独自の要件を持つ自治体クラウドに取り組む行政システム九州のチャレンジ

EnterpriseZine / 2019年8月29日 7時0分

 自治体の行政サービスを、外部のデータセンターを用いて提供するのが自治体クラウド。地方の情報システムの要でもあり、安全性などの要件は相当厳しいという。九州地区の自治体クラウドの構築で高いシェアを持つ行政システム九州株式会社に、ミッションクリティカルなインフラの構築や運用の様子を聞いた。

 地方公共団体情報システム機構のWebページには、自治体クラウドとは『地方公共団体が情報システムを庁舎内で保有・管理することに代えて、外部のデータセンターで保有・管理し、通信回線を経由して利用できるようにする取組。複数の地方公共団体の情報システムの集約と共同利用を進めることにより、経費の削減及び住民サービスの向上等を図るもの。』と説明されている。自治体クラウドは2011年に総務省が実証事業を行い、その後も実際の事業として継続している取り組みだ。

行政システム九州 エリア運用統括部 エリアサポート課 課長の竹之下伸一氏

■重要な住民データを安全、効率的に管理する自治体クラウドとは

 自治体クラウドの仕組みを構築し、九州地域の自治体にサービス展開しているのが、行政システム九州株式会社だ。同社の九州地区における自治体クラウドのシェアは30%ほどと高い。自治体クラウドは、AWSなどのパブリッククラウドを利用するものではない。「データセンターに標準化したシステムを置き、各自治体がそれを利用します。マルチテナントではなく、同じシステムを別々に立ち上げ利用します」と説明するのは、行政システム九州 エリア運用統括部 エリアサポート課 課長の竹之下伸一氏だ。

 自治体クラウドの要件はかなり厳しい。「データセンターで利用する部分も回線も、閉域網で接続され二重化していなければなりません」と竹之下氏。データセンター内のサーバーを仮想化しその上で安全に分離して、さらにネットワークも完全に分離する。これらは最低限必要なこと。行政システム九州ではさまざまな自治体クラウドの要件を満たすシステムを2011年の実証事業で構築し、安全性や性能検証を行った。2013年からは、本番環境のサービスとして展開を開始する。

 自治体規模が小さければ、十分な体制で高い安全性を確保してITシステムを運用することはなかなかできない。予算も限られ、十分な冗長構成も災害対策もとれないのが普通だ。たとえば沖縄の離島などでは、台風などの自然災害の被害を受け、ITシステムを設置している建物が停電することも十分考えられる。そういったところでは、手許にあるITシステムの停電時などの対応も、ITのプロではない役場の職員自らが行わなければならない。

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