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中里周子×寺澤真理「ファッション×デジタルを考えたら、宇宙に行き着いた」--1/2【INTERVIEW】

FASHION HEADLINE / 2016年1月3日 17時0分

寺澤:そこからは、伊勢丹チームと中里さんで、7~8回はブレストをしました。ブレストの中から「伊勢丹を宇宙に持っていけたらいいんじゃない?」というアイデアが出て、そこからは加速度を増して企画がふくらんでいった気がしています。

中里:私自身は「ファッション×デジタル」を表現するにあたって、光るテキスタイルを使うなど、いわゆる新しいテクノロジーが可能にしたファッション提案をする役割のデザイナーではないと思っています。テクノロジーと真っ向勝負するより、別の角度から「裏技的な」提案をすることが大事だと考えていて、それは単純に「すごい!」とか「おもしろい!」とか、まずそういう直感的な感覚を表現したいなと考えました。だから、才能の無駄遣いというか「ぬけ感」のあるアプローチに繋がっているんだと思います。それは、しっかりとした場であえてふざけてみることで、物事の本質が見えてくるとも考えているからです。

■ファッションは必ずプラスの感情で終わらなくてはいけない

ー中里さんのお話を伺っていると、「表現すること」「伝えること」に対する強い思いを感じます。なぜそこに思いを寄せるのでしょうか?

中里:私は人間に関わる全ての“接触の瞬間”に興味があるんです。接触みたいなものをいつも探していて、それを可能にするのがファッションだと思っています。ファッションがアートとこれだけは違うなと思っているのは、ファッションは必ずプラスの感情で終わらなくてはならないという点。「汚い…」とか「触りたくない…」とかでは、ファッションは成立しません。「かわいい!」とか「かっこい!」とか、ファッションと人の接触部分でプラスの感情が生まれます。アートはいわゆる「美」がそこになくても、その価値観は文脈の中で理解していくものなのです。だから、必ずしもプラスの感情につながる表現が全てではないですよね。

その意味で、ファッションと人の接触の場所を考える=伝え方を考えることになるんだと思います。そう考えると、百貨店はリアルな売買の場であり、ファッションと人の接触の場でもあります。

寺澤:「モノが売れること」が単純でもあり、難しいことでもありますよね。例えば、あるモノを手にした時に人は心が突き動かされたり、そこに共感が生まれたりすることが、購買に繋がるのではないかと思います。

私の担当するTOKYO解放区は、13年の3月に伊勢丹新宿店がFASHION MUSEUMをコンセプトにリモデルした際に生まれました。トラディショナルでコンテンポラリーな一面も担う伊勢丹新宿店の中で背負っている役割は、ファッションにおける中里さんの役割と重なる部分もあるのではないかと思います。
モノを売るということだけではなく、その先につながる価値観を提案することが役割なのではないかと。

中里さんの価値観を提示するというファッションの在り方に未来性があり、将来性があると思っています。今はまだ、色々ともやもやしているし、難しい課題に直面しているなという感覚ですね。もしかしたら、今が何かの通過点の時期なのかもしれない。既成概念やルーティーンを打ち破る時が来ているのかなという気もしています。

後編「中里周子×寺澤真理『ファッションだから持ち得る、人への愛。これが大事』」に続く。

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