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正藍冷染「藍と共にある四季」日本最古の藍染を守る千葉まつ江さんに会いに--前編【ENcounter vol.2】

FASHION HEADLINE / 2015年11月21日 20時0分

千葉まつ江さんの手による「正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)」

「正藍冷染(しょうあいひやしぞめ)」とは、平安時代から伝わる技法をそのままに、宮城県栗原市の千葉家で代々受け継がれてきた染織技術。今回は、現存する最古の藍染め「正藍冷染」の継承者である千葉まつ江さんを訪ね、四季と共にある藍との暮らしについてお話を伺った。

まつ江さんが暮らす栗原市は栗駒山を望む山間部。そして、家の目の前には、藍染に欠かせない豊かな水を運ぶ二迫川が流れる、水と緑に恵まれた土地。この自然に囲まれた土地で、まつ江さんが藍の種を植えてから、その葉を使い藍染が出来るようになるまで1年余りの歳月を要する。近年、藍瓶を加熱することで、通年染められるようになった藍染だが、まつ江さんは藍染の工程で加熱することをしない。藍の発酵に至っても、季節と共に変化する気温によって発酵させていく。だから、正藍冷染で藍染が出来る期間は5月末から6月末の1ヶ月だけ。1年以上の歳月かけて気の遠くなるような作業を重ね、やっと1ヶ月の間、澄んだ藍色に布地を染められるようになる。

まつ江さんが藍と向き合う暮らしは、手をかけ、時間をかけて行う自然との共生そのもの。そんな、まつ江さんの藍と共にある四季折々の暮らしを紹介したい。

■藍と共にある四季--春夏の暮らし

東北の長い冬が終わり、大地が顔を出す4月にまつ江さんは藍種蒔きを行い、6月になるとは、手のひら程の高さに伸びた藍を畑に植え直す。そして、北国の短い夏、8月と9月には、すくすくと育った藍葉を数回に分け、近所の方々の手伝いももらい、家族総出で刈り取る作業を行う。摘んだ藍葉は天日に干した後、筵(むしろ*1)の上で揉み込む「藍もみ」をして、さらに乾燥させる。

まつ江さんは、義祖母にあたる正藍冷染初代の千葉あやのさんの教えを今もかたくなに守っている。今夏は、大雨の影響で、まつ江さんの畑に裏山からの土砂崩れがあり、ちょうど収穫時期だった藍の葉も、地面に近い部分は土をかぶってしまった。多くの藍葉に泥が付いてしまったにも関わらず、まつ江さんは「おばあさんが泥のついた藍は、絶対に入れてはいけないと言ったから」と、葉先の土砂被害を受けなかった葉だけを摘み取ったという。たとえ、生産量が減ったとしても、おばあさんの教えを守る。こうして「正藍冷染」は、昔からの技法をそのままに、受け継がれてきた。

■藍と共にある四季--秋冬の暮らし

秋の間、夏に刈取り乾燥させた藍は天井裏に置いておく。秋は農家にとって米の収穫という大イベントがある。千葉家でも、長らく藍染と農業を兼業してきたように、農家の暮らしと藍染はこの土地に限らず共にあることが多い。

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