004 エドガー・コッドの「リレーショナル・データ・モデル論」

EnterpriseZine / 2015年2月23日 15時27分

 今回の連載で取り上げたい、もうひとつのレポートはエドガー・コッドの「A Relational Model of Data for Large Shared Data Banks」です。なんとなくスッと入ってこないタイトルなので、ここでは「リレーショナル・データ・モデル論」と呼ぶことにします。

 エドガー・コッド Edgar Frank "Ted" Codd, 1923-2003

 このレポートが書かれたのは1970年でコッド47歳の時です。その当時のハードウェアは真空管からトランジスタへと進化していました。そして、ノイマン式であるためのStored Program方式が、プリンストンIASチームではなく、先にイギリスのEDSACチームに実現されてしまった原因となった、メモリーを実装するための工学的な混迷の時代、一種の「足踏み状態」から抜け出し、飛躍的に発展を始めた時期でもあります。

 とはいえ、1970年当時のメモリーが高価で有限である状況は現在の我々の想像をはるかに超えています。その後に現れるページング管理による仮想メモリも実現していない時代です。そんな時代にリレーショナル・データベースを実現するなんて、工学的な見地から見れば「仮説」としか映らなかったのではないでしょうか。

 この構図は、僕の頭のモヤモヤが晴れない「ノイマン型」と呼ばれるまでのストーリーに通じます。工学的にコンピュータを実現させたエッカートと論文だけの数学者の間で生じてくる確執。次第にプロジェクトが分裂していったのが前回までの話でした。フォンノイマンの場合は大数学者というマタイ効果で技術者たちの方が去ったのですが、コッドの場合は残念ながら彼自身の孤立でした。でも、そのおかげ(?)と言ったら少し変ですが、このレポートが公表され、その後のRDBMSベンダーの種になったのです。

 そして、結局、数年後には……この中の「コッドの定義」をめぐってデータベースベンダーが○×表で競い合うほどの影響力を持つようになります。そして、皆がコッド博士をRDBの父と呼ぶようになりました。

 http://www.seas.upenn.edu/~zives/03f/cis550/codd.pdf 

 ちなみに仮想メモリーOSとして、1975年、華々しくデビューしたのがDECのVAX/VMSです。VMSはVirtual Memory Systemの略です。

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