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ウェス・アンダーソン監修のカフェや美術館、未完成だからこそ観ておきたい「プラダ財団」【レポート】

FASHION HEADLINE / 2015年12月22日 15時0分

ウェス・アンダーソン監修のカフェや美術館、未完成だからこそ観ておきたい「プラダ財団」【レポート】

プラダとアートの関係は、1993年プラダ・ミラノ・アルテという組織を立ち上げることから始まり、1995年には財団として活動の幅を広げている。2011年にはヴェネツィアに6年間という期限つきで新しい展示スペース「カ・コルネール・デッラ・レジーナ」を設け、ヴェネツィア・ビエンナーレに集まるアート関係者はもとより、多くの観光客も訪れるスポットとなっている。

2015年5月9日満を持してアート複合施設がオープンした。ミラノ南部、ラルゴ・イザルコにあるこの施設は、プラダの店舗を手がけるレム・コールハス率いる建築事務所OMAによるもの。もともと蒸留所だった場所で、当時の建物を生かしつつ新しい建物をプラスし、古いものと新しいものが出会う場所というコンセプトだ。

敷地に入り先ず目に飛び込んでくるのは、東南アジアにある金ぴかの巨大仏像と同じように金箔を重ねた黄金の館。その前の建物には、プラダのイメージムービーも製作したウェス・アンダーソン映画監督(『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『グランド・ブタベスト・ホテル』)が監修した「Bar Luce(バー・ルーチェ)」が入っている。「バー・ルーチェ」はイタリアのミッドセンチュリー・モダンを再現したカフェで、プラダが今年買収した老舗ペストリー店「マルケージ」の菓子が食べられることでも話題となっている。

約19000平方メートルの敷地に、ミウッチャ本人がキュレーションしたといわれる南側の棟はじめ、常設展、企画展、シネマが楽しめる10棟が建ち並んでいる。駆け足のヴィジットだったが、時間があれば1日かけてゆっくり楽しめる。ここでは館内の作品について解説してくれる案内人が常駐し、平日は料金がかかるが、土日曜日はちいさなグループを作り無料で案内してくれるという。案内はイタリア語と英語のみだが、今後日本語、中国語での案内も始まるかもしれないとのこと。

この施設は、プラダ財団を主宰するミウッチャ・プラダと夫のパトリッツィオ・べルテッリがアートについて何年も何年も語り合い、構想を練り、ごく私的な空間を作り出したのだ。しかも、その空間は、いくつも巡り歩いた美術館とは明らかに違う、ミウッチャが創り出すファッションと同じセンスを感じさせる。日本にもサントリーやブリジストンといった企業の財団が運営する美術館はあるが、企業の経営者の考えやセンスというより、むしろメセナ活動の一環として存続されている。社会に向けて文化的な貢献することは、企業としてのクオリティの高さが伺える。しかしプラダ財団は、文化貢献という感覚より、ミウッチャとパトリッツィオの趣味や道楽の匂いが漂う「センス」が最大の魅力といえるのではないだろうか。

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