映画監督園子温「風化しかけた記憶に対しての小さな詩をつくりたい」1/2【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2016年5月6日 20時0分
■実は静かな映画が出発点
ーー『ひそひそ星』では、「距離と時間に対する憧れは、人間にとって心臓のときめきのようなものだろう」という言葉が、映画自体のキャッチフレーズにもなっていますが、この思いは、ずっと抱き続けてきたものですか?
『ひそひそ星』は、25年前に書いたシナリオに、ほとんど変更を加えていません。いろいろなものがどんどん便利になることで、ときめきが消えてなくなる。遠いからこそ、憧れているけれども、それがメッチャ近くなったら、想像力が働かなくなり、どうでもよくなる。フランスが隣町にあったら、その途端、お洒落でも何でもなくなる。よく僕のアトリエにフランス人が1ヶ月くらい泊まるのですが、「下北沢はパリよりカッコイイ!」って(笑)。お互いにそういうものなんですかね。
ーー編集とダビングに1年という長い歳月をかけたそうですね?
思い残すことがないようにしたかったんです。このところ、ものすごいスピードで映画をつくってきて、それはそれでよいところもあるのだけれども、いろいろと目をつむるところも多かった。自主映画はそういうものがないようにしたいと思いました。
ーーこれまで「動」的な映画を数多く撮られていますが、『ひそひそ星』で限りなく「静」の世界を描いた理由とは?
そもそも僕は「静」的な映画を撮りたくて、映画の世界に入りました。25年前、デビューをした頃は、静かな映画でいこうと思っていたけれども、なかなか上手くいかない。それからはからずも動的な映画主体になったけど、実は静かな映画が出発点なんです。
■いつも心の中に詩を忘れたことは一度もない
ーー園さんは高校生の頃から詩を書かれていて、『ひそひそ星』はとりわけ詩的な作品ですね?
もし詩を書いてなかったら、いまの僕はないと思うくらい、詩は欠かせないものだし、これまでの映画の中にも詩がいっぱい散りばめられている。台詞一つとっても、あの頃、詩で勉強したことが、全部役に立っているな、と思う時がありますね。
10代の頃、詩を読み漁っていましたからね。日本の現代詩はもちろんですが、世界中の詩人の作品を読んで、本当に勉強になった。それが根底にあり、いつ何をやっても心の中に詩があり、詩を忘れたことは一度もありません。
ーー映画の世界観にも、詩の影響は大きいですか?
25年前、僕にとってよい映画とは、オリジナリティー溢れるもので、オリジナルの刻印がない映画はダメだと思っていた。すごくよくできているけど、誰の作品だかよくわからない映画よりは、駄作でもいいから、パッと見ただけで、誰の映画かわかるような作品をつくるべきで、自分もそうありたいと願っていた。
この記事に関連するニュース
-
【漫画】仕事に追われ、体が動かず涙 自分の正体が分からない“お化け”状態に…結末に「共感しかない」【作者インタビュー】
マグミクス / 2024年8月2日 20時50分
-
「ありがとう」に生きる喜びを込めて 女性住職でシンガー・ソングライターの三浦明利さん 一聞百見
産経ニュース / 2024年8月2日 14時0分
-
大泉洋、クドカン脚本作品に初出演 山田太一原作「終りに見た街」3度目のドラマ化でタッグ
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年7月30日 5時0分
-
『もし徳』浜辺美波・赤楚衛二・GACKT・観月ありさ・竹中直人・野村萬斎が会いたい偉人は?
ORICON NEWS / 2024年7月23日 12時0分
-
名匠・山田洋次監督が語る“映画作りへの思い”
ASCII.jp / 2024年7月22日 17時30分
ランキング
-
1帝人が「めちゃコミック」売却 米投資ファンドに1300億円で
共同通信 / 2024年8月12日 15時44分
-
2中高年リスキリングを待ち受ける「3つのリスク」 定年後、ホワイトカラーの仕事に就けるのか?
東洋経済オンライン / 2024年8月12日 10時0分
-
3ケーキに天ぷらや赤飯にまで…甘い香りの食べられる「食香バラ」、生産するのは国内でただ一か所
読売新聞 / 2024年8月12日 16時0分
-
4平均給与458万円だが…「中間層の拡大」で露呈する、日本の「恐ろしい経済格差」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年8月12日 18時15分
-
5気象庁「予知はデマ」明言、地震雲の発生や動植物の予知能力は「科学的な根拠に欠ける」
読売新聞 / 2024年8月12日 10時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください