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俳優・高良健吾が30代目前で向き合った宿題ーー役から「逃げなくなった」【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2015年6月25日 22時15分

ここは、高良さんの聞く力が発揮されたシーンでもある。今まで何度か取材をしているが、彼はそのたびに「相手を聞くことを心がけている」と演技について語っていた。教室でも彼は岡野として、相手を聞いて、見て、反応する。
「聞くのは大切。たぶん、見るより」と彼は言う。「実は呉さんにレールを敷かれてたのかと完成作を観て、そうすごく感じていました。何気なく言われたひと言に『ああ、そうですよね』と言ってやったことが、映像で観るとすごく効果的になってる。撮影の中盤ぐらいかな。『岡野もこれからどうなっていくか、分かんないですよね』と僕が言ったら、『いや、これからも壁にぶち当たりますけど、岡野は大丈夫なんですよ』と何気なく言っていたようなことがすごい効くんです。呉さんの“それ”を拾うか、何か思うかということでもあるとは思うんです」。

優柔不断な岡野が、教師として一歩踏み出そうとするきっかけになるのは、放課後や休日も校庭の隅に1人でいる児童・神田。演じる浅川蓮は、東京から参加したプロの子役だ。
「あの子はリハーサルの時からすごかった」と高良さんは振り返る。「普段は子供として接してました。だけれど、演じるときは『君は東京から来てて、これだけ面白い役もらっているんだから』と、期待をするというか、先生役をしてるからこそかもしれませんが、他の子よりは厳しく、というか特別に接したところはありました。彼はこれからも役者をしたいって言ってたから」。

少し前までは、撮影現場で最年少ということも多かった高良さんが、年若い後輩を思いやるようになっていた。
「役が変わってきたのもあると思うんです。以前とは全然違う役がもらえるようになってきた」。そして「僕が30になったら、もっと変わるんですよね、たぶん」と言う。「その時に、今の感じのままやっていたら、30代になったときにできない役が多過ぎる。それは嫌なんです。だから、30歳になる前に片付けておきたい宿題が自分の中にいくつもあって、それを今やってるという感じです」。

やっぱり変わった。彼は変わった。以前は「役者を続けていきたいのか、分からない」と何度も言っていたのだ。
「あの頃は本当にそう思ってたから。でも、なんだろう。逃げなくなったんですよね、きっと。前はどこかアマチュア気分だったんです。自分なんて、と卑屈になってた。それがなくなったんだと思う。反省とか後悔は自分にパワーをくれるけど、卑屈はダメージだけで何もない。そう思ったんです」。

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