下品で話題のミュージカル『ディックス!!ザ・ミュージカル』主演2人を直撃「日本では炎上させて欲しい」
エンタメNEXT / 2025年1月29日 18時45分
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現在公開中の、“下品”なミュージカル映画『ディックス!!ザ・ミュージカル』。原案・脚本・主演はジョシュ・シャープとアーロン・ジャクソンで、今作の元となった舞台は、このふたりが行っていた小さな舞台劇だったのだ。そんな舞台が映画化したことで何が大きく変化したのか、そして全体的なバカバカしさに隠されたメッセージとは何なのかを、ジョシュ・シャープとアーロン・ジャクソンに直接インタビューしてきた。
【写真】下品で話題のミュージカル『ディックス!!ザ・ミュージカル』場面写真【12点】
──下品な歌詞と、出演者たちの素晴らしい歌声のギャップで、ミュージカルとしてのクオリティが高くなっていると思いました。例えば「You Can’t Give Up」は、歌詞さえ見なければ感動的なサウンドです。他にも「All Love Is Love」のように、モータウンを思わせるナンバーもありました。やはり、物語のバカバカしさと音楽クオリティのギャップは全体的に大切にしていたことなのでしょうか?
ジョシュ その通りだよ。内容がバカバカしい分、曲のクオリティを上げるのは肝心なところです。このテイストなら曲も質が悪いと思わせておいて「どうして、こんなに曲が素晴らしいんだ!」と思わせる所までが、ジョークになっている。
アーロン キャラクターとしては最悪な人物かもしれないけど、曲を通して、少しずつ人間的な部分が垣間見えるようになっていて、「実はこの人たちは、根はいいひとなのかな?」と思わせる相乗効果を持っているんだ。
──結果的に全く違ったものになったとしても、もともとはリンジー・ローハン主演の『ファミリー・ゲーム/双子の天使』から着想を得た舞台の映画化ということで、尺や出演者が拡張された分、『ファミリー・ゲーム』感を舞台版よりも増やしている部分があるように感じたのですが?
アーロン それは良い質問だね。実は脚本の第一稿は『ファミリー・ケーム』要素を多くしたんだ。だけど監督のラリーが、メインは4人の家族にしたいということで、最終的には、かなり削られてしまったよ。でも僕たちも、それが良かったと実感している。だけど、舞台版よりは『ファミリー・ゲーム』感はあると思うよ。
ジョシュ もともと『ファミリー・ゲーム』のバロディというわけではなく、あくまで大まかな部分で意識しているという感じです。同作はディズニー映画ではありますが、視点を変えればやってることは虐待と同じだったりもします。それをより過激な形でキャラクターに反映させたとしたら、めちゃくちゃなキャラクター構造なんだということ。…でも作品はすごく大好きだけどね。
──作品とは関係ない質問ですが、『ファミリー・ゲーム』の主演繋がりという部分で、最近リンジー・ローハンがNetflixのロマコメ映画に出演しています。今のリンジー・ローハンについて想うこと、メッセージはありますか?
アーロン …今年の作品は観ていないんだけど、『フォーリング・フォー・クリスマス』(2022)は観たよ。リンジーのことは大好きだし、僕らの映画を観てくれていればいいんだけどね(笑)。
──下水道ボーイズの存在は、チープで突拍子もない感じがするのですが、個人的には下水道ボーイズの存在があるからこそ、この作品は「おバカな映画なんだから、怒らないで」というように、批判的な目線を避けさせることに機能しているように感じました。そもそも、どういった意図で下水道ボーイズが登場することになったのでしょうか?
ジョシュ さっきから質問が的を射すぎていて、質問の中に答えがあるよ。その通りだよ。
アーロン 下水道ボーイズと生活している、主人公ふたりの父親ハリスは、ゲイ文化を誤解しているキャラクターなんだ。様々な視点から、いかにゲイ文化を誤解しているかを見せているんだけど、そのひとつが下水道ボーイズという存在であり、お気に入りの表現のひとつなんだ。ただ、舞台版では、セリフの中のみで、パペットとしては登場させていなかったので、映画版では、それを立体化させたかった。
どのキャラクターも、みんなぶっ飛んでいるし、何かしら誤解している部分があるのだけど、ハリスの場合は、ゲイ文化を批判する保守的で気難しい人間かと思いきや、実は気色悪い生物と生活している変人だった…というギャップとしても機能しているんだ。
ジョシュ&アーロン それと僕らは、E.T.やグレムリンなど、パペットを使った作品が大好きということもあり、そういった作品へのラブレター。大きなスクリーンを通して、キモくて可愛い、下水道ボーイズが登場することが最高なんだよ。
──ネイサン・レーンとメーガン・ムラーリーといった、ミュージカル界のベテラン俳優が出演していますが、正統派の舞台俳優に下品なことをさせる快感はありましたか?
