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ネイルアーティストHana4が江戸小紋と出会う。伝統をつなげるという情熱をチップに込めて【Hana4×江戸小紋】

FASHION HEADLINE / 2016年9月18日 16時30分



小宮氏は、師匠でもある父親から「40歳までに自分の仕事を終えろ」と言われて、実際に35歳のときに終わった瞬間を悟ったという。ほんの少し星がずれてしまったこと、それに妥協してしまった気力の衰え…。他人から見ればなんら変わる事ない仕事ぶりでも、本人には終わったと分かる瞬間があるのだという話を、型付けの作業を見ながらしてくれたのだ。

「私も目と指を駆使する細かい仕事なので、いつか体力・気力に終わりがくるということをずっと恐れている部分もあるんです。だから、小宮先生が自分の終わりに気づき、それを受け入れたときの気持ちは絶対に簡単なものじゃなかったんだろうなって想像できた。でも、この話を聞いて、私がいま、こうやって怖がったり、悩んだりすることは意味がないわけじゃないんだとも思えたんです」。



星まで表現した3つのチップ。4つ目からは頭に伊勢型紙がインプットされたかのように、何も見ずに描けたというから驚きだ。

■ひとつひとつの点を丁寧に打ち続ける

Hana4さんが小宮氏の話の途中で思わず泣いてしまうシーンがあった。「やり続けて飽きることは?」と聞かれた小宮氏が、「本当にうまくいったという仕事はない、だからやり続けるしかない、1日1日を生きるしかない」と答えたときだ。

「ネイルも同じことを繰り返しているように見えるけれど、同じ時間はひとつもないんです。いい感じだなとか、今の点は失敗したな、とか。小宮先生も「自分の打つ点にも違いがあって、息子さんが打った点もまた違って、それは個性だ」ということを言われて。そこにすごく共感できて、必至になってネイルを描いている自分も間違いじゃないんだって、嬉しかったです。このチップを作っているときも、点のひとつひとつが違っていいんだな、個性って言ってもらえるんだな、と自信をもって丁寧に点を打ちました」。

■伝え続けるということ

「技術者として終わりがあっても教えることに終わりはない。それを続けていけば次の世代につながることになる」、そうHana4さんは言う。小宮氏は息子に伝え、Hana4さんもセミナーを通じて生徒に技や、伝統工芸を通じて感じた「道具を大切にする精神」までもを伝えている。そして、伝統工芸の心をネイルアートに乗せて伝えるという仕事にも魅力を感じている。

「このチップで私がシェアしたいのは、小宮先生のこれまでの決意だったり、つないでいる伝統だったりです。柄だけをうまくコピー&ペーストできる人はいると思うし、模倣はいいけれど、それで紹介されても困る(笑)。デザインのシェアはして欲しいけれど、今回はストーリーを伝えたいのです。

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