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『たまこまーけっと』の牧野かんな役、長妻樹里に聞く声優の魅力とは

Entame Plex / 2014年10月11日 13時43分

――いろんなキャラクターになれるのも声優という仕事の魅力だと思いますが。
「まさにその通りだと思います。“作品の中でキャラクターを演じているときは、その世界の中での人生を生きている気分”になれるんですよね。物語の中で演じたキャラクターがつらい想いや失恋を経験すると、私自身も同じ想いを経験できるんです。その体験を通して、私自身もその気持ちを理解し、学んでいける。そういう経験を重ねるたび“この役柄と出会えて良かった”って素直に思えますね」

——ただ、その分大変なとこもあると思います。表現方法とか。
「たとえば泣くシーン1つを取っても、“嬉しくて泣く”、“悲しくて泣く”、“つらくて泣く”など、同じ“泣く”でも全然表現が違いますからね。でも、私自身過去につらい想いを経験し、嗚咽するくらい泣いたときがあって、その経験を思い出し、演技の上でも嗚咽するくらい泣けたとき、“実際の経験を演技でも生かせてこそ役者”なんだなと思いました。エチュード(即興劇)のレッスンで“狂気染みた女性”を演じたときにも、私は普段の生活の中で怒鳴るどころか大声さえあげないのに、即興芝居の流れの中、大声を張り上げることができたんです。そのときにはそこで新しい自分を発見できたり。自らの経験が演技にも反映されれば、演技を通し普段は経験し得ない感情を導き出せたり、様々な作用があるなと感じています」

——声優業は奥が深いと。
「普通は、大人になればなるほど“感情を抑えなきゃ”ってなると思うんです。日常生活の中でも、どうしても感情を制御しなきゃいけないことがありますけど、お芝居はそういう“たがを外して自由に表現できる”ものだと思うんですよね。そこで素直に感情を解き放てることも、演じるうえでの魅力だと思います」

――樹里さんのターニングポイントとなった作品は?
「メインのレギュラー役として参加した初めての作品、牧野かんな役を演じた『たまこまーけっと』だと思います。この作品を通して、ラジオ番組のパーソナリティを担当したり、キャラクターソングも歌い、イベントにも出演させて頂きました。今年は、劇場版『たまこラブストーリー』まで公開しますし、作品に長く携われたからこそ、私自身が成長し続けられたし、『たまこまーけっと』を通して得られた経験は大きなことでしたね」



――樹里さんは、8月にファーストシングル「言えないアイスクリーム」を発売し、アーティスト・デビューも飾りました。キャラクターソングではなく長妻樹里名義で作品を出せたことはいかがでした?
「(リリースは)誰もが経験出来ることではないし、とても嬉しかったですね。しかも、甘酸っぱい片想いの心模様を歌った『言えないアイスクリーム』を聴いた方たちから、『この歌を聴くと、すごく胸がキュンキュンする』『この気持ちとてもわかる!!』という声を沢山いただけたのがすごく嬉しくて。この曲の歌詞にあるように、“好き”という言葉を言いたくても言えない人は多いと思うんです。私もそうですし(笑)。同じような想いを感じている人たちが多かったのも嬉しいことでした。今後も、作品を重ねていきたい気持ちもありますけど、まずはいろいろな人たちに、この曲を届けたいなと思っています」

TEXT/長澤智典

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