マルウェア分析から“世界平和”へ―JPCERT/CC 中津留勇さん

EnterpriseZine / 2014年7月15日 0時0分

 「これはいつも言っていることなんですけど、僕がマルウェア分析に携わる究極の目的は“世界平和”なんです」―こう語るのは、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC) 分析センターに所属する中津留勇さん。リバースエンジニアリング技術を使ったマルウェア分析の分野では国内の第一人者として知られる、気鋭のセキュリティ技術者だ。

 「仕事の目的は“世界平和”」―そんな言葉からは、どこか達観したかのような風格さえ漂う。さぞや海千山千のベテラン技術者なのかと思いきや、実は中津留さん、まだ29歳の若者なのだ。しかもぱっと見は実年齢よりさらに若く見えるものだから、大変失礼ながらやり手エンジニアというよりは、むしろイマドキの学生さん風だ。

 この見た目の若々しさと、大局的なものの考え方との間に横たわるギャップが、何とも興味深い。一体どんなキャリアを積めば、若くしてこれだけの落ち着いた雰囲気が醸しだされるのだろうか? そのバックグラウンドを、コンピュータとの初めての出会いあたりから追ってみよう。

■コンピュータへの知的好奇心に早くから目覚めた少年時代

 中津留勇さんが初めてコンピュータに触れたのは、小学生のときのこと。ちょうどWindows 95が世に出て、インターネットブームが起こらんとしていた時代だ。親が買ったPCをいじり出した中津留少年は、ほどなくしてその魅力にとりつかれたという。

 「中学生のころには、インターネットでレアな情報を仕入れて友達同士で自慢し合うのが楽しみでしたね。とにかくPCやインターネットが面白かったものですから、進学先も普通の高校ではなく、本格的にコンピュータの勉強がしたくて高専を選びました」

 大分県出身の中津留さんが入学したのは、地元にほど近い久留米工業高等専門学校。専攻は「制御情報工学科」で、主に産業機械など制御系のハードウェア/ソフトウェア技術を学ぶ学科だ。中津留さんも、制御機器の設計・制作や機械加工の実習などに勤しむ一方で、個人的な関心はもっぱらソフトウェア分野に向けられていたという。

 「そのころには、アングラサイトのような怪しいサイトも含めて、ネット上でさまざまな情報が入手できるようになっていました。そこで、生来の“知りたがり気質”が刺激されたんでしょうね。とにかく、コンピュータやネットがどんな仕組みで動いているのか、知りたくて知りたくて仕方がなかったんです。その中には、ハッキングなどの分野も含まれていましたね」

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