プライバシーは技術ではなく人の問題 - ラリー・エリソン、プライバシーを語る

EnterpriseZine / 2014年4月10日 14時0分

三木谷さんからの質問に答えるラリー・エリソン

 4月9日、東京・ホテルニューオータニで開催された「新経済サミット2014」(主催: 一般社団法人新経済連盟)の基調講演には、OracleのCEOであるラリー・エリソン(Larry Ellison)氏が登壇、NSAの盗聴騒ぎに揺れる米国の世情を反映してなのか、非常にユニークなネットプライバシー論を披露した。日本国内のプライバシー議論をめぐる上でも興味深い内容となったその講演の概要をお伝えしたい。

■来賓挨拶には安部首相が登壇 - パーソナルデータの利用を推進!?

 新経済サミットは楽天の三木谷浩史会長が代表理事を務める新経済連盟が昨年から開始している有料イベントである。今回のサミットでは、ラリー・エリソンのほか、Yahoo!創業者のジェリー・ヤン氏、Yelp創業者のジェレミー・ストップルマン氏、国内からはLINE 代表取締役社長 森川亮氏、グリー 代表取締役社長 田中良和氏などそうそうたる顔ぶれがスピーカーとして登壇、「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバリゼーション」の3つをテーマにした講演が行われる。

 ラリー・エリソン氏を基調講演に据えたことからも、新経済連盟および三木谷氏がこのサミットに賭ける並々ならない思いが感じられるのだが、オープニングの三木谷氏の挨拶の後に登壇したのはなんと安倍晋三首相。起業家やベンチャーを支援する道を国をあげて確立せんとする三木谷氏らの意気込みが伝わってくる。

 もっとも安部首相はごく数分程度の短いお祝いのスピーチを述べて会場を辞したのだが、その短い発言の中で、ITの活用を推進するための規制改革について、次のように述べていたのが非常に気になった。

 「たとえば、ITの利活用を推し進めるための規制改革に取り組みます。いわゆるビッグデータに含まれるパーソナルデータの利用が進むよう、個人情報保護法の改正を行います。」

 おそらく、昨年12月に官邸から発表された「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針(PDF)」に基づいての発言なのだろう。だが、パーソナルデータの取り扱いに関しては個人情報の匿名化の難しさ、秘匿すべき情報として扱うラインの定義の難しさなどもあり、いまだ具体的で現実的な落としどころが一般には見えにくい状況にある。JR東日本が日立製作所にSuicaの履歴を販売しようとしてバッシングされたり(結局は販売中止に)、Yahoo! JAPANのトップがビッグデータのプライバシー施策を「米国型で行くべき」などと発言して大炎上したことも記憶に新しい。そうしたさなかにあって、なぜわざわざ本サミットの場で現首相が「ビッグデータに含まれるパーソナルデータ」の積極的な利用に踏み込んだ発言をされたのだろうか。もしかして近々に個人情報利用のガイドライン策定にまつわる大きな進展があるのか、それともネットビジネス関連の会員が多い新経済連盟に対するリップサービスだったのか、その辺りの事情は筆者にはまったく不明である。

五味明子[著]

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