Think Pink--2017春夏の注目カラー“ピンク”の捉え方【2017年春夏コレクション考察--横井由利】
FASHION HEADLINE / 2017年1月1日 21時0分
密かに注目を集めているピンクについて考えてみた。
女性はピンクを着るタイプと着ないタイプに分かれる。日本ではピンクを着る女性のタイプは、「可愛い」「女性らしい」「ソフトな」と形容されることが多い。着ないタイプのクロゼットには、男性と肩を並べて仕事をするイメージの黒や紺やグレーといった落ち着いた色の服が並んでいる印象がある。だからと言って女性であることを否定しているわけでもない。ここで誤解して欲しくないのは、着る女性、着ない女性たちをステレオタイプに分類しようとしているわけではない。デザイナーの感性を通して提案された新しいイメージのピンクを、ピンクを着ないタイプと思い込んでいた女性たちが、着てみたいと思う瞬間を捉えてみようと考えた。
コム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)の川久保玲が、赤をテーマにしたコレクションを発表した時、単に女の子色だった赤を、赤は黒に匹敵する強い色だというメッセージを発信し、そのイメージを一変させたことがある。来シーズン注目したいピンクは、それぞれのデザイナーの捉え方の違いが際立つシーズンになりそうだ。
■バレンシアガ(BALENCIAGA)/リッチ・ピンク
バレンシアガのデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は、クチュールならではのヴィヴィッド・カラーへのアプローチを鮮やかなピンクやブルーで表現した。80年代から90年代のクチュールに見られたリッチなヴィヴィッドカラーの使い方にインスパイアーされたであろう色使いだ。2017年春夏に見られた「クチュールとフェティシズムの密接な関係」は、リッチなピンクがクチュール感を担い、ラバーやスパンデックスという素材が持つ触感はフェティシズムに由来するものだ。キッチュとエレガンスの間、タイトロープを歩くようなスリリングな展開をヴァサリアは楽しむかのようだ。先シーズンのストリート感覚はアノラックやワークジャケットやメンズライクなシャツとして存在し、バレンシアガのベーシックアイテムとして定着するのだろう。
■ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)/神秘のピンク
意外性のピンクは、ジバンシィのピンクかもしれない。「ニューエイジ」がキーワードという2017春夏は、これまでのクールなコレクションに新しい感覚がプラスされたシーズンになりそうだ。従来の黒を基調とした力強いコレクションと並行して、瑪瑙(メノウ)の原石の断面をプリントしたドレスには、自然の色に由来するピンクがさりげなく配置されていた。ジバンシィにはこれまで存在したことのない「神秘のピンク」なのだ。女性にアピールするピンクというより、かつてピンクに見向きもしなかった女性へ向けたスピリチャルなメッセージをピンクのメノウプリントで、投げかけているかのようだ。その後登場したフューシャピンクのドレスも、イタリア人特有のぬくもりを感じさせるピンクだった。
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