200年間の中で極めて美しい”装飾写本”だけを集約【NADiffオススメBOOK】
FASHION HEADLINE / 2015年9月24日 20時0分
各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ(NADiff)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・渋谷の支店 modern舘(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)です。
■『中世パリの装飾写本』前川久美子
私たちの身近に存在する「書物」はいつごろから始まったのかーー西欧で文字や図画を印刷することが始まったのは15世紀のこと。それ以前の書物は人間の手で書き写されており、それらを「写本」と呼ぶ。
13世紀から15世紀にパリで生み出された写本は、文字だけではなく優美な装飾画も描かれた華麗で贅沢なものも多く、当時の市民には非常に高価でもあった。本書では、13世紀から15世紀初めまでのおよそ200年間の中で、最も豪華で芸術性の高いとされている『ベリー侯のいとも豪華なる時祷書』を含む、代表的な装飾写本が各章ごとに紹介されている。
社会的背景や美術の歴史と共に変化していく装飾写本を、多数の図版とともに読み解く事ができる入門書として、また、読書の歴史を書物論としても愉しめる内容になっている。
現在、Bunkamuraザ・ミュージアムにて「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生展」が開催中。会場では、ヨーロッパの原風景とも言える月々の営みが描かれた時祷書や月暦画について、『ベリー侯のいとも豪華なる時祷書』(ファクシミリ版)などの参考資料とともに解説している。
“風景画”という独自のジャンルが切り拓かれるまでの歴史を観る事ができる貴重な同展は、12月7日まで。
【書籍情報】
『中世パリの装飾写本』
著者:前川久美子
出版社:工作舎
ハードカバー/256ページ/A5
発刊:2015年6月
価格:3,800円
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