「現代はファッションへの欲望や詩的な美しさを失いつつある」--デザイナー・ルッセラ・ヤルディーニ--2/2【INTERVIEW】
FASHION HEADLINE / 2016年11月9日 21時30分
イタリア人にとってファションは、人生に“JOY”というスパイスを加える、必要不可欠で身近な存在。そんなイタリアのファッション業界を長く牽引しているデザイナーの一人が、ルッセラ・ヤルディーニ(Rossella Jardini)。
ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)、モスキーノ(Moschino)とイタリアを代表するラグジュアリーブランドでクリエイティブディレクターを務めた後、現在は自身の名を掲げたブランドに注力している。
30年以上に渡り業界を見てきた彼女の目に、現代のファッションは「詩的な美しさを失いつつある」ように映っていると語る。彼女の知る業界の変遷、イタリアファッションの強み、そして来日時の日本の印象とは。
ーー30年以上ファッション業界の第一線で活躍しているルッセラですが、その間に業界も時代も大きく変貌を遂げています。この変化をどのように感じますか?また、どういった点が最も変わったと思いますか?
インターネットが全てを変えたわね。例えば、昔はショーを観に行く人はファッション業界人だけだったのに対して、今は肩書きが何なのかさえ分からない人もいる。最新コレクションを一般の人が目にするのは、ショー開催の6ヶ月後だったけれど、今はリアルタイムでしょ。“See now, Buy now”に然り、消費することにばかり重きを置いて、ファッションへの欲望や詩的な美しさや楽しさといった、醍醐味が失われつつあるように感じます。
時代のスピードが加速する分だけデザイナーやディレクターにのしかかる負担が大きくなり、創造性の部分が欠落してしまいかねない。過去のアーカイブをそのままコピーしたようなピースが出てくるのも、それが原因だと私は思っているの。ブランド側はビジネスに傾倒し過ぎ、消費者側はトレンドを追いかけ過ぎてしまう状況が続いて、ファッションの真髄を失ってしまわないか今後が心配。
ーーモスキーノをはじめ、イタリアのデザインというのはトレンドに振り回されることなく、常に“自己流”を提唱しているブランドが多いと感じます。顧客やマーケットが求めるもの与えるのではなく、リーダーシップを切ってファンを率先しているイメージ。それだけデザインも優れているということですが、ルッセラはイタリアのファッションの強み、他国と比べて優位な点を挙げるとしたら何ですか?
メゾン級のブランドでも、創始者が健在しているというのは大きな強み。ブランドのDNAを彼らから直接受け継ぐことができるから。どの業界においても、コンセプトを揺るがさず、ブランドの色を守り続けるというのは容易なことではありません。どんなに立派なブランドであっても、数年単位でクリエイティブディレクターやデザイナーを変えていては、基盤が崩れてしまうのも当然よね。
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