日本企業の成長戦略の1つ「M&A」は“何勝何敗”?

EnterpriseZine / 2013年7月29日 8時0分

  図表4 ファンドのM&A事例2                          

NTTドコモが「らでぃっしゅぼーや」や「タワーレコード」などを買収したように、自社の事業領域が飽和している場合、買収や提携などを通じて新規事業領域や海外市場に進出する非連続的成長(inorganic growth)は大きな戦略オプションの1つです。ただ、日本の事業会社によるM&Aの多くが成功しているとは言えません。なぜ上手くいくケースが少ないのかを、実際の事例を見ながら説明していきたいと思います。今までの連載はこちら

■創業社長のリーダーシップが、M&Aを成功に導く?

 図表1は、日本の事業会社によるM&Aの成功事例です。上から3つはソフトバンクによるもので、日本テレコム、ボーダフォン、イー・アクセスです。左は、発表前の時価総額です。

●日本の事業会社のM&A:ソフトバンクの成功事例

 2004年7月に、ソフトバンクが日本テレコム(JT)を買収しました。買収発表前の時価総額は4800億円で、発表後は35億円ほどしか増加しませんでした。3400億円で買収完了した後は4500億となり、この際も市場はあまり好意的には反応しませんでした。買収時点における日本テレコムは、米投資ファンドのリップルウッドがボーダフォンから日本テレコムを買収した際の負債を返済できておらず、財務状況が悪化すると懸念されたからです。

 しかしながら、法人顧客向けの営業要員の増強などによる固定通信事業の収益性強化、戦略的事業部門への要員のシフトと組織のスリム化や、グループ全体の通信インフラの統合によるコスト削減といった施策を行った結果、上手く統合のシナジーを発揮し、3年後には2兆8000億円まで増えました。

 ボーダフォン日本事業の買収の際には、発表時点では3兆円の時価総額で、1兆7500億円をかけて買収しました。買収直後には、自己資本比率も悪化しキャッシュフローの不安もあったため、時価総額は2兆5000億円まで落ちました。基地局増設などによる第3世代(3G)ネットワークの強化による不感エリア解消といった戦略も当初は芽が出ず、もうキャッシュフローアウトするのではないかと思われた買収3年後には、時価総額1兆3000億円まで落ちています。

 しかし、固定通信に比べれば固定費が低く販管費が高い携帯通信事業の特性を活かした低額サービス提供が奏功したうえに、i-phone効果もあって、現在は時価総額6.5兆円まで上がっています(6月26日時点)。

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