する人』のうち、実際に被選挙権を行使する人の割合は『25万人に一人』ぐらいしかいないんです。その人が、『絶対投票したいと思える人』であることなんて、ほぼないと思うんですよ。それでも私たち有権者は、候補者の中から間違いが少ない人を選ばなきゃいけない。気軽に票を捨ててしまうと、自分が希望しないことを勝手にやってしまうような人が当選しちゃいますよ、というのはよく言ってます」

そんな畠山さんにとって、選挙は心のオアシス的な要素もあるようだ。



「選挙の現場に行って立候補している方々を見ていると、自分が考えていた常識がバシバシぶち壊されていくんです。本当にいろんな方がいるので、勝手に自分で常識を作って小さくまとまろうとしているなんて馬鹿馬鹿しいなって思えてくる。みんな自由にやっていて、ものすごく楽しそうなんですよね。毎回、選挙の現場にエネルギーをもらいに行っている感じです」

そんな畠山さん、映画がヒットしたことで仕事が増え、もうバイトしていないのかと思ったら、まだしているという。そこまでしても追いたい「選挙」。

さて、次の大きな選挙の日程はまだ未定だが、これから選挙が来たら、ぜひ畠山さんを思い出してほしい。そして候補者を生で見て、その陣営も観察してみてほしい。いろんな発見があるだろうし、何しろ何度会いに行こうともすべてがタダだ。もしかしたら、候補者の中に「推し」ができるかもしれない。

ということで、ぜひ、あなたなりの「選挙漫遊」を楽しんでほしい。

【前編はこちら】選挙の面白さを伝える畠山理仁が見た泡沫候補の政策「江戸城再建、都民全員に3000万円配る」 

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