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一般人のInstagramを流用したリチャード・プリンス『New Portraits』【NADiffオススメBOOK】

FASHION HEADLINE / 2016年10月27日 19時0分

『NEW PORTRAITS』Richard Prince

木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiff(ナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、アーティスト、リチャード・プリンスの作品集『NEW PORTRAITS』。東京・恵比寿の本店・ナディッフ アパート(東京都渋谷区恵比寿1-18-4NADiff A/P/A/R/T1階)によるご紹介です。

■『NEW PORTRAITS』リチャード・プリンス(Richard Prince)

1949年生まれのリチャード・プリンスは、1970年代半ばからマスメディアや広告、他のアーティストの作品などから、既存のイメージを利用(流用、盗用)し、自分の作品の中に取り入れるアプロプリエーションという手法で作品を作るアーティスト。時代の象徴となる、消費されるイメージを積極的に取り込んだ作品は、盛んに著作権、肖像権、社会の倫理、道徳の問題が取り沙汰されるが、そのオーディエンスの批判や、「炎上」も織り込み済みであることは周知の作戦であり、コンテンポラリーアート界を賑わす御馴染みの常習犯だ。

本書に収録される作品『New Portraits』は、ソーシャルメディアInstagram上に掲載された一般人の投稿写真を流用したプリンスの最新作シリーズ。Instagramユーザーから投稿された写真にプリンスが自らのアカウントでコメントを付し、そのキャプチャー画像を「ニュー・ポートレート」シリーズの作品としてキャンバス作品にしたものだ。

ソーシャルメディアの発展によって公と私の境界が曖昧になり、インターネットを経由すれば赤の他人のプライバシーが圧倒的な情報量で目に触れることができる今日的な状況を背景にした本作は、ネット上でシェアされる画像、情報は誰のものなのかという問いを投げかけると共に、作品のオリジナリティとは何によって担保されるのかという問題を私たちに喚起させる。

本書は、コンテンポラリーアートを紹介する国際的なギャラリー、ブラム・アンド・ポー(BLUM&POE)によって1,000部制作され、日本国内ではそのうち250部が限定販売中だ。本のデザインはグラフィック・デザイナーの秋山伸が率いるedition.nordが手掛け、印刷物によるオリジナル作品の再現を可能な限り追求する試みが紙面で行われると共に、その革新的で美しい装幀も魅力の1冊となっている。

また、本書のデザインを担当するedition.nordの秋山伸による、デザインワークに留まらないユニークな活動を紹介するイベント・エキシビション「BookとBukuは似ている ShinとBukuとedition.nord ── デザインとアートを考える2、3ヶ月」を、現在ナディッフ アパートで開催中。

【書籍情報】
『NEW PORTRAITS』
著者:Richard Prince
発刊:Blum & Poe
判型:330×266mm
価格:2万円

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