IT部門は、どのように経営者の信頼を獲得したのか?キヤノンMJグループが実践した「IT武装」

EnterpriseZine / 2013年11月5日 11時0分

経営層へのレポートラインの変更 出所:ガートナーシンポジウム/ITxpo 2013

 「経営戦略とIT戦略の連携」の必要性が叫ばれて久しいが、この連携がしっかりとできている企業は意外に少ない。その根本原因の一つは、IT部門が経営者の信頼を獲得できていないことにある。「ガートナーシンポジウム/ITxpo 2013」におけるキヤノンマーケティングジャパンの徳原弘志氏の講演では、経営者の信頼を得てDRサイトを短期間で構築し、営業・サービス部門のワークスタイルを一気に変革させた事例と、そこでのポイントが語られた。

■「失敗に学ぶ」IT部門の変革への取り組み--キヤノンマーケティングジャパン 徳原氏

 キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)では、ビジネスにおけるITの重要性が増す時代の変化に対応するため、IT投資を継続してきた。その一方、リーマンショック、東日本大震災、タイの洪水などがあり、売上高が落ちたところに開発投資のピークが来る事態になってしまった。

 単にコストが増加しただけではない。たとえば2003年にERPを導入してシステムを刷新する際、開発を子会社に渡した結果、「本社IT部門の技術力、開発力が極端に落ちた」(徳原氏)と語る。また現場とIT部門間の言葉の齟齬などにより、甘い上流・要件定義による問題が頻発した。さらに中途半端なリリース、手戻りなどによる大規模プロジェクトの連敗がコストの肥大化を生んでいたという。

 売上が落ち、従業員は増えていないのにもかかわらず、IT費用の総額は2003年比で約1.8倍。「私たちIT部門が言う“失われた10年”により、経営層の信頼を無くしていった」(徳原氏)。

 キヤノンMJでは2009年、グループのIT戦略を策定し、グループ全体のITによる構造改革を推進する「IT戦略専門委員会」を発足。委員会は経営層に直結で、社長以下、経営層の全員が入った組織となった。推進事務局も、IT部門ではなく総合企画本部に情報戦略企画室を新規に作り、中心になってITを改革する活動を開始した。

 2009年からのフェーズ1では、キヤノンMJグループの長期経営構想・中期経営計画とリンクしたIT戦略が策定され、2010年からのフェーズ2では戦略の深掘りとBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)が実施されている。

 「業務の抜本的な改革を通じたコスト削減を行い、ITソリューションの領域で3000億円の売上を作ることを意味するITS3000を実現する。そのために筋肉質なITにする議論をした」(徳原氏)

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