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嗜好品のように集められた本が並ぶ町の本屋、誠光社を訪ねて【京都の旅】

FASHION HEADLINE / 2016年1月4日 16時0分


■本の流通の仕組みに風穴を開け、町の光となる本屋を目指す

誠光社では、書籍流通の仕組みに対しても新たなチャレンジを目指している。
日本の書籍流通には、取次というシステムがある。本の問屋のようなもので、取次制度があることで、書店は1冊単位で注文を担い、返品も可能な委託販売や再販制度を成り立たせている。これはこれでよくできたシステムだが、商品構成が画一的になったり、新規書店が取次と契約する際の高いハードル設定など、新しい本屋が生まれにくい環境を生み出してもいる。また、取次が間に入ることにより、書店の販売利益が少なくなるなど、課題もあるという。堀部さんは、そんな構造的な不況からの脱出をこの誠光社から図っていくつもりだ。

「誠光社は本屋の新しいあり方を提案するために始めた、ささやかな実験だと思っています。僕のように嗜好品として本をそろえていると、少数派の人にしか受けないのでは?と実際言われることもあります。でも、少数派といわれる人たちも、全国規模で考えれば一定の人数になります。情報が発達した今、そういう人たちに全国規模で発信できますから、小さな書店であっても採算は取れると思います」

最小限の規模で、店主が本選びも、店番も、取引先とのやりとりも行う。大変といえば大変だが、でも、だからこそ、「自由に好きな本を選んで、今、本当に読んでほしい本の提案ができる」と堀部さんは笑顔を見せる。

土地に根付き、お客さんとの接点を出来るだけたくさんつくり、店主自身も勉強しながら変化する。本もまた、固定化することなく、商品構成は刻々と自在に変化していくのだろう。堀部さんと話していると、本屋は生き物、そう実感する。

「店の姿としてはこれまでに親しまれてきた町の本屋ですが、経営のあり方や舵取りは、これまでと一線を画していくでしょうね。本の流通に風穴をあける存在になりたいです。本は贈り物、本屋は町の光です(笑)。こんな本屋さんが町に増えてきたら、本の世界はもっと面白く、元気になると思いますよ」と、静かに語る堀部さんが、店名に込めた熱い想いを改めて感じた。

取材協力/
誠光社
TEL:075-708-8340

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