Computerという名の計算手たち

EnterpriseZine / 2014年11月27日 7時0分

 なぜ、ハードウェアメーカは再編を繰り返しているの?なぜ、データベースはこれほど長期間に渡って話題になっているの?そしてソフトウェアエンジニア 、とりわけ僕の一番好きなプログラマが、なぜ、ダーティな過酷な仕事と言われるようになっていったのか…。この連載は、僕らがいるIT業界がいかにして出来上がったか?を模索しながら、これから僕らは「何を目指して」働けば良いか? みたいな少し大げさかもしれないけど、そんなことを考えながら進めていきたいと思います。もっとも、もともとDBオンライン編集部からの原稿依頼は、日本オラクル創設期を経験した僕に対して「Oracleへの愛憎」みたいなものを書いてくれないか?というものだったのだけど、仮に愛憎があったにせよ、そこに至るまで少々前説が必要なわけです。

■Computerを計算手と訳す時代があった

 1840年頃、大政奉還は1867年なので江戸時代末期。欧米の先進諸国ではオフィスワークが始まっていた。電卓も無い時代に帳簿付けをしたりするのだから手計算が主流だ。

 その頃の日本は江戸時代。商人は「そろばん」を器用に使いこなし、割り算、かけ算までもいとも簡単にやっていた。しかし、そろばんの無い欧米では計算手と呼ばれるプロフェッショナルは対数表に代表される数表から計算を単純化し大量の計算をこなしていた。

■大量生産の始まり

 江戸商人を例に出してしまったので小商いを想像するといけない。少し時代は後になるが1900年代にはフォードは既に大量生産ビジネスを開始している。

 a1 x a2 x a3 …a100000 を手分けして計算する。その効率を上げるために対数表を使うのだが、計算表を作る作業自体も大量の計算手が必要となった。そして計算表の印刷誤字やそもそもの間違えも沢山あった。そのような潜在的バグで計算の精度も上がらない。計算機普及前。これから計算エンジニアの時代が始まる。

■データ処理を手分けして行う

計算手は最先端の仕事だった(写真:Wikipedia)

 前出のような単純なかけ算を例に出すと当時の計算手から怒られてしまう。関数電卓も無い時代に化学薬品会社は既にあったし、天文学の軌道離心率の計算だってやっていた。数学を学んだ多くの学生がエンジニアとして企業に就職したのだから、計算は高度に発展しComputer職(計算手)は最先端の仕事だった。

 対数表や三角関数表などを作り計算を単純化させ効率化を計る。結果として計算は単純な足し算引き算だけで済むようになる。その表さえ持っていれば簡単にあらゆる計算に対応できる。そして給料の高い計算手から安い計算手のParallel処理に取って代わる。

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