“次の流れ”を読むための『イノベーションの最終解』

EnterpriseZine / 2014年7月8日 6時55分

▲ 図1:業界の変化を予測するためのプロセス

 “有名すぎる経営学者”クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』にて、華麗なデビューを果たし、もっとも巨大な企業こそが破壊されやすいイノベーションの法則を発見した。さらに、『イノベーションの解』では、ジレンマを乗り越えイノベーションを興すための考え方を世の中に紹介した。さらに、『イノベーションの最終解』(原題 Seeing What’s Next)では、三部作を締めくくるように、イノベーションが起こりやすい環境や未来を予測する上で必要なセオリーを解く。しかし、未来を予測するというようなことはさすがに難解で、三部作を読み切ることはなかった読者も多いだろう。今回、三部作としての一貫性が出た新訳を手に取ってみてはどうだろう。

■分かることと、予見することのギャップ

1876年に暮らしたとすると、ベルが電話を発明したときに、その爆発的な普及力を予見することを、皆さんはできるだろうか?
1978年、AT&Tの戦略に携わっていたとすると、携帯電話に大きく投資することができただろうか?
2004年、802.11 という無線規格はどうなるのか予測できただろうか?

 書き出しで、クリステンセンはこう問いかけるところからこの本は始まります。私は、こういうクリステンセン節が好きだ。過去を分析し、説明したり、現状を理解したりするためのセオリーは多いが、未来の予測に使えるセオリーはほとんどありません。負けた後でワールドカップでの日本代表の問題を指摘する評論家は多いが、このままではマズイ、と大会前に警鐘を鳴らした人間が少ないことからも分かります。

 現状は「(注意深く)見れば分かる」、過去は「(念入りに)調べれば分かる」が、未来は「法則を(正しく)導き」さらに「(適切に)当てはめる」ことが必要になります。加えて、見たり、調べたりという行為は直感に働きかけるのに対し、法則を導いたり、当てはめたりする行為は抽象的で、手応えとして得にくいことが難しくしているようです。限られた紙面ではありますが、極力噛み砕いて説明したいと思います。

津田 真吾[著]

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