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音楽にはカタチがある。カセットカルチャーの震源地・中目黒「waltz」角田太郎【INTEREVIEW】

FASHION HEADLINE / 2016年8月2日 20時0分

■オープンのきっかけはある1冊の本との出会い

デジタル化の波を肌で感じることができる最たるものの一つが音楽だろう。それまではラジオを通じて聞いていた音楽が、レコードになり、カセットになり、CDになり、データとなり、無形化した。

「音楽が無形化した結果、アートではなくなってしまったんだと思います。自分自身、初めてiPodを手にした時、持っている何千枚ものCDをデータ化してやろうと思ったんですけど、あっという間に挫折しました。若いころから音楽を聞いてきた身からすると、やっぱり音楽ってデータじゃないよねと、気づく瞬間でもありました」

「カセットテープに行きついたのは2004年頃、ある1冊の本がきっかけです。それがこの『mix tape』というタイトルのアートブック。著者が知人に、昔作ったミックステープを持ってきてと声をかけて、集めたものを収めてアートブックとして紹介しているんです。ミックステープを作った本人は、それがアートだなんてことは思っていないでしょう。ですが、ジャケットやインデックスの作り方に注目すると面白いんです。凝ったコラージュが施されていたり、タイポグラフィーの作品集にも見えます。この1冊の中では、カセットテープというものがアートとして表現されてるんです。この本でスイッチが入りました」



■カセットテープのほうが“音がいい”

それこそ「ハイレゾ」なんていう言葉もよく聞くようになった。音質もどんどん良くなっているような気もする。「音がいいっていうのは、すごく定義が難しい話です。技術的に“高音質”ということと、耳に聞こえる“心地よさ”っていうのは全然話が違うんですよ。それは例えば、高級メゾンのスラックスがいいのか、古着のリーバイス501がいいのかっていうのと同じ。ハイレゾみたいなものは高級メゾンのスラックスなんです。デジタルの音は固いんですよね。それに対して、周波数を上下でカットしたレコードやカセットは聴こえる範囲が狭いんです。だから高音質ではないという言い方もできるんですけど、でもその分パンチが効いてるんですよ。音は温かく聞こえるんです。加えてアナログ盤はノイズを含んでいます。ノイズを含んだ音は生々しく聞こえるんです」

■デジタル=冷たい、アナログ=温かい、という二元論を超えて

角田さんは「デジタルにはデジタルのよさがある」と前置きした上で、「アナログを古臭いものだと勘違いしている人も多い」と語る。

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