「レオナール・フジタとモデルたち」展が開催、モデル研究の集大成として挑んだ壁画の大作も公開
FASHION HEADLINE / 2016年9月13日 16時0分
展覧会「レオナール・フジタとモデルたち」が、9月17日から2017年1月15日まで、千葉・佐倉のDIC川村記念美術館で開催される。
ヨーロッパ近代美術の歴史において最も成功した日本人芸術家、レオナール・フジタこと藤田嗣治(以下、フジタ)。現在の東京藝術大学の前身、東京美術学校の西洋画科を卒業後、第一次世界大戦前の1913年、27歳の時にフランス・パリへと渡ったフジタは、モンパルナスの一角にアトリエを構え、スーティン、モディリアーニらエコールド・パリの画家たちと交流を深めた。1920年代、「乳白色の下地」と均一な極細の描線によって自らのスタイルを確立したフジタは、ピカソやシャガール、ダリなど世界中から芸術家たちが集まっていた「狂乱の時代」のパリで、一躍時代の寵児となった。
多様な主題、ジャンルでその才能を発揮してきたフジタだが、画業の中心は人物を描いた絵画が中心を占める。他の芸術家の場合と同じように、職業モデルを雇ってポーズの研究を行い、社交界の名士や裕福なブルジョワから注文を受けて肖像画を制作した他、時には家族や親しい友人を画面に登場させることもあった。
本展では、フジタの初期から晩年までの約90点の作品を、描かれたモデルに関連する約150点の資料を交えて紹介。「モデル」をテーマにフジタの描いた人物、モディリアーニやジャン・コクトーといった芸術家、職業モデル、身近な友人や5人の妻たちを様々な視点から取り上げ、フジタの思考とモデルに注ぐまなざしを再検討する。
また、フランス、エソンヌ県の特別協力により、フジタがモデル研究の集大成として群像表現に挑んだ壁画も展示。「構図」と「闘争」を主題とした連作壁画は、3×3mのカンヴァス4点に人物、動物が描かれた大作で、フジタが挑んだこの群像表現は、後の戦争記録画を考える上でも重要だという。
会場では、フジタ自身が被写体となってトレードマークのおかっぱ頭に丸眼鏡、カメラ目線でポーズを決めた写真をはじめ、フジタの最初の妻であった鴇田とみにフジタが宛てた書簡や、中南米旅行で蒐集した土偶・石偶、最後の妻、君代に贈ったハンドペイントの木箱なども展示される。会期中には、講演会やギャラリートーク、ワークショップなども開催される予定だ。
なお、府中市美術館では、名古屋市美術館、兵庫県立美術館から巡回する「生誕130年記念 藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」が、10月1日から12月11日まで開催。学生時代の自画像、乳白色の裸婦、戦争画、最晩年の宗教画といった初期から晩年までの画風の変遷を辿る内容となっている。
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