個人情報保護法3年ごと見直しは来年、「匿名加工情報」の内容理解度はわずか3.8%――。

EnterpriseZine / 2019年7月12日 19時33分

 その受け止めに対し板倉さんは「認知度向上の取り組みを加速させるべきというのはそのとおりだと思うが、何を認知してもらうのか考える必要がある。政府は現時点で匿名加工情報のブランディング、普及に失敗している。匿名加工情報について消費者の目に触れる機会を増やすと同時に、かなり加工された情報で生データとは全く違うものであると消費者に理解を浸透させなければならない」と助言した。

 また、消費者の理解促進のために事業者側の態度も指摘する。「これまで事業者側は匿名加工情報利用について『法律を守っているのだから苦情を言うな』という態度を取っていたが、それは誤っている。適切な加工とルールの遵守を徹底したうえで消費者の信頼を得られるよう努力すべきだ」(板倉さん)。

●匿名加工情報はどれほど「匿名加工」されているのか

 では、匿名加工情報は実際どれほど加工をされているのか。中林さんは「匿名化自体は収集したデータや活用方法によって加工内容が異なってくるため一律に標準化することは難しい。しかしフレームワーク自体を作ることはできるので協会としても取り組みたい」としたうえで、下図のような匿名加工例をあげた。同協会の代表理事 草野隆史さんは「匿名加工情報までいくとAIの推論などを用いても生データを導くことは難しい。マーケティング活用において消費者の抵抗感が大きいであろう精緻なターゲティングなどには使われないと考えている」と話す。

出典:一般社団法人データサイエンティスト協会作成

 板倉さんによると、トップコーディング、ボトムコーディングなどを用いて同じ匿名加工情報の人が必ず2人以上になるようにするなど、特定できないようにする必要があるという。米国の健康情報を取り扱うHIPAA法(Health Insurance Portability and Accountability Act)では、10数種類の匿名加工手法の標準化を用いており、医療関係の症例データベースなどは、そのフレームワークに基づいて加工され使われている。

■自然災害に関しては利用許容9割――しかし法的課題も残る

 匿名加工情報に関する認知度が低いものの、どのような研究であれば匿名加工情報利用を許容できるかという質問に対しては「自然災害に関する公的な研究」であれば43.8%が賛成と比較的高く許容されている。また、「性別」「年齢」「居住地(都道府県)」については約9割の回答者が利用を許容できるということが分かった。
出典:一般社団法人データサイエンティスト協会作成[画像クリックで拡大表示]

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