『海に眠るダイヤモンド』第6話 King Gnuの主題歌「ねっこ」に込められたメッセージとは
エンタメNEXT / 2024年12月2日 18時0分
『海に眠るダイヤモンド』12/1(日)第六話 島での幸せな日々に忍び寄る影…?【TBS公式YouTubeより】
神木隆之介が主演を務めるTVドラマ『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)の第6話が、12月1日に放送された。(以下、ドラマのネタバレを含みます)
【写真】12/8(日)第七話 島最大の危機…端島を守ることができるのか…?
前回、リナ(池田エライザ)につきまとう炭鉱員を拳銃で撃ち殺してしまった進平(斎藤工)。この出来事がきっかけとなって、お互いの気持ちを知った進平とリナは、一緒に暮らし始めることに。進平は亡くなった妻の死亡届を提出していなかったため、あくまで内縁の関係ではあるものの、二人は幸せな日々を送る。やがてリナは進平の子供を出産。長男・長女・次女を戦争で亡くしていた荒木家に、新しい生命が授けられた。
一方、賢将(清水尋也)は「これからも付き合ってよ、俺の人生。俺も百合子の人生付き合うから」と百合子(土屋太鳳)にプロポーズ。彼女も涙ながらにそれを受け入れ、皆に祝福されるなか結婚式を挙げる。なんだかつい最近まで、いづみ(宮本信子)曰く「何角関係か分からない」くらいに恋模様が入り乱れていた気がするのだが、今回のエピソードで一気に状況が激変した。
ラストでは、鉄平(神木隆之介)も朝子(杉咲花)に愛の告白。小さい頃から恋心を抱いていた相手に「好きだ」と言われ、朝子は嬉しさで胸がいっぱいになる…。ここで注目して欲しいのが、あえて「寄り」の画にはしない演出。このような場面であれば、二人の表情を大きく見せるためにクローズアップで捉えるのが演出家の心理だと思うのだが、あえて「引き」の画にしている。それによって、まるで「恋愛リアリティショー」を見ているような、生々しくも初々しい告白シーンになっているのだ。見事な計算である。
ちなみに筆者は第3話のレビューで、「本作のポスターには、左:進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)、真ん中:鉄平と百合子、右:賢将と朝子という構図でメインキャストが写っている。ひょっとしたら、彼・彼女たちのカップリングを暗示したものなのかもしれない」と書いたが、実際には鉄平&朝子、賢将&百合子というカップリングに落ち着いた。本当にこのドラマは、予想がさっぱり当たらない。
いづみが社長を務める、株式会社IKEGAYA。これまで事業内容がさっぱり明かされなかったが、役員会議で多肉植物について議論していることから、どうやら植物関連の企業であることが分かってくる。
植物。緑。花。現代パートと過去パートを繋ぐキーアイテムは、おそらくこれだ。もともと端島は植物がない海の孤島だった。そこで花が大好きな朝子が、建物の屋上に植物を植えて、「緑の屋上庭園」をつくることを提案。鷹羽鉱業の幹部職員・辰雄(沢村一樹)の承認を取り付け、そのプロジェクトに取り掛かることになる。
思えば、King Gnuによる主題歌「ねっこ」には「さあ咲き誇れ ささやかな花でいい」という一節があった。『海に眠るダイヤモンド』のテーマは、およそ60年前の種が実を咲かせたラストシーンのように、「花なき時代に花を咲かせ、花なき場所に花を咲かせる」ということではないだろうか。その中心となる人物を演じているのが、杉咲<花>であることも、何らかの意味を感じてしまう。
これまで薄ぼんやりとしていた過去と現代が、ついに繋がった。野木亜紀子の脚本は、これから「花なき時代に花を咲かせ、花なき場所に花を咲かせる」物語へと収斂していくことだろう。
【あわせて読む】『海に眠るダイヤモンド』第5話 國村隼の一言に涙…血の繋がっていない家族のかたち
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