【独占ルポ】HKT48新劇場初日、松岡菜摘が涙でひと言 「アイドルやっててよかった」(後編)

エンタメNEXT / 2020年11月4日 17時1分

HKT48 オープン記念公演 (C)Mercury

HKT48の新劇場「西日本シティ銀行 HKT48劇場」が、11月2日に福岡県のホークスタウンモール内にオープンした。本サイトでは、劇場オープンに向けて、長年グループの活動を追い続けてきた元『週刊プロレス』記者で、『活字アイドル論』『ももクロ独創録』など多くの著書を持つ小島和宏氏がメンバーへの徹底取材を行い、HKT48の「今」をドキュメンタリー形式で 連載してきた。ついにオープンの日を迎えた今、歴史の一歩である“こけら落とし公演”を独占ルポする。(前後編の後編)

※前編は こちら

【写真】HKT48新劇場オープン記念公演の様子【12点】

HKT48新劇場こけら落とし公演のセットリストは、過去のシングル曲をリリース順に歌っていくというもの。

過去の楽曲をズラリと並べると、じつに壮観ではあるのだが、どうしても当時と比べてしまう。48グループのコンサートでよくあるのが「当時の選抜メンバー、1人もいないじゃないか」問題。楽曲を受け継いでいくのはいいことだけれども、まったく違うメンバーでのパフォーマンスが何曲も続くと「うーん……」となってしまう。
 
その点、HKT48は当時のセンター、もしくはフロントメンバーがまだバリバリ活躍しているので、ちゃんとあのころの思い出とリンクしてくれる。しかも、衣装は当時のものをそのまま使用(『しぇからしか!』の衣装は背中にメンバーの名前が大きく刺繍されているので、新劇場のステージに「遥」や「美桜」の文字が躍った……ヤバすぎる!)。そして全曲、フルコーラスでの歌唱。これは贅沢すぎる。
 
もっといえば、当時はまだHKT48のメンバーではなかった若い世代の躍動がとても印象的だった。これはもう私感になってしまうが、5期研究生の上島楓、水上凜巳花、竹本くるみあたりの存在感は素晴らしかった。そういうことが目視でわかるのも、客席とステージの距離が近い劇場ならでは。彼女たちの成長を見守るだけでも、劇場に足を運ぶ価値は十二分にあると思う。


 
ちなみに1ブロックは4曲で、それが終わるとMCコーナーが入る、という構成だったのだが、これは定期的に入口の扉を開放して換気を促す必要があるため、一定のリズムが守られていた感じ。
 
そのMCコーナーで1期生の下野由貴が大号泣した。この日の影ナレも務めた「座長」の涙。他のメンバーは「なに泣いてんの!」とイジリながらも、そうすることで自分の涙を抑えているようにも見えた。
 
1期生にとっては9年前に続く、2度目の「劇場オープン」。感極まるのは当然だし、ステージから客席を見渡すと泣いているお客さんが多いので、思わずうるっときてしまった、というメンバーも。客席にいると隣のお客さんまで距離があるし、フェイスシールドとマスクで表情までは読み取れないから、メンバーが教えてくれなかったら、そんな状況になっているなんてわからなかった。
 
お客さんの顔を見ながら、1期生の松岡菜摘が「アイドルやっててよかった!」と言った。すごいいい言葉だな、と思っていたら、客席のあちこちから自然発生的に拍手が起きた。万雷の拍手ではなく、たまらない気持ちになってしまった人たちが、おもわずしてしまった拍手、というリアル。声を出すことはできないけれど、拍手をした人はみんな、こう叫びたかったに違いない。

「アイドルを、HKT48を見続けてきてよかった!」と。
 
なんだか、ここ数か月間、目の前にかかっていたモヤが、最初の1ブロックが終わるころにはサーッと消失しているような感覚になっていた。



1ブロックが4曲。
 
HKT48のシングル曲はこれまで13曲。
 
つまり、3ブロックを終えたところで、残っているのは4月にリリースされた『3-2』だけ、ということになる。
 
コロナの影響で、何か月も披露することができなかった楽曲。もちろん、劇場でパフォーマンスするのは、これがはじめてである。
 
過去のシングル曲をすべて振り返ったあとに、最新曲を現在の選抜メンバー16人で劇場初披露する。ここまでの3ブロックが「HKT48の歴史」で、ここからが「新劇場の未来」。新センターの運上弘菜(彼女たち4期生は旧劇場で活動していない)がその第一歩を刻む……はずだった。
 
ここでトラブルが発生してしまう。
 
なんと『3-2』の歌い出しからマイクが声を拾わないアクシデント。途中まで歌声が会場に流れない、という状況に陥ってしまったのだ。
 
戸惑いながらもパフォーマンスを続けるメンバー。なんとか音声は回復したが、華麗なる第一歩というわけにはいかなかった。
 
歌い終わったあと、初披露できたことに対する感謝の言葉を述べた運上弘菜だったが、目には涙をいっぱい溜めており、いまにも泣き崩れてしまいそうになっていた。本当に感極まっていたのか、完璧な形で初披露できなかった悔しさからの涙なのかは、本人に聞いてみないとわからないが、とにかく彼女の声は涙で震えていた。
 
そんな運上弘菜の姿を見て、隣に立っていた松岡はながサッと駆け寄り、背中に手をあてて「大丈夫だからね」というようなアクションを見せた。
 
1期生や2期生が後輩に対して、そういうフォローをするのは、ある種、当たり前のことかもしれないが、そこに立っていたのは4期生の新センターを気遣う、ドラフト2期生の元センター。これから新劇場を担っていく世代が、想定外のトラブルに直面し、それを自力で乗り越えていく姿……たしかに残念なトラブルではあったけれども、いつか、この2人がもっと大きな存在になったときに「名シーン」として昇華するかもしれない数秒間が、そこにはたしかにあった。
 
何度も言うようだが、劇場はずっとそこにあるし、これからは何度だって試行錯誤を繰り返すことができる。
 
いつかまた『3-2』を完璧な形で披露すれば、それでいいのだ。
 


これまでは音源やMVでしか聴くことができなかった楽曲ではあるが、「あの衣装」で「あのダンス」と併せて聴くことで曲の印象は大きく変わる。ぜひとも新劇場と一緒に育っていってほしいものである。
 
松岡はなと同期のドラフト2期生・村川緋杏がセンターを務める『HKT城、今、動く』、歌詞が『BOSS E・ZO』や『博多マルイ』といった2020年11月2日現在にアップデートされた『HKT48』と続き、48人全員がステージに立って歌う『引っ越しました』で締めくくるラストスパートは見事な流れ。劇場公演は当然のことながら、HKT48の武器にして魅力でもあるコンサートも早く見たくなってくる構成だった。
 
約1時間半の公演が終わり、外に出ると、雨はすっかり止んでいた。
 
天気がよければ、空には満月がでているはず。思わず天を仰ぎ、満ちた月を探したが、さすがにそこまでドラマティックな話はそうそうない。
 
11月6日からくじ引きで決まった7人体制のユニットによる『博多なないろ公演』がこの新劇場でスタートする。
 
本来ならば、こういう次なる展開は公演の中でサプライズとして明かされるものだが、あえてそれをせず、公演終了30分後にホームページで発表したのは、この「特別な一日」の余韻を消さないため、だったのだろう(すべての観客が劇場を出たあとに情報がアップされている)。
 
これから「日常」が戻ってくるまで、新劇場ではさまざまな試みが行われていくことだろう。いつでも公演のできる場がようやく戻ってきた今、HKT48の加速はきっと止まらない。

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