ジョシュ 凄く下品でバカバカしいことを、才能のあるレジェンドミュージカル俳優たちにさせているということが、作品自体にアクセントを付けてくれているし、ジョークとしても成立するよね。何よりふたりが”はっちゃけてる”のを見るのは最高だったよ。
──今作にはミーガン・ジー・スタリオンが出演しています。短い出演時間でインパクトを残せるアーティストとしてオファーされたそうですが、他に候補にあったアーティストはいるのでしょうか?
ジョシュ&アーロン 最初に思いついたのがミーガンでした。「どうせだったら、一番候補のビッグネームにオファーしてやろうぜ!」ってノリでオファーしたら、受けてくれたんだ。
インパクトがあるアーティストという意味では、リゾやレディ・ガガも候補にはあったけど、第一候補のミーガンが受けてくれたことは、本当に嬉しかった。
──ダーシー・カーデンやソーニャ・エディといったコメディエンヌが何気ない小さな役で出演していたりしますが、彼女たちは、お二人の友人だから出演していたのでしょうか?
ジョシュ&アーロン この作品に出演しているコメディエンヌたちは、僕たちが小さな舞台でやっていた頃からの仲間です。即興ものや、いろいろとバカな設定のコントも一緒にやっていました。
──なかなか冒険的な内容だと思うのですが、人権団体などからの苦情はなかったのでしょうか?
アーロン&ジョシュ (笑)。そこは助けて欲しい部分なんだ。確かにネットでは、そういった批判的な意見はあったけど、ネットはネット。ネット以外の場所では、不思議なことに、それがなかったんだよ!だから、そういった声が足りなんだ!逆に日本では炎上させて欲しいんだ!!
あとは、そういった批判をする人たちが、そもそもこの映画を観ていないというのもあるかもしれないけどね……。
ジョシュ ただ、僕の父は、すごく気に入ってくれました。
ジョシュ&アーロン もっと怒ったり、攻撃してくる人がいるかと思ってたんだけど、みんなジョークとして受け入れてくれたみたいなんだ。だからこそ日本ではっ (笑)!
──今作には、「マペッツ」や「RENT」などの有名ミュージカルのハロディが、いたるところに散りばめられていますが、その中でも、「これは、絶対に気づかないだろう!」というネタがあれば教えてください。
アーロン 作中に登場する新聞で、会社が合併することが一面に書かれているんだけど、実は、その下を見てもらうと、”アメリカ大統領暗殺される”という記事がすごく小さく書かれていて。
ジョシュ つまり、今作で描かれている世界では、大統領暗殺は、トップ記事にならないということが表されているんだよ。
──最後に簡単な質問です。日本に来たら、やってみたいことは何かありますか?
ジョシ 本当は、去年の春に行く予定だったんだけど、残念なことに実現しませんでした。もし行けるなら、食べ歩きをしてみたいです。
アーロン 僕は、アニメヲタクなので、アニメ系のイベントやショップ巡りをしてみたいです。
──インタビューありがとうございました。
来日の際には、日本を案内してほしいと言われたほど、終始、フレンドリーで笑いに包まれたインタビューで、素晴らしい人格者のふたりでした。
▼作品情報
【ストーリー】
トップ・セールスマンとして、ニューヨークで働く<我儘なモテ男>であるクレイグとトレヴァーは、ある日、運命的に出会い、互いに生き別れの双子だと認識する。ばらばらになった家族を再び一つにするために奔走する彼らだったが、父親が世間に隠していた異形の家族の存在により計画は狂いだし、やがてそれは地下世界に隠された大いなる秘密に繋がっていくのだった…。
【クレジット】
監督:ラリー・チャールズ
音楽:マリウス・デ・フリース
出演:ジョシュ・シャープ、アーロン・ジャクソン、ネイサン・レーン、ボーウェン・ヤン、ミーガン・ジー・スタリオンほか
2023年 / アメリカ / 英語 / 86 分 / ビスタ / カラー / 5.1ch
原題:DICKS:THE MUSICAL / R15+ /日本語字幕:石田泰子 /
提供:トランスフォーマー+シネマライズ
配給:トランスフォーマー
1月17日(金)新宿ピカデリー、渋谷ホワイト シネクイント他公開
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