与党を野放しにしないために…選挙で国民が担う “責任” を安住淳議員が語る【井上咲楽の政治家 直撃】

エンタメNEXT / 2020年1月19日 12時0分

「栃木県ファミリ眉毛ガール」井上咲楽の政治家対談。今回は、財務大臣や防衛副大臣などを歴任してきた安住淳議員が語ってくれた『月刊ENTAME』には掲載しきれなかった、よりディープな政治トークをweb限定版として公開。合流の機運が高まりつつあるなか、はたして今後、野党が1つになる可能性は?
井上 1月からの国会は解散が囁かれていますし、重要な局面になると思います。野党が合流していこうという動きは進んでいますか?

安住 出てきましたね。

井上 1つの党になる可能性はどのくらいですか? これについては、参院選の直後から話はありましたが……。

安住 これまで自民党と公明党を合わせて300議席を超えていて、こちらは50議席、30議席しかないという状況ですよね。民主主義は数ですから、これだけの議席数の差があると戦うのも大変です。ただ、今回の国会では立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、無所属フォーラムが1つの会派を作り、さまざまな問題について政府の大きな矛盾点を問い、掘り下げ、問題を提起して結果を出す。今回の国会で言えば、大学入試制度改革の問題が1つの証明になりましたよね。

井上 はい。

安住 ネットなどを通じて共鳴する国民の方が出てくることで状況が動いていく。100人を超える議員集団になると、政府の問題を調べたり、解明したりできることが分かりました。やっぱり大きな塊になることは大事だね、と。みんなが改めて実感したと思います。その延長線上で、1つの党になろうという動きが出ていると思うんですよね。

井上 野党の皆さんの描く最終的なゴールは政権交代ですよね。

安住 もちろん。

井上 でも、描くゴールは同じでもなかなか1つにはなれない。これはどうしてなんですか?



安住 人間は多種多様で、価値観もそれぞれです。当然、自民党の議員の間にもそれはあるんですよ。ただ、自民党には良くも悪くも権力の近くにいたいと思う人たちが集まっています。一方、野党には自民党に近い考え方で2大政党を作りたいと思っている人もいれば、最初から「自衛隊はダメ」、「天皇制は問題だ」という人もいます。つまり、リベラル派は裾野が広いんですよ。そもそも世の中を変えたいと思って与党から飛び出した人たちには、それぞれこだわりがありますから。これをまとめていくのは、大変なこと。ただ、「野党にいる=権力に媚びない」という共通点があります。私は、この姿勢があるだけで1つになれる可能性はあると思います。

井上 合流に関して、枝野幸男さんは「吸収する形なら」と仰っているじゃないですか。これについては、どう思われますか?

安住 立憲民主党は野党第一党です。例えば、社民党は衆議院議員が2人。国民民主党38人。野党第一党、背骨となるところがしっかりしていなければ、話がまとまりません。企業の合併もそうですが、母体となる会社が軸になって1つにまとまります。ましてや通常国会が1カ月後に始まるという状況です。時間がない中で、野党第一党が中心になるのは自然な話だと思っています。もちろん、その一方で、今までの経緯を思えば「数が違っても対等に話し合いたい」という考えがあるのも当然のこと。時間はありませんが、ここは話し合って着地点を探せばいいんです。

井上 私はれいわ新選組との関わり方がどうなっていくのかな? とも注目しています。参院選のときは立憲の候補の方が山本太郎さんと一緒に演説されていたじゃないですか。2つの党の関わりはどうなっていくんでしょう?

