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若き写真家・石川竜一、木村伊兵衛写真賞を受賞した代表作の続編【NADiffオススメBOOK】

FASHION HEADLINE / 2016年10月20日 21時0分

『okinawan portraits 2012-2016』石川竜一

木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、写真家・石川竜一の作品集『okinawan portraits 2012-2016』。恵比寿の東京都写真美術館内にあるミュージアム・ショップ、NADiff BAITEN(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内 東京都写真美術館2F)によるご紹介です。

■『okinawan portraits 2012-2016』石川竜一

沖縄生まれの写真家・石川竜一が、沖縄中でバイクを走らせ3,000人のポートレートを撮影した中から生まれた『okinawan portraits 2010-2012』。それから、まだまだ続いていた沖縄での撮影が、『okinawan portraits 2012-2016』という1冊となり、今年9月に出版された。

石川の写真には、シャッターが押された時、そこに、その人が、その景色が存在した、という事実だけがある。それは確かに沖縄の人々で、沖縄の景色なのだが、そこに写っているものたちは、私たちの中に知らず知らずのうちに培われた「沖縄らしさ」というイメージを拒否する。被写体は、特別こちらに笑いかけてくるわけでもなく、何かを訴えかけているわけでもない。しかしそこには、人間の「生」本来の強烈さがある。

あとがきにはこう書かれる。
「たくさんの情報が錯綜する中、欲だけが膨らみ、僕らはいま、僕ら自身をも消費してしまおうとしている。本当に必要なのは、お金そのものでも、経済システムそのものでもない。存在の証明であり、それを共有するための媒体やシステムだ」。
経験や、常識によって作られた「らしさ」という先入観をそぎ落とし、ただ目の前のものを見つめる石川は、写っているものの存在をむき出しにする。それは、どこを開いても生々しくて、私たちにそれを「沖縄らしい写真」として消費させてくれない。

『okinawan portraits 2010-2012』のあとがきにて、「本当はただ、その人と、その場所で、その時にしかない、写真との出会い。それだけだ。そんな中で写真はいつも話しかけてきてくれる。「お前が探しているのはこれじゃないのか」と。しかし、それも断定はできないのだ。多分、永遠に。」と書いていたように、「okinawan portraits」は途切れることがない。その人と、その場所で、その時にしかあり得なかった出会い。そうした偶然は、死ぬまで、毎日続いていく。写真は、そうした偶然の結果であることを思い出す。

「あなたはここまで来て、ここから行くのです」という石川の言葉の通り、『okinawan portraits 2012-2016』の写真は、「彼、彼女たちは」「いま」「ここにいる」という被写体の存在証明に他ならない。それは同時に、それを撮影する石川自身の存在証明でもあるのである。

【書籍情報】
『okinawan portraits 2012-2016』
著者:石川竜一
発行:赤々舎
判型:ソフトカバー/288ページ/245×255mm
言語:日本語
価格:5,000円

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