朝ドラ『おむすび』結(橋本環奈)を巡る男の闘い決着?M!LK・佐野勇斗、菅生新樹が担う役割
エンタメNEXT / 2024年11月13日 19時0分
写真◎NHK
朝ドラ『おむすび』(NHK総合)は、第6週までで、橋本環奈演じる主人公・米田結の心の機微を実に丁寧に、スローペースと呼べるほどじっくりと描いてきた。そこには2つの大きな軸があり、1つ目の軸は高校生である結が、自分のやりたいことは何なのか――書道か、ギャル活動か、あるいは家業か、で揺れ動いた。結が何か物事に没頭しづらいのは、幼少期に体験した震災も深く関わっていることが暗示されてきた。
【写真】幼馴染の野球部員・古賀陽太役の菅生新樹【3点】
2つ目の軸は、多感な年頃にある結の恋模様だ。序盤から、結の周りには、書道部の憧れの先輩・風見亮介(松本怜生)、幼馴染の野球部員・古賀陽太(菅生新樹)、他校の名門野球部員・四ツ木翔也(M!LK・佐野勇斗)と、3人の男性が恋のお相手候補として存在してきた。非の打ち所が無かった風見先輩は、結からしてみれば思わせぶりだったが、本人にその気はなく、彼女がいることも判明し、結を落胆させた。
風見に対し、結が気になって仕方がないことが明け透けだったのが、陽太と翔也だった。幼馴染の陽太は、翔也が在籍する高校の野球部と対戦前夜には、米田家を訪ね実家から持ってきた大量のイカを結に差し出し、「絶対にホームラン打つけん」と見届けるよう頼んだ。また、結が門限を破ってしまった時も、結の家族を前に「実は俺たち付き合っとるんです!」と嘘をつきかばった。
一方、翔也とは偶然の出会いだった。結は高校入学早々、子どもが落とした帽子を拾うため制服のまま海に飛び込むが、その結を助けたのが翔也だった。翔也は泳ぎのうまさから『鬼怒川の河童』の異名を持つと言い、結は翔也を『河童』呼びし始める。これ以降、結と翔也はたびたびその漁港や米田家で交流を持つようになり、翔也は結に栃木の実家から送られてくるいちごやジャムを結にプレゼントしてきた。
陽太と翔也、どちらも結に対しかなり直線的に動いてきた。ただ、震災で心の傷を負い、神戸から糸島に戻ってきた結の繊細な思いを、より丁寧に汲み取ったのが翔也だ。
よく寂しそうな顔をしている結を心配してきた翔也。その理由を翔也が尋ねた時、結はドラマ内を通して初めて、塞いできた震災の記憶をすべて明かした。それほど、結も気づかぬうちに、翔也に心を許していたのだろう。「みんな、いつかは消えてしまうけん」とこぼす結を、翔也は「俺は消えねえ」「俺が一生懸命やることの意味を証明してやっから!」と励ましてもいた。
第7週『おむすび、恋をする』では、結と翔也の恋が一気に急展開を迎えた。結が過労で倒れた時に助けてくれたお礼として、翔也にスタミナがつくお弁当を毎日渡している間に、2人の距離は縮まった。ついには結と翔也双方から、互いへの告白未遂が展開された。結にとって翔也はもはや『河童』ではなく、想いを告げる相手『四ツ木君』になっていた。甲子園に行けたら好きだと告白するから待って欲しいと、翔也も互いの気持ちが通じ合っていることを明かした。
結の態度から、翔也への想いに気づいてしまった陽太だが、幼い頃からの結の祖父の言いつけ通り、結を守るために、幸せを願うと決めた。彼が今後、どんな恋愛をしようとも、それは変わらないだろう。結のあだ名を、今作タイトルである「おむすび」と命名したのも陽太だ。「おむすび」は今作で何度も、人を元気づける源として描かれてきたものだ。
そんな陽太役の菅生は、時にぎらつかせたり憂いを持たせたりと、その眼差しを巧みに使い分け、不器用だが実直な陽太を説得力を持って表現してきた。2023年放送の日曜劇場『下剋上球児』(TBS)で同じ野球部員を演じていた頃から、本当に実在しそうな、まっすぐで仲間想いの青年らしさが溢れ出ている。今後も陽太がいれば、結はどんな時も見守られているという安心感を与えてくれる存在だ。
一方、結を射止める形となった翔也役の佐野は、ボーイズグループ・M!LKの一員としても活動しながら、数々の話題作に主要キャストで出演するなど、すでに人気俳優の地位を確立している。爽やかな好青年やクールでミステリアスな役どころをいくつもこなしてきたが、今作では球児らしくバッサリと髪を丸刈りにし、福岡にいながら栃木弁を使う朴訥な野球部員役となった。あまりの変貌ぶりに翔也が佐野だと気づかない視聴者も多かったようだ。結が震災体験を初めて打ち明けた相手であり、栄養士を目指すきっかけにもなった翔也。安定感抜群の佐野の演技で、翔也はこれからも結の道しるべとなりそうだ。
【あわせて読む】『おむすび』結が高1→高3に、“甲子園”の約束どうなる?「漫画みたいにはならない」「あと一歩」
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