安住 権力に対峙していく姿勢に関して言えば、共通点は非常に多いですよね。まして彼は参院選の直前まで国民民主党にいたくらいですから。ただ、今、彼が注目されているのは脱永田町で、大衆の中に飛び込んで政策を訴えているから。その姿は新鮮に映ると思います。私も1人の政治家として好感を持っています。しかし、現実として考えなくてはならないのが、外に向かって運動することで安倍内閣や自民党を倒せるのかということ。外から「桜を見る会」の問題を追及できるのか。やはり国会の中で、自民党に対抗する数を持った勢力がきちっとチェックしなければ、さまざまな問題は暴けないし、権力と闘えないと思います。

井上 そうですね。

安住 問題提起して国民的議論を巻き起こすには、予算委員会をはじめとする委員会で政府と野党が激しく意見を戦わせてこそなんです。それをパスして、外で自分の言いたいことを言うだけでは、現実の物事は動きません。



井上 次の衆議院選では、前回の参院選と同じように協力していくイメージはありますか?

安住 分からないですね。山本さんの目標としているものは何なのか。共に政権を倒したいと思っているのか。参院選では、れいわ新選組が躍進して、お二方当選しました。ただ、一大ブームを巻き起こして2人当選とも言えます。参議院で過半数を取るために何人必要か分かります?

井上 100人以上ですか?

安住 120人以上必要なんです。120人の議員を当選させるには、大変な組織とエネルギーと票が必要。ブームになり、2、3人当選して、それで政治が動くかと言えば、そんなことはないんです。ましてや衆議院は465議席あります。230~240人当選させないと天下は取れないんですよ。それぞれのブロックで比例1位を取った、この選挙区で目立ったくらいでは、自民党から見れば「ああ、頑張ったね」でおしまい。自民党と公明党が一本化している選挙区すべてガチンコに戦って、倒していかない限り、政権交代は起きません。山本さんにもそういうところを分かって欲しいなと思います。

井上 これから国会が始まる上で、すごく大切になってくるのが国対だと思います。安住さんが務める国会対策委員長の仕事について教えていただいてもいいですか?

安住 国会対策委員長というのは、国会の中で正式に決まった役職ではないんです。それぞれの党が国会にどう臨むかの責任者であり、言ってみれば縁の下の力持ち的存在。影から国会で活躍する議員たちを支えていく仕事です。また、同時に国会対策委員は各党の話し合いのパイプ役でもあります。例えば、ある委員会で立憲と国民民主党でぶつかりあったとしましょう。着地点が見出だせず、国会が動かなくなったとき、国会対策委員は赤十字の役割を果たすわけです。

井上 そういうことなんですね。

安住 国会の役割の1つとして、国民に問題を分かりやすく示すことがあります。そのためには与党も野党も元気で、それぞれの立場から意見をぶつけ合い、議論の材料を作ることも欠かせません。国会対策委員はそれを影から支えているわけです。



井上 野党による与党への追及の指揮を取るのも国会対策委員長の仕事なんですね。

安住 そうですね。ただ、我々は捜査機関ではないので、追及はしますが、悪いことをした人を捕まえることはできません。その点を国民の皆さんが誤解しているところもあって、「あの悪い政治家を罰するところまで野党はできなかったじゃないか」と言われることがあります。我々は大臣を辞任に追い込むことはできますが、誰かに刑事罰を与えることはできません。政治の世界はそういうものだとお伝えしたいですね。

井上 なるほど。

安住 国の予算や政府が成立させようとしている法案、執行する機関などをチェックするのは、野党の役割。つまり、国民にとって強い野党は番犬のようなものなんです。「いつまでたっても野党はダメだ」と悲観するのは、権力を持っている側に好き勝手をさせてしまうことになります。選挙でもう少し野党を育て、議席を増やし、与党を牽制させよう、と。そんな視点から選挙を見る感覚を持っていただき、国民の責任として強い野党を育て、番犬として役立ててください。それが皆さん1人ひとりのためにもなります。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter: @bling2sakura

▽安住淳(あずみ・じゅん)
1962年1月17日生まれ、宮城県出身。立憲民主党所属の衆議院議員。1996年に初当選。民主党政権時代は財務大臣などを歴任、現在は立憲民主党国会対策委員長を務める。

(文/佐口賢作)

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