87歳の巨匠リドリー・スコットの到達点にして、新たな出発点『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』
エンタメNEXT / 2024年12月13日 17時30分
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.
今ではお騒がせ俳優としても知られていたりもするラッセル・クロウの名を一躍有名にし、2000年代映画を代表する作品のひとつとして今も語り継がれる『グラディエーター』(2000)。米アカデミー賞などの映画賞で多くの称号を得たことは言うまでもない。現在、24年ぶりとなる続編の『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』が公開されている。
【写真】圧倒的スペクタクル『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』場面写真【4点】
『グラディエーター』は、公開後すぐに続編企画が浮上した作品であり、2000年代のリメイク&続編ブームの際には、常に期待の続編として扱われてきた。だが、残念ながら、企画が実現することは無かった。
ちなみに、もともとの脚本では、マキシマス(ラッセル・クロウ)が転生し、様々な時代の変化を体験するという奇抜なものだったらしい。それはそれで観てみたいとは思うのだが、「実はこういう脚本だった~」というのは、実現されなかったからこそ言えるジョークのような部分もあって、全ては信用できない。
そんな脚本が本当にあったのか、無かったのかは謎ではあるが、20年以上の企画段階を経て実現したというだけで、大きなオーラを放っている作品であることは間違いないし、中途半端に映画化されるよりは、今の時代だからこそ良かったともいえるかもしれい。
前作と同じく監督を務めたリドリー・スコットは、今年で87歳というのに、その腕は全く衰えておらず、2023年には『ナポレオン』、2021年には『最後の決闘裁判』『ハウス・オブ・グッチ』と、短いスパンでスケールの大きい作品を次々と撮っている。その仕事術は、まさに巨匠。
そんなリドリーが、長年あった企画をついに実現させたというのは、ひとつの到達点でもある。しかしそれは、引退やペースを落として落ち着くという意味ではなく、新境地にして新たな出発点ともいえるものとなっている。すでに多くの企画が待機中で、次回作は今作の主演ポール・メスカルと再タッグ作『The Dog Stars』となる予定。まだまだリドリーは映画に命を捧げていくつもりなのだろう。
今作の中で、一部、史実に忠実ではないという批判もあるが、そもそも歴史というものは、事実でないことも多数混合されているため、史実というものは、言ってしまえば存在しない。リドリーはそれを熟知しており、いわゆる史実といわれるものを忠実に描くというよりは、改変したとしても人間ドラマを際立たせた作品が多く、歴史ものが苦手なユーザーでも楽しめる作品に仕上げてくれるのが魅力のひとつだ。簡単に言えば堅苦しくない。
確かに人物の配置や設定が史実とは異なっている部分も多々ある。しかし映画というのは、歴史の教科書ではない。今作にとっての歴史上の人物たちは、あくまで器であり、その時代に生きていた者たちが、何を考え、どう行動しただろうかということを様々なシチュエーションを通して描いているのだ。それによって、より濃度と個性の高い作品になるといえるだろう。
リドリーの作品としては、『グラディエーター』もそうだが、『G.I.ジェーン』(1997)の頃から苦楽を共にするプロダクション・デザイナーのアーサー・マックスによって、物理的な闘いと、駆け引きなどによる精神的な闘いが入り乱れ、常に死への恐怖と緊張感が渦巻く戦場を見事に再現しながら、現代の映像技術だからこその大迫力なバトルシーンを構築し、娯楽作としての側面も強調した。まさに劇場で観るからこそ体感できる作品だ。
【ストーリー】
ローマ帝国が栄華を誇った時代―。平穏な暮らしを送っていたルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻により愛する妻を殺され、捕虜として拘束されてしまう。すべてを失いアカシウスへの復讐を胸に誓ったルシアスは、謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)に買われ、ローマへと赴くことに。そこで剣闘士《グラディエーター》となった彼は、復讐心を胸に、力のみが物を言うコロセウム《円形闘技場》で待ち受ける戦いへと踏み出していく―。
【クレジット】
原題:『Gladiator II』
日本公開日:11月15日(金) 全米公開日:11月22日(金)
監督:リドリー・スコット
脚本:デヴィッド・スカルパ
出演:ポール・メスカル、ペドロ・パスカル、コニー・ニールセン、デンゼル・ワシントン、ジョセフ・クイン、フレッド・ヘッキンジャー、リオル・ラズ、デレク・ジャコビほか
配給:東和ピクチャーズ
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.
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