約400年前ヨーロッパから天草に伝わった活版印刷を“デザイン”で表現「NINE LETTERPRESS」【九州のクリエイターたち:03】
FASHION HEADLINE / 2017年3月27日 17時0分
三越伊勢丹とビームス(BEAMS)がタッグを組み日本各地の魅力を再発見するプロジェクトイベント「STAND九州」が、3月29日より伊勢丹新宿店本館1階=ザ・ステージとビームス ジャパン1階でスタートする。
FASHION HEADLINEでは、同イベントに参加をする九州のクリエイターたちにスポットをあて取材を行った。
■ナイン レタープレス(NINE LETTERPRESS )「デザインから見える活版」
『I AM A CAT AS YET I HAVE NO NAME』。縦長のアルファベットフォントで組まれた活版印刷のポスターは、縦に配列されたトリプルAと猫のシルエットの、ウィットに富んだデザインが際立つ。
「猫ってなんだかいいでしょ。『我が輩は猫である』の言葉を、三毛猫っぽいカラーで仕上げました」と話すのは、デザイナーの長島裕介さん。今回の「STAND 九州」では、「OK SHOP」のメンバーとして赤・灰の2種類の背景で限定各15枚、ナンバリング入りで紹介する予定だ。
路面電車がのんびり行き交う熊本市練兵町。熊本で最初の貸しビルとして大正時代に建てられたビルの1階に、長島裕介さんが営む九州活版印刷所「ナイン レタープレス」はある。レトロな雰囲気漂う1階フロアの一室を覗くと、目に入ったのは、活版印刷の活字と印刷機。インクの匂いがふわっと鼻腔をかすめる。
天草出身の長島さんは、熊本市内で活動するデザイナー。廃業した印刷所から印刷機だけをもらっていたことと、自身がデザインしたものを好きな紙と質感で印刷したいと、独学で始めてみたのが活版印刷のきっかけだったそう。
今から約400年前に、ヨーロッパから天草に伝わった活版印刷の歴史や技術。デザインという表現の中で軽やかに紹介していきたいとの思いから、天草でワークショップを開始。その後、もっと多くの人に伝えていけたらと、この場所に印刷所を構えた。
活版印刷とは、ドイツ人ヨハン・グーテンベルクが葡萄酒のしぼり機をヒントに発明したという印刷機。紙の質感や手触りと合わせて、凹凸の風合いやフォントのデザインが魅力。「ナイン レタープレス」では、WOODTYPEと呼ばれるアルファベットの木活字を組んで、一枚一枚、色が混じらないように手塗りし、一色ずつプレスしていく。版画と違って、23mm高さを浮かせてプレスするのが、独特の凹凸を生む活版印刷の特徴だという。